13日(現地時間)、米ウォールストリート・ジャーナル紙1面に、米国最大の石炭会社、ピーボディ・エナジー(Peabody Energy)がミズーリ州東部の破産裁判所に破産保護申請を出したというニュースが載った。記事には同社の財務状況と業況解説が紹介された。しかし、資金を出した銀行が集まって会議をしたり、企業再生のための政府の努力に関する内容はどこにも見当たらない。韓国の風景はまったく異なるものだ。最近の構造調整ドライブは、ユ・イルホ副首相兼企画財政部長官の言葉から始まった。
韓国では政府・債権団主導
債権団構成が複雑で迅速な決定できない
ワークアウト・自律協約など作動しにくい
経営管理団の構成に専門性が不足
米国では徹底的に市場主導
政府はおろか銀行すら登場しない
不良資産の売却は私募ファンドと取引
自助限界時は裁判所に破産・再生申請
ユ副首相は14日、ワシントンで開いた記者懇談会で、「構造調整を行う。スピード感を出す」と述べた。その後、構造調整を伝える韓国国内のマスコミは、債権団(主に産業銀行)や政府高官、さらには野党代表など政界の人物まで欠かさず登場した。
この違いは、構造調整方式が異なることに由来する。米国の構造調整は徹底した“市場主導”だ。政府はもちろん銀行すら顔を出さない。不良企業が資産を売る際は私募ファンドが取引相手として登場し、自助努力が限界になれば裁判所に破産や再生申請をする。
韓国での構造調整は債権団を中心に行われる。銀行が貸した債権の規模により議決権を行使する「債権団会議」が司令塔の役割を務める。新規資金支援から売却対象資産の決定、経営陣の選任、大株主問責に至るまで細部事項はここで決定される。
もちろん大規模な構造調整の大きな青写真は実質的に政府が描く。今回の海運・造船など構造調整の青写真も、企財部、金融委、海水部、雇用部長官などが出席した「大統領府西別館会議」で描かれた。
債権団(または政府)主導の構造調整が問題にされる例はあるが、1997年の通貨危機以降、大きな支障なく作動した。問題は、このやり方が限界に直面している点にある。多くの専門家は今のようなワークアウト(企業改善作業)や自律協約(債権団共同管理)制度が、徐々に作動しなくなるようになったと口をそろえる。今回の5大脆弱業主に対する構造調整が「音ばかり騒々しい空っぽの荷車」になると言われるのはこのためだ。
何よりも債権団の構成が複雑だ。現代商船の場合、銀行が持っている債券は半分足らずで、残りは個人投資家、外国人投資家を含めたノンバンクの債権者だ。数カ所の銀行が意気投合してスピーディーに構造調整ができる条件ではないのだ。通貨危機当時の構造調整に参加したある金融界の関係者は「大宇(デウ)グループの構造調整当時の社債規模は全債券の5%にしかならなかった。銀行がその5%を肩代わりして構造調整計画を簡単に組めた。しかし、今は主要企業の債券のうち社債の割合が半数を超す」と話す。構造調整は、債権者らの損失分担と新規資金支給規模に対する合意が何より重要だが、このような合意自体が非常に難しい構造にある。債権者が増えれば、債権団会議は遅々として進まないものだ。
このように債権団主導の構造調整の長所は色あせる代わり、短所が浮上している。まず保身主義だ。国策銀行はもちろん、都市銀行も内部に「企業構造改善団」という名の大規模な部署を運営している。ある都市銀行で副頭取を務めた人物は「不良債権を売って帳簿をきれいにするより持っていたほうが得という雰囲気が蔓延している」と指摘した。不良債券は当初の価格より大幅に割引された価格で売るしかないため、不良債権の売却による価格の適正性の問題が発生するほかなく、その是非がプレッシャーになる業務実務者や部署長は売却よりは保有を選ぶようになるという。
産業構造が一層複雑化する流れも限界として作用する。債権団は、対象企業に経営管理団を派遣して、事実上、経営に直接参加する。大宇造船海洋の場合、最高財務責任者(CFO)は、主債権銀行である産業銀行から派遣された人物(キム・ガプジュン元産銀副頭取)だ。問題は大型造船所を経営するほどの専門性を債権団が備えていないことにある。金になる事業部とそうではない事業部を賢明に区分けする能力はないので、構造調整に拍車をかけるのは難しい。ある国策研究所の研究委員は「対象企業に該当業種に対する理解度が高い経営者を配置しなければならないが、今は政府や国策銀行の天下りが構造調整対象企業の経営を任されている」と皮肉る。企財部高官は「これからの構造調整は、裁判所の重要性がますます大きくなる」と明らかにした。元都市銀行の副頭取は「銀行が不良債権を容易に整理することができるように企業不良債券市場を育成する必要がある」と話した。
韓国語原文入力:2016-04-26 21:25