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非正規雇用と下請け会社の賃金格差是正に向け韓国労働界に新たな動き

登録:2016-04-04 00:09 修正:2016-04-04 15:26

保健医療労組、賃上げ分の一部を 
非正規労働者に対する差別の是正に使うことを検討中 
起亜自動車労組は「連帯基金」を推進

企業規模別の時間当り賃金総額(単位:ウォン)//ハンギョレ新聞社

 正社員と非正社員、大企業と中小企業(下請け・協力会社)労働者との間の賃金・労働条件などの格差を減らすために、「連帯戦略」を推進する動きが労働運動内部から起きている。正社員の労働組合が自分たちの賃上げ分を減らして非正規労働者の処遇改善に回したり、非正規労働者を支援するための連帯基金を設置する案だ。これは、ますます深刻化する労働者内部の賃金格差問題について、正社員中心の労働組合が積極的に乗り出して解決策を模索しようとする動きであり、成功するかどうかに労働界内外から注目が集まっている。

雇用形態別の時間別賃金総額(単位:ウォン)//ハンギョレ新聞社

 3日、全国民主労働組合総連盟(民主労総)の全国保健医療労組関係者によると、保健医療労組は今年の賃上げ分の一部を非正規労働者の正社員化と処遇改善に使う案を検討している。イ・ジュホ保健医療労組戦略企画団長は「昨年の中東呼吸器症候群(MERS)事態での看護師などの医療従事者不足の問題で、患者の健康権と組合員の労働条件が脅かされている現実が明らかになったことを受け、使用者側に大規模な人員補充を要求すると共に、労組も一定部分で協力するという趣旨」だと述べた。イ団長はまた「今年の産別交渉で非正規労働者の正社員化を通じて人材を確保するなどの方策を、来月初めの代議員大会案件に上程する方針だ」と話した。保健医療労組は、2007年にも労使が合意した賃上げ分のうち30%前後を非正規労働者2400人の正社員への転換と、約5500人の非正規労働者に対する差別是正に使うことにして、いわゆる「美しい合意」をやり遂げたという評価を受けている。

労働所得分配率の推移(単位:%)//ハンギョレ新聞社

 全国金属労組起亜自動車支部も正社員が社内下請けなどの非正規雇用労働者のための連帯の資金を作る案を検討している。ソン・ソンホ起亜自動車支部副支部長は「販売・整備などの非正規労働者の労働条件の改善のために、労働組合が主体となって組合員が参加する連帯基金を設置する案を検討中」だとした上で、「来月初めに開かれる予定の臨時代議員大会での可決を目指している」と語った。

 これと関連し、イ・ビョンフン中央大教授(社会学)は、「現在、労働運動を萎縮させ、全労働者の団結を妨げる最大の障害は、企業規模(大企業と中小企業)、従事上の地位(正社員と非正社員)、性別(男性と女性)など労働市場の賃金格差」とし「これを克服するための労働界の連帯戦略の整備が重要な課題」と強調した。韓国労働社会研究所のノ・グァンピョ所長も「正社員労組が賃上げを自制する代わりに、使用者と政府側の雇用保険料を上げて求職給与を拡大し、非正規労働者の労組加入率を高められる制度の改善を求める案など、積極的な連帯戦略が必要」と指摘した。

チョン・ジョンフィ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-04-03 19:16

https://www.hani.co.kr/arti/society/labor/738066.html 訳H.J

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