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[社説]企業所得急増し、家計は急減した20年間

登録:2016-03-28 06:43 修正:2016-03-28 07:38
OECD加盟国のGDPで家計所得が占める割合の増減率(単位:%、資料:経済協力開発機構<OECD>)※調査期間:1996~2013あるいは2014年。平均:-0.5。左からオーストリア、韓国、イタリア、ドイツ、フランス、英国、米国、日本、フィンランド、スロバキア//ハンギョレ新聞社 

 1995年から2014年まで20年間、韓国の国内総生産(GDP)において、家計所得が占める比率は5.3%も急減して経済協力開発機構(OECD)の加盟国の中で2番目に減少幅が大きかったという報告書が出された。これまで1人当りの国内総生産は年平均3.8%ずつ増加したが、家計所得は2.1%ずつ増えるにとどまったのだ。報告書は「ヘル朝鮮」という言葉が流行る韓国の分配構造の悪化、解決する兆しがない内需沈滞の根がどこにあるかをよく示している。

 韓国銀行の国民計上統計で外国為替危機直前の1997年と比較すると、家計所得比率の減少幅の方がはるかに大きい。73.4%で2014年の64.8%から8.7%減少した。反面、同じ期間の法人企業の所得が占める比率は13.7%から21.0%に7.3%も高まった。

 家計所得の比率の減少は、自営業者の所得減少でまず説明することができる。零細自営業者の所得を示す「家計営業余剰」は1995年の家計所得全体の22%を占めていたが、2014年には13%に減った。外国為替危機以降大量に増加した自営業者のうちの相当数が収益減少に耐えられなくなって店をたたんだために起きている現象だ。

 自営業者が減って賃金労働者が増えたものの国内総生産において家計の賃金所得(被雇用者の報酬)が占める比率は1995年の45.3%から44.5%にむしろ減っている。特に外国為替危機以降の5年間に急激に減少し、世界金融危機後の2010年と2011年にももう一度後退している。これはいわゆるリストラが、労働者の全般的な賃金レベルを大きく減らし、それ以後に創出された働き口も待遇がひどく悪かったためである。

 経済協力開発機構の報告書によると、過去20年間の家計所得の比率の減少幅が韓国より大きい国はオーストリアだけだ。2014年の国内総生産で家計所得の比率が韓国より低いところも3カ国だけである。世界最悪レベルの自殺率と老人貧困率、世界最悪の雇用環境を示している非正規雇用の比率がどこから始まったことか察するに難くない。企業の競争力低下に対して賃金費用を減らして一時しのぎするという経済運用戦略の大きな流れを変えない限り、今後もこのような流れを転換できないだろう。急速に増える家計債務は古い経済運用戦略が生む、またもう1つの危機の信管である。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016/03/27 19:28

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/737035.html 訳T.W

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