「テロ防止法が可決されたら、どうしたらいいんですか」
野党が8日間にわたるフィリバスター(無制限討論)の中断を決定したというニュースが流れた1日、SNSなどは「テロ防止法通過以降」を心配するコメントで溢れていた。あるツイッター利用者は、「テロ防止法が通過すると、ツイッターのアカウントを爆破しようと思っている」と書いた。これまでツイッターに、政府に批判的なツイートを載せてきたことを口実に、自分が「テロの危険人物」として監視対象になる可能性も排除できないという懸念からだ。「今後は(日本の人気ライトノベルシリーズの)インフィニット・ストラトスをIS(イスラム国)と略して呼ばない方がいいかも」という冗談混じりの批判も続いた。また、同日、米国ニューヨークのブルックリン連邦地裁が「ドラッグ・ディーラーのアイフォンのロック解除を求める」米国麻薬取締局(DEA)と連邦捜査局(FBI)の要請が、過度なもので、妥当でないと判断したと報じられたことを受け、「アイフォンに乗り換えるべきなのか」という質問が相次いだ。
ネチズンの間では、「テロ防止法への対応法」も共有されている。アンドロイドフォンの代わりにアイフォンを使い、カカオトークの代わりに海外のメッセンジャーを使用すると共に、電子メールはグーグルのジーメール(Gmail)を利用することを勧める内容だ。しかし、専門家たちは、テロ防止法が通過すると、個人が完全に私生活の自由と通信秘密を維持するのは、事実上不可能になると指摘している。
開発者であり、セキュリティ専門家のイ・ジュンヘン氏は「テロ防止法が可決されれば、まず自分の携帯電話の電話帳リストを整理しなければならない」と述べた。イ氏は「アイフォンを使用しても、通信会社やサービス業者を通じていくらでも傍受できる」と述べた。イ氏は「カカオトークよりもテレグラムのような海外のメッセンジャーがより安全だと思われるが、相手がカカオトークを使っていると、こちらもそれを使わざるを得ない。(一番)確実なのは、人と連絡を取らないこと」だと話した。別の開発者のキム・ジョンドゥク氏は、自分のフェースブックに「テロ防止法が通過すれば、国家情報院は、路上や店舗の監視カメラ(CCTV)や車のドライブレコーダーにもアクセスできる権限を持つようになる」と書いた。政府の公安分野の業務に詳しいあるセキュリティ専門家は、「テロ防止法の下で、個人が自分の私生活の秘密を守ることができる方法は何なのか」という質問に、「ない」と言い切った。彼は「これからは、口を閉じて、目も閉じて、耳を防ぎ、声もあげずに生きていくことが、唯一の方法だ」と、ため息混じりに語った。
情報人権研究所のイ・ウヌ弁護士は「現実的に法案の破棄が難しいなら、少なくとも、法案が規定するテロの範囲をより明確にし、国内の政治活動や市民の日常生活に影響を与えないように修正すべきだ」と指摘した。
韓国語原文入力:2016-03-01 19:24