「会期はまだ10日まで残っているのに...」
「今中断するのは、市民の知る権利の侵害」
成果のない野党の退却に“苦言”
「原案固守する政府・与党の姿勢にも問題あり」
「悪法に反対する討論、意味のある時間」
インターネットでも残念、批判相次ぐ
「フィリバスターは野党だけのものではありません」
「共に民主党」が1日、テロ防止法阻止のためのフィリバスター(無制限討論)の中断を決定したことで、市民社会からは野党の無気力と、セヌリ党の強引な姿勢に対する批判が殺到した。
参与連帯や進歩ネットワークセンターなど、テロ防止法に反対する46の市民社会団体は同日午前、ソウル汝矣島(ヨイド)国会前で記者会見を開き、「市民はまだテロ防止法がもたらす危険性について十分に議論する機会を持てていない」とした上で、「今フィリバスターを中断することは、市民の知る権利を侵害すること」と主張した。彼らは「過去1週間のフィリバスターを通じて、やっと議会制民主主義が息を吹き返したと感じている。国会の会期はまだ3月10日まで残っている」と指摘し、フィリバスター“早期中断”の決定を批判した。参与連帯などが早朝に発表した緊急声明の題名は、「死んだ政治の脅威に本物の政治をあきらめてはいけない」だった。与党が過半数を超える状況で、野党がテロ防止法制定を止めるには限界があるだろうが、市民の積極的な参加と反響が続いており、通常国会の日程もまだ残っているのに、フィリバスターを中断してはならないということだ。
先月23日、国会正門前で始まった「市民フィリバスター」は、今月1日まで、200人以上が発言を続けてきた。テロ防止法の破棄を呼び掛ける緊急署名には、これまで35万人の市民が参加した。進歩ネットワークセンターの活動家チャン・ヨギョン氏は「フィリバスターを通じて、市民がテロリストや北朝鮮との関連性よりも、テロ防止法が自分の生活にどのような影響を与えるのかを考え始めた。裁判所や国会の統制を受けない国家情報院が個人情報をどのように取り扱うのか、国会だけでなく、政府からも答弁を聞かなければならない。その前に法案を通過させてはならない」と述べた。
インターネット上では怒りと悔しさ、虚脱感を訴える声が混じり合っていた。一時期、フィリバスターに出た野党議員を応援するため、市民たちが自発的に作ったホームページ「フィリバスター・ドットミ」には、「総選挙を考慮したフィリバスターの中断は朴槿恵(パククネ)とセヌリ党が作成したフレームの中に深く組み込まれることだ」、「こんな時に戦えるように国民が国会議員にしたのだ」といった意見が相次いだ。建国大学のハン・サンヒ教授も「フィリバスターで、選挙でどれだけ不利になったのかは分からないが、たとえそのために選挙で負けることがあっても、それが何だっていうのか。惨敗しても、民主主義とは何か、人権とはどんなものなのかをしっかり示せるなら、それがまさに政治」という文をフェイスブックに掲載した。
一方、イ・ジェミョン城南市長はツイッタ―に「フィリバスターは、敗北必至の避けられない採決で、少数党が時間を稼ぎながら、国民にアピールするだけのことで、適切な線で中断せざるを得ない」という見解を示した。あるインターネットユーザーは、自分のツイッターに「フィリバスターがこのように終わって、テロ防止法が通過されても、その法案に反対していた人々が非難すべきなのは、150時間以上も国民に考える時間を与えてくれた野党ではなく、最後まで合意を受け入れなかった与党と政府」と書いた。国会内外のフィリバスターを通じて、次々と明らかになっているテロ防止法の危険性にもかかわらず、「原案通過」を固守しているセヌリ党の態度が、より大きな問題だということだ。
170時間以上にわたるフィリバスターが無駄にならなかったと強調する人も多かった。「とにかくフィリバスターは私にとって色々な面で意味があった。勉強もできたし、議員たちを新しく発見するきっかけにもなった。これから投票するだけだ」、「低所得の非婚女性として、誰かの人権が脅かされるのなら、次は自分の番だと思いながら生きています。フィリバスターを支持し、テロ防止法通過に反対する理由が何なのかを忘れてはなりません」など、ネチズンのツイートが相次いだ。
韓国語原文入力:2016-03-01 19:23