テロ防止法案の代表発議者であるセヌリ党のイ・チョルウ議員が「国民の理解を助けるため」として公開した関連問答(Q&A)資料が論議を呼んでいる。 市民社会団体はイ議員とセヌリ党が「テロ防止法案について虚偽と歪曲説明により国民を欺こうとしている」として、項目毎に反駁に出た。
人権サランバン ・参与連帯などが乗り出す
10項目を一つひとつ分析・反駁
既に7つの機関が資料閲覧 …国情院が追加されるだけ?
国情院政治介入防止装置が消える
収集対象は「テロ危険人物」に限定?
手続き・主体なしに国情院の判断に任す
民主主義法学研究会、人権運動空間「弓」、人権運動サランバン、そして進歩ネットワークセンターと参与連帯は、イ議員の出した「テロ防止法、誤解と真実 Q&A」に出ている15項目のうち10項目を分析した内容を盛った反駁文を28日発表した。 与党情報政策調整委員長のイ議員は27日、「野党議員がフィリバスターと各種マスコミインタビューを通して『テロ防止法ができれば、まるで全国民が国情院の通信盗聴と口座追跡に遭うかのよう』に糊塗している」として、このような問答資料が盛られた声明を発表している。
■ 虚偽
反駁文によれば、これらの団体は「Q&A資料」の代表的な「虚偽」として「職権上程されたテロ防止法案では国情院が直接盗聴設備を使った盗聴はしない」という内容を挙げた。「裁判所の出した事前許可書によって通信社から資料を受け取る」という説明に対しては、「職権上程されたテロ防止法案は通信秘密保護法によって盗聴するようにしており、これは情報・捜査機関が盗聴装備を直接保有して盗聴を行なう場合も含む」と反駁した。 代表的な不法盗聴事件である2005年のいわゆる「Xファイル」事件当時、国情院の前身である安全企画部が「X25」という通信社中継器付着型盗聴装備とともに「カス」(CAS)という盗聴装備を自ら開発して使用した点にも言及した。国情院は去年はイタリアの「ハッキングチーム」という会社を通して「RCS」というハッキングプログラムを直接購入し運用した経緯もある。
また「国内にはテロ関連の法律がなく1982年に作った大統領訓令の『国家対テロ活動指針』しかないので、テロ防止法が必要だ」という主張に対しては「テロに直接対応する各種法令と機構が既に作られているし、テロ予防のための国際的な情報共助もなされている。国務総理が主管する国家テロ対策会議もずいぶん前から運営されてきた」と反駁した。
■ 歪曲
事実を歪曲して伝えているという主張もされた。 市民団体はイ議員が「我が国の金融取り引き情報を米国中央情報部(CIA)は見れるのに、国情院は見ることができない」と説明したのは「言葉の遊びに過ぎない」と批判した。 CIAは海外情報収集専担機関であるから、国情院のように自国民(米国民)の金融取り引き情報はのぞき見ることができないのに、「まるで米CIAは韓国国内の取り引き情報をのぞき見しているのに、韓国の国情院は自国情報も見られないかのように国民を愚弄している」というわけだ。 また「テロ防止法を通して、検察、国民安全処、警察、国税庁、関税庁、中央選挙管理委員会、金融委員会の7機関が犯罪捜査のため金融情報分析院(FIU)に資料を要請し閲覧しているところへ国情院を追加するものだ」という説明も、「国内政治への介入や“国民査察”を阻むため、国情院に金融取り引き情報を提供しないようにした安全装置を除去しようという試みだ」と指摘した。
■ ごまかし
市民団体は「通信情報と金融情報の収集対象は『テロ危険人物』に限定される」と定めたテロ防止法案の定義が曖昧だという点も指摘した。反駁文には「手続き・主体も言及されておらず、結局国情院の判断だけでテロ危険人物と分類され得る。政府の政策に反対するデモや集会を開催するのはもちろん、不審に思われた人も全て「テロ危険人物」と烙印を押される可能性がある」と説明した。 テロ防止法が導入されても国情院の通信盗聴は厳格になされるはずだという主張に対しては「国情院が盗聴を申請できる事由を『対テロ活動に必要な場合』に拡大する内容が盛られているが、これは法律では使わない曖昧で包括的な用語だ」と指摘した。
韓国語原文入力:2016-02-28 21:08