政府が指定した「済州(チェジュ)世界平和の島」が「軍事基地の島」に変わっている。 1日昼、済州道西帰浦(ソグィポ)市江汀(カンジョン)村の済州海軍基地正門前では、海軍基地建設に反対する生命平和ミサが奉げられた。ミサが終わると、今度は生コン車など工事車両が次々と工事現場の中に入って行った。江汀村の住民たちが約8年にわたり反対闘争を繰り広げてきたが、同日、済州島内の2カ所では、軍部隊の創設式が相次いで開かれた。
■軍部隊2カ所創設
同日午後1時30分、済州海軍基地で済州基地戦隊(戦隊長ヒョン・チャンフン大佐)創設式を開き、本格的な基地運営に入った。基地戦隊は部隊警戒、係留艦艇への軍需支援などの任務を遂行することになる。済州基地戦隊は海軍と海兵隊で構成されていた済州防御司令部から301防御戦隊など海軍だけで新しく創設された部隊だ。済州基地戦隊の創設を皮切りに、第7機動戦団、潜水艦司令部傘下お潜水艦戦隊が次々と済州に移転することになる。
同日午後4時には、済州連(ヨン)洞の済州防御司令部で海兵隊第9旅団(旅団長キム・スンホ准将)の創設式も開かれた。第9旅団は、国防改革基本計画に基づいて解体される予定の海軍済州防御司令部の代わりに、済州島と付属島嶼を防御し、局地挑発に備えた作戦と統合防衛作戦などを実行することになる。
■住民の反発
江汀村会と「済州軍事基地阻止と平和の島実現のための汎道民対策委員会」、全国対策会議などは同日の昼、海軍基地正門前で記者会見を開き、「政府は『万一の事態』、『不確実な脅威』を理由にあげて、済州海軍基地建設を正当化してきた。済州海軍基地は『不確実な脅威』を“確実な脅威”にする役割を果たすことになるだろう」と済州基地戦隊の創設に反対した。住民と活動家たちは、記者会見に続いて、人間の鎖をつないだり、カヤック10台に乗って海上デモも行った。
キム・ソンファン神父は「これから再び戦いが始まる」とし、チョ・ギョンチョル村長は「私たちは苦痛の中に生きているが、戦いを続けていきたい」と決意を固めた。
同実江汀入り江で会った活動家キム・グクナム氏は、「昨年の防波堤工事以降、潮流の流れが妨げられ、浮遊物で岩盤が覆われて、海産物が見当たらない。潮流が遮断されたことで、海の生態に変化が起きて、湖になってしまったようだ」と述べた。
■済州はもはや軍事基地?
イ・サムソン翰林大学政治行政学科教授は、先月30日に済州島議会道民の部屋で「済州軍事基地と北東アジアの平和を語る」をテーマに開かれた政策討論会での主題発表を通じて、「済州海軍基地は、日本の沖縄を補完すると共に、米国と日本が主導する太平洋の軍事同盟体制に韓国が組み込まれるという、二つの意味を持っている。米国が有事の際、済州海軍基地を利用する場合、米国にとって済州は、中国の牽制に向けて沖縄よりも積極的な位置を占めることになるだろう」と分析した。イ教授は、「すでに建設された済州江汀港に対する韓国社会の最も理想的な選択は、この港を観光美港と海洋警察隊の基地として、その任務を再定義することにある」と述べた。
平和ネットワークのチョン・ウクシク代表は「済州海軍基地の持つ最大のリスクは、米中間の覇権競争に油を注ぐ可能性があるということだ」と指摘した。
韓国語原文入力: 2015-12-01 20:02