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2度目のソウル大規模デモを全面禁止 警察の恣意的判断が問題に 

登録:2015-11-29 23:39 修正:2015-11-30 11:55
集示法5条を適用し「集会禁止」を通告
「ペク・ナムギ農民の快復」を祈願し、ソウル市鍾路区のソウル大学病院で世宗路ファイナンスビル前までデモ行進を終えた市民たちが28日の夕、様々な覆面をかぶって「警察糾弾と農民快復を祈願する決意大会」を開いている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 「いかなる者も集団的暴行、脅迫、損壊、放火などで公共の安寧秩序に直接的な脅威を及ぼすことが明らかな集会やデモを主催してはならない」

 警察が来月5日に予定された第2次民衆総決起大会を禁止するとして、その根拠として挙げた「集会およびデモに関する法律」(集示法5条1項)だ。 「集会の自由」は、憲法で保障された基本権だが、現行の集示法は、いわゆる「公共の秩序」を損なうことが明らか場合には、法律に基づいて基本権を制約できるように定められている。しかし、法曹界などでは警察が集示法5条の「禁止通告」条項を恣意的に判断しており、第2次民衆総決起大会をめぐる議論のように、特定の団体の集会自体を制限する手段になっていると指摘する声があがっている。

民主労総・全農「平和集会」公言に 
曹渓宗まで「積極的に仲裁」の意向を明らかにしたのに 
警察「不法暴力集会になるに違いない」と烙印 
法曹界「憲法違反の懲罰的措置」と指摘 

憲法裁判所「性向・前歴を理由に、一律に禁止してはならない」 
大法院も「集会禁止は厳格に制限する」との判例も 
「集示法5条」適用急減...今年は1件のみ

集示法5条(集会及びデモの禁止)の内容(左)と集会・デモ禁止通告の現況(資料:警察庁、単位:件)。赤:公共秩序への脅威(5条1項)ベージュ:交通疎通(12条1項)

 ソウル地方警察庁は28日、全国農民会総連盟(全農)の第2次民衆総決起大会集会申告について「不法暴力集会になることが明らかなので、集示法5条を根拠に禁止を通告する」と発表した。警察は「過去の集会で不法暴力デモを主導した団体が申告した集会や行進にこの条項を適用してきた」と説明しながら、今月14日の第1次民衆総決起大会が判断の根拠になったことを強調した。民主労総・全農側が、「平和集会を行う」と明らかにしており、仲裁に乗り出した曹渓宗和争委員会も「宗教家たちが、警察とデモ隊の間に人の壁を立てても、平和デモになるように努める」と申し出たが、警察の判断は変わらなかった。

 しかし、このような警察の法の適用は“恣意的”と指摘されている。判事出身の弁護士は、「集示法の立法趣旨は、集会・デモは、基本的に保証するが、例外的に『このような集会はしてはならない』という規定だ。警察が禁止通告をしても、結局裁判所に行くと警察の違法な法執行という結論が出る可能性が高い」と述べた。彼は「集示法5条を解釈する際、『単に暴行などがあったから、(集会を主催しては)ならない』と判断するのではなく、これにより、公共の安寧秩序への脅威が直接かつまた明らかに現れなければならないのに、現在の状況がそうだとは言えない」と説明した。「民主社会のための弁護士の会」のパク・チュミン弁護士も「警察が『過去の集会で暴力を行使したから、今回の集会でも暴力を行使するに違いない』として、禁止通告をすること自体が『明白で現存する脅威』を客観的に立証していない恣意的な法執行だ。これは、憲法に違反した『懲罰的な性格』の禁止通告」と指摘した。憲法裁判所は2010年、「(集示法5条は)単に集会やデモ主催者の性向や過去の前歴という理由だけで、これを一律に禁止するのではなく、具体的事案で目的や場所、方法などを総合的に考慮して決定すること」として合憲決定を下した。パク弁護士は「警察の今回の措置は、憲法裁が認めた合憲性の限界を脱している」と述べた。

 集示法5条を根拠にした禁止通告は大法院(最高裁)の判決以降、減少する傾向にあることからも、今回の警察の対応は議論の余地がある。大法院は2012年4月、「集会に対する許可は、いかなる場合にも許可できず、集会の自由の制限も、他の重要な法益の保護のために必要な場合に限り、正当化される」と判示した。国会安全行政委員会ユ・デウン議員(新政治民主連合)が警察庁から提出してもらった資料によると、2010年の一年間、集示法5条(公共秩序の脅威)を根拠にした禁止通告は413件だったが、今年は10月までわずか1件にとどまった。

ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-29 19:30

https://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/719556.html 訳H.J

 

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