登録 : 2015.11.26 00:05 修正 : 2015.11.26 07:36

放水銃で重体のペク・ナムギ氏のオランダ人姻戚ハロルド・モナン氏 
「凶器もない年寄りに向け放水銃...犯罪であり、殺人」

ペク・ナムギ氏の次女、ペク・民主化氏のオランダ人義父母のハロルド・モナン氏とリタ・モナン氏=ファン・グムビ記者//ハンギョレ新聞社
 今月14日、ソウル都心で開かれた民衆総決起大会で、警察の放水銃に撃たれ倒れた農民ペク・ナムギ氏(68)が、12日間も意識を失ったまま、ソウル鍾路区ソウル大病院で治療を受けている。ペク氏の姻戚であり、次女のペク・民主化(ミンジュファ)氏(29)のオランダ人義父母のハロルド・モナン氏(63)とリタ・モナン氏(63)が23日、ペク氏のお見舞いのために韓国を訪れ、ソウル大学病院に足を運んだ。

 25日、ハンギョレのインタビューに応じたハロルド・モナン氏は、「今回のことでデモと関連したオランダの法律を詳しく調べた」と口火を切った。彼は「警察の生命の脅威となるような、いかなるものも持っていない68歳の年寄りを放水銃で直撃したのは犯罪行為であり、殺人だ」と話した。朴槿恵(パク・クネ)大統領がデモ隊をイスラム国(IS)と比較する発言をしたことについては、「欧州なら、弾劾もあり得る発言」と指摘した。

 以下は、ハロルド氏との一問一答。

- ペク・ナムギ氏のニュースをどこで聞き、初めて聞いたときどう思ったか。

 「民主化(嫁)が家に来た時に教えてくれた。ショックを受けた。信じられなかった。一緒に泣いた。それからこの事件についてインターネットニュースで調べた。どのメディアなのかは分からないが、英語で書かれた記事を読んで、動画や写真も見た」

- ペク・民主化氏の話では、負傷した状況の説明を聞いても(状況が)理解できなかったようだが、どの部分が理解できなかったか。

 「68歳の年寄りが広場の真ん中に立っており、放水銃が放たれた。なぜそうなったのか、その状況が理解できなかった。彼は一人だったし、手には凶器になるようなものが何もなかった。警察はなぜそんなことをしたのか?到底理解できるような状況ではない」

- 今回の集会について韓国では「暴力的なデモだったため、放水銃をはじめとする公権力の行使は正当だった」という意見と、「市民に脅威を与える放水銃の使用は中止すべきだ」という意見、二つの意見が対立している。このような議論についてはどう思うか。

 「両方の立場に同意する。オランダ、またはヨーロッパで、警察は脅威になるような状況がある場合、誰かが警察に銃を向けるか、凶器で脅す場合は、警察の生命も危険になるので、そのような状況では警察は十分防御できる。もしそのような状況なら、放水銃も使用できる。正当防衛の概念だ。もし誰かが警察に銃を向けたり、レンガを投げたり、殴ったりするような危険な状況ならば、警察の生命を守るために放水銃を使うこともできる。しかし、重要なことは、それを使うのは、警察が危険な状況から逃れるためであって、相手を殺すためではないことだ。人が広場の真ん中で、一人で立っていた。警察の生命を脅かすような、いかなるものも持っていなかったのに、その人に狙いを定めて放水銃を撃った。それは犯罪行為であり、殺人だ。

 オランダでは、警察が集会に集まった人たちの周りを車壁やコンテナ、バスなどで遮断することはできない。それは違法とされている。一般人の通行を確保するためにとか、建物の入り口を防ぐために、特定の部分だけを遮断することはできでも、人々が集まっている広場全体をぐるりと囲むことは違法だ。法律で定められている」

カトリック農民会などの農民団体が16日午後、ソウル西大門区の警察庁前で14日の全国農民大会で警察の放水銃に倒れたペク・ナムギ氏に関する記者会見を開き、カン・シンミョン警察庁長官の罷免と責任者の処罰を求めている=キム・ボンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社
- 警察は当時の集会が違法だったため、車壁を設置したと言っている。

 「それが問題だと思う。なぜデモが違法となるのか?民主主義社会ではないか。非常に不幸なことだ。韓国は北朝鮮とは異なり民主的な社会だと思っていた。しかし、このようなことを目の当たりにすると、そうは思えない。どこが韓国で、どこが北朝鮮なのか、分からなくなる。オランダで英語の記事を読んだけど、どこに民主主義があるのか、分からなかった。この国が本当に民主主義国家なのか、疑わしい」

- SNSに国外(特に欧州)の集会と韓国の集会を比較する文が多く載せられている。デモとこれに対する公権力の統制は、どのように行われているのか。

 「オランダでも、様々なデモがたくさん行われている。通常の場合、デモ隊が5000人程度集まれば、目に見える警察は10人ほどだ。他の警察は、目立たないところで、万が一の状況に備えて待機している。なぜデモ隊の前面に出ないのかというと、警察がデモ隊を刺激させて、他の問題が起こる可能性があるからであり、警察の存在自体が、デモ隊が言いたいことを言えなくなるような、妨げになることもあるからだ。

 オランダでもやはり3〜40年前のデモでは逮捕された人も多く、ケガ人もたくさん出た。しかし、その時、このようにデモを進めたり、鎮圧してはならないということを学んだため、今ではそういうことは起きない。デモ隊が望むデモを安全に行うようにすること、また万が一の状況に備えて待機することが警察の役割だ」

- デモの鎮圧はどのように行われるのか。

 「オランダでも集会で警察が放水銃を使用する。しかし、使用規定が非常に詳しく記載されており、厳密に適用される。放水銃が設置されたトラックには、4人の警察官がいなければならない。そのうちの一人は、指示を出す指揮官(commander)で、もう一人は管制官(controller)だ。指揮官が(放水銃を)撃つか撃たないのかを決定し、統制官が移行する。トラックの4カ所には、それぞれ4つに分割されたカメラの画面がある。その画面を通じて外のデモの状況を確認する。

 また、一般的に人に向かって撃つことができない。常に人の前の地面に、スプレー(噴射)する形で撃つ。 『シューティング(shooting)』ではなく『スプレイング(spraying)』だ。人々が濡れることはあっても、それによって負傷することは絶対にない。もしそれでも人々が動かない場合は、胸から下に向かって放水銃を撃つことになっている。絶対胸から上には撃ってはならない。法律で明確に規定されている。水圧も最大圧力を7気圧に制限している。ペク・ナムギ氏に向けられたのは10気圧以上だったと聞いた。

 オランダでも6〜7年前にフーリガンがある警察署を襲撃して、警察官を脅かしたが、警察が防御する際に銃を撃ってフーリガンの1人が死亡したことがあった。当時、警察の行動は正当防衛が認められ、起訴されなかったが、ロッテルダム警察庁長官が辞任した。警察が自己防衛として銃を撃ったのは、十分に起こりうる出来事だ。重要なのは、このような状況でも、責任者が常に責任を取るということだ。当時ロッテルダム警察庁長は、その状況について、警察がよりよく対処すべきだったし、そのような状況を避けるべきだったのに、それができなかったことについて責任を取るために、謝罪をして辞任した。責任者は常に責任を取るものだ。

 なぜこのような話をするのかというと、人はミスをするものだ。当然あり得ることだ。それなら、責任者は、まず『申し訳ない』と謝り、当時現場にいた人を処罰し、責任を問わなければならない。責任ある地位にある人は、そのような措置を取るべきものだ。ところが、今回の出来事はどうか?誰も責任を取らない。韓国にも安全関連の部処があるではないか?その長官にも責任があると思う。国民の安全について責任を持つ公職者だ。警察庁長官と長官、責任者があまりにも明らかではないか。ところで、私はこのような話をして無事にオランダに帰ることができるだろうか?このような国で?」

- まだ警察庁長官をはじめとする責任者は、謝罪しておらず、一部の国会議員は、不適切な発言で問題になっている。

 「パリとオランダは400キロメートルほど離れている。全世界のすべての人々がパリで起きたテロについて知っており、それからすぐペク・ナムギ氏のことがあった。韓国の大統領がデモ隊を暴徒としながら、マスクをしたデモ隊をIS(イスラム国)と比較する発言をしたというニュースを見た。もしそのような発言を、ヨーロッパの政治家がしたとしたら、彼は次の任期に絶対選ばれないだろう。民主主義社会では、弾劾もあり得る発言だ。パリのテロリストは人を殺すために謀議した、爆弾を使用したテロリストであり、韓国で集まった人たちは、自分の主張を行っていたデモ参加者たちだった。それをどうやって比較できるというのか。

 先週、オランダ首相が欧州で起きる爆弾テロと関連して『オランダも戦争中だ』と発言した。多くの市民が首相のその発言を非難した。テロと戦わなければならないのは確かだが、戦争という言葉は、それとは全く異なる意味だからだ。多くの人々が話にならないと思った。一国のリーダー(首長)なら、発言一つにも細心の注意を払わなければならない」

- (姻戚である)ペク・ナムギ氏はどのような人だったのか?印象的な記憶やエピソードがあれば紹介してほしい。

 「実は遠く離れているので、あまり会えなかった。それでも娘を『民主化』と名付け、年寄りにもかかわらず、デモの現場にいたことを見ても、どのような方だったか、見当がつく」

- 集中治療室で面会したとき、とのような気持になったか。

 「涙が出た。非常に悲しかった。多くの人たちが望むように一日も早い快復を祈る気持ちしかない」

- ペク氏が倒れてから、様々な社会団体の記者会見が続いており、病院の前では、快復を祈る座り込みとミサなどが行われている。ペク氏の快復を願う人が多いが、彼らに伝えたいことがあれば。

 「2日前に病院に到着したとき、座り込みする人たちを見た。祈りを捧げ、支援するために来た人たちだった。全く面識もないのに、自分のことのように来てくださる人たちが多いが、オランダでは見られない光景なので、非常に驚いた。あまりにも感動的な出来事だ。その方々に心から感謝の言葉を伝えたい」

ファン・グムビ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-11-25 15:00

http://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/719012.html?_fr=st1訳H.J

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