朴槿恵(パク・クネ)政権が歴史教科書国定化の告示を終え、これを“巻き戻せない歴史”にしようとしているが、歴史教科書の問題は、来年4月の総選挙でも争点になるものと見られる。野党の新政治民主連合は「多数党になって国定教科書を廃止する」として、来年の総選挙で国定化の廃棄を公約に掲げる意向を示した。与野党ともに総選挙でこの問題を避けて通るわけにはいかなくなった。
歴史教科書が総選挙に与える影響に耳目が集まるのは、数字として表れた明確な「国定化反対」世論のためだ。特に野党は、支持政党がない無党派層や中道指向の有権者の間でも国定化への反対世論が圧倒的であるという点に注目している。
「リアルメーター」が政府の国定化確定告示直後の3日から5日まで実施し、6日に発表した世論調査の結果によると、国定化に対する賛成と反対は、それぞれ42.8%と52.6%で、一週間前より反対が2.6%ポイント上昇した。これにより、“反対優位”の格差も4.2%ポイントから9.8%ポイントに、さらに広がった。
新政治民主連合支持層は、国定化反対が90.0%、セヌリ党支持層は賛成が83.7%で支持政党別に賛否が克明に分かれた中で、無党派層でも国定化反対が78.4%(賛成15.4%)と圧倒的に高い。理念傾向別にも中道層で国定化への反対が65.8%で、賛成(30.9%)を圧倒した。先月30日に発表された韓国ギャラップ調査でも無党派層で国定化反対意見が53%で、この調査全体の平均値(反対49%)を上回った。
このような中道・無党派層の圧倒的な国定化反対世論が総選挙に与える影響を巡り、見通しが分かれている。オピニオンライブ世論分析センターのユン・ヒウンセンター長は「国定教科書の問題は、大衆に『政府与党が国民の生活ではなく、理念論争に焦点を当てた』という印象を与える効果があるため、野党に有利な材料であることは明らかだ」と述べた。セヌリ党の首都圏議員も「中道層が多い首都圏では、国定教科書の問題がかなりの悪材料になるだろう」と認める。
しかし、歴史教科書の問題が来年の総選挙で大きな争点にならないという分析も多い。この問題は、すでに「既成事実化」したうえ、大衆の関心から離れているということだ。ミン・コンサルティングのパク・ソンミン代表は「すでに政府が確定告示を行っており、執筆に入ると、教科書の問題は、11月中に死滅するだろう」とし「野党が総選挙公約に掲げても、政府与党が、『まだ本も発行していない』と応えたら、争点化するのも容易ではないだろう」と述べた。パク代表は「総選挙時は“世代交替”など、他の争点が主導し、教科書問題は大衆の関心を引くのは難しいだろう」と付け加えた。セウォル号事件で政府与党に対する反感が強い状態で行われた昨年の地方選挙で、セヌリ党が広域団体長選挙で8対9で好成績を収めた。
問題は「国定教科書に反対=野党投票」につながらないという点だ。トゥムン政治戦略研究所長のイ・チョルヒ所長は「国定教科書の問題が中道層の心を(反与党に)傾かせるきっかけにはなったが、彼らを投票所に呼び込むためには、他の政策などの“媒介”がなければならない」と述べた。
韓国語原文入力:2015-11-05 19:25