登録 : 2015.11.06 04:00 修正 : 2015.11.06 05:28

 韓米同盟は「価値同盟」であると、韓国と米国政府は口癖のように主張してきた。民主主義と人権という価値を共有すると誇らしげに語ってきた。しかし、もう価値同盟という言葉は使わないほうがよさそうだ。ありのままに軍事同盟と率直に言うべきではないか。韓国史教科書国定化事態を契機に、韓国の保守政権と米国政府が華やかに包装してきた価値同盟は終焉を告げたと私は考える。

 価値同盟という言葉は、李明博(イ・ミョンバク)大統領が、2008年4月、ジョージ・ブッシュ米国大統領とのワシントンでの首脳会談で、「価値同盟を追求する」と言及した際に初めて登場した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権で傷ついた韓米同盟を復元するという、やや修辞的な意味合いの言葉だった。キム・ソンファン元外交部長官が2012年6月に米国ロサンゼルスにある世界問題協議会(WAC)での演説で「韓米同盟は安全保障同盟と経済同盟を超えて、今や価値同盟の時代を迎えた」と宣言したことで、この言葉は、戦略的意味を帯びるようになる。キム元長官は「韓国がダイナミックな資本主義と民主主義国家に成長するにつれて、韓国と米国が持つ共通の価値は、両国を結ぶ最も堅い土台になった」とその背景を説明した。

 価値同盟は韓米日三角類似同盟の軍事的性格を中和させてくれる妙薬だった。「民主主義と人権で遅れる」中国を線引きし、韓米日を一つにまとめることで、中国の台頭に対抗する有用かつ理論的な言説だった。中国を共産主義国家のゴッドファザーぐらいにしか思っていなかった李明博政権は、価値同盟を抵抗なく受け入れた。昨年4月の朴槿恵(パク・クネ)大統領とバラク・オバマ大統領が首脳会談後に発表した「韓米関係現況共同説明書」の最初の段落にも「民主主義、人権、法治という共通の価値観は、両国関係の基盤となっている」と明示した。

 国定教科書事態は、保守政権が認めようが認めまいが、彼らが重宝していた価値同盟の土台と衝突する。社会主義国にでもありそうな国定教科書を採択し、行政予告期間中に提出された意見のうち、賛成の方が多いと世論の捏造まで行う。1970年代に横行した「体育館選挙」とあまり変わらない。さらに、教科書国定化に反対するジャーナリストたちに厳正に対処すると脅迫までする。断言するが、米国政府当局者や専門家の中にこれを民主主義だと思う人はほとんどいないだろう。ただでさえ韓国政府が中国寄りに傾斜しているという、大統領府に対する米国の戦略的疑いが消えない状況で、民主主義の後退は、「光が漏れる隙間すらない」韓米同盟に見えない内傷を負わせることになるだろう。これが朴槿恵政権が望んでいたことなのか。

イ・ヨンイン特派員//ハンギョレ新聞社
 何よりも国定教科書事態は、韓国の外交力を蝕むだろう。朴正煕(パク・チョンヒ)政権当時の外交官たちは、韓米首脳会談で民主主義や人権問題が議題に上ることを防ぐために、外交力を浪費せざるを得なかった。今はそれほどではないだろうが、もしかしたら国内外の記者が記者会見場で国定化に対する立場を訪ねるかもしれないと思って、外交官たちは戦々恐々しているだろう。プライベートで米国の当局者や専門家が、教科書の問題に関心を表明するだけでも、韓国の外交官たちは腰砕けし、一歩後ろに下がるしかない。今回の事態は、米国の情緒と合わないという事実をあまりにもよく知っているからだ。これが韓国の歴史に対する自負心を育むことなのか。

 おそらく欧米よりベトナムを相手にする外交官と駐在官たちが、今はもっと大変かもしれない。歴史科目を含めた全体の教科書を“検定”に切り替えたベトナムに、韓国の外交官たちは国定教科書への転換をどう説明するのだろうか?「韓国史教科書の99.9%が左寄りだから」とでも言えるだろうか?気の毒だが、(彼らの答えが)気になる。

イ・ヨンイン特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力:2015-11-05 18:42

http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/716122.html 訳H.J

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