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[インタビュー]私たちが歴史教科書国定化に反対する理由

登録:2015-10-13 00:08 修正:2015-10-13 05:51
中高校の韓国史教科書国定化への転換が発表された12日午後、大学生たちがソウル鍾路区の光化門広場李舜臣銅像前で奇襲デモを行っている=イ・ジョンヨン先任記者//ハンギョレ新聞社

 「父のために 」 
父親が打ち明けてくれた光州の記憶 
民主化運動を歪曲する教科書に反対 
「金のスプーンのため」 
親日派の子孫が既得権勢力に 
彼らに歴史教育を任せるわけにはいかない 
「セウォル号のために」 
政府に不利な真実を隠すのは 
セウォル号も国定化も同じ 
「友人のために」 
国定化で富と権力の相続が強固に 
自分と友人たちの就職も難しくなるかも 

 秋雨で気温が一気に下がった今月11日の夜、ソウル鍾路(チョンノ)区世宗路(セジョンノ)の政府ソウル庁舎前には朴槿恵(パク・クネ)政権の韓国史教科書国定化に反対する若者や大学生、市民など、約150人が街頭に出てキャンドルを掲げた。彼らは「国民の意に逆らって既得権勢力の意向だけで親日と独裁を美化する教科書国定化に反対する」と口をそろえた。この日集まった人々が伝えた「キャンドルを持った理由」はそれぞれ異なった。

ソ・ハンビさん//ハンギョレ新聞社

■「私は『父』のために国定教科書に反対する」

 同日キャンドル集会に参加したソ・ハンビ氏(19、ソウル女子大学史学科)は、歴史科目を楽しく教える先生になることを目指して史学科に進学した。自然に過去の歴史問題に関心を持つようになったソ氏は今年5月18日、光州(クァンジュ)民主化運動記念日を迎えて光州に踏査を出る前に、父親の許可を求めた。この日初めて、ソ氏の父親は「私もその日、光州にいた。このようなことは世の中に広く知らしめなければならない」と固い表情で言った。光州で高校生活を送った父親はこれまで一度も子供たちにその日の記憶を打ち明けたことがなかった。「まだその日に父が何を経験し、何を見たのか、私たちに話してくれません」。ソ氏は「インターネット・コミュニティのイルベ(日刊ベスト貯蔵所)はもちろん、社会の高位層が公然と「5・18」を暴動だと罵り独裁を称賛する話をする度に、腹が立って怒りを覚える」とも述べた。「私は愛する人たちと民主主義を守ろうとした人々を暴徒と罵倒し、彼らを弾圧した独裁政府を美化することが既に公然と行われているのに、教科書まで国定化されて、独裁を美化して民主化運動を歪曲することは、娘としても歴史教師の卵としても到底受け入れることができません」

キム・ジンソさん//ハンギョレ新聞社

■「私は『金のスプーン』のために国定教科書に反対する」

 京畿九里(クリ)に住むキム・ジンソさん(15)は、家族と北村(プクチョン)韓屋村を見物しに訪れ、偶然キャンドル集会に参加することになった。キムさんは「学校で日本の植民地時代まで学んだが、当時の親日派の子孫たちが今まで既得権勢力として残っていると聞いた。インターネットで金のスプーンとか土のスプーンとか言われているが、本当のようだ」と話した。大人になったら尊敬される企業人になりたいというキムさんは「米国にはスティーブ・ジョブズが、中国には小米(シャオミ)を設立した雷軍やアリババを作った馬運のような人々が、自分のアイデアと情熱で成功を収めたが、韓国では会長の息子が会長になって社長の息子が社長になる。中学生だが、私たちも、韓国社会には(生まれながら)身分が決まっていることを実感している」と話した。キムさんの母親であるホン・ソンア氏(46)は、「韓国は子供たちのお手本になるようなロールモデルがいない。親日をした人が独裁をして、今や政権を握っているが、そのような人たちが作る国定教科書で子供たちに歴史を勉強してほしくない」と、集会に参加した理由を話した。

イム・ドンボムさん//ハンギョレ新聞社

■「私は『セウォル号』のために国定教科書に反対する」

 「ソウル銅雀(トンジャク)区舎堂(サダン)洞に住む大学生イム・ドンボム氏(25)は、平凡な学生だった。彼は自分自身を「進路に悩んでおり、ある程度劣等感もあって、ある程度は欲もある普通の人」だと話した。イム氏は昨年4月、セウォル号事故が発生した当時は大きな関心がなかった。「当時、休学中だったので、ご飯を食べながら船が沈没するのを見ました。その時は問題があるなと思う程度でした」。ところが復学して、周辺でセウォル号の問題についてもう少し具体的な話をすることになってから、イム氏の考えは変わった。「政府を批判する人たちに対してあそこまで非情になれるとは、これまでは知りませんでした。犠牲者遺族や彼らを支援する人たちが求めたのは、事故の真実を明らかにして責任を負うべき部分については責任を負ってほしい、というごく当たり前のことだったのに、政府は真実を隠すだけで、血眼になって彼らを反政府勢力と決めつけ弾圧していました」。イム氏は「政府が不利な真実は隠し、歪曲しようとするのはセウォル号事故でも、歴史教科書の国定化でも同じ」だとし「独裁政権の明るい面だけが見えるようにして暗い面は隠すことが果たして真の歴史といえるでしょか」と反問した。

チェ・スンミンさん//ハンギョレ新聞社

■「私は『友人』のために国定教科書に反対する」

 「高校時代は入試に追われ、しばらくしてからは就職と生活を心配せざるをえなくなるでしょう。今の年齢が社会的な問題に最も積極的に関心を持つべき時期だと思います。ところが、このような活動をしていると、親しかった友たちと距離ができる場合もあります」。中央大学心理学に在学中のチェ・ンミンさん(19)が苦笑いした。チェさんは、大学に入学してから、日本軍慰安婦被害の問題を解決するための大学生団体である「平和蝶ネットワーク」で活動してきた。慰安婦問題を周囲に知らせたかったが、友人たちはそのようなチェさんに「政治的すぎる」と言った。チェさんは「『歴史を忘れた民族に未来はない』という言葉もあるではないか。過ちを犯した人たちが責任を負わず、その富と権力が子供に引き継がれる社会になったのが、結局今の若者問題にまでつながっていると思う」と話した。チェさんは国定教科書をなぜ反対するのかという質問に「親日と独裁を美化する教科書国定化が富と権力が受け継がれる社会をより強固にして、私と私の友人たちがいくら努力しても、就職難と低賃金に苦しめられることになると思うため、国定化の反対集会に出るようになった」と答えた。

ホ・スン、クォン・スンロック記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-10-12 19:36

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/712459.html 訳H.J

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