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韓国警察、“架空の英雄物語”で実績作り

登録:2015-10-12 00:00 修正:2015-10-12 18:26
治安総合成果評価項目で“広報実績”が7%で最高 
捜査・生活安全・被害者保護など 
民生密接分野は軽い評価
警察//ハンギョレ新聞社

 最近、韓国の警察が実績を膨らませるため、検挙の過程での“架空の英雄物語”を作って露見したことで批判を浴びている。このように警察が広報に強引な手法を用いる原因には、構造的に歪曲された「成果指標項目」があると指摘される。

 国会安全行政委員会所属のキム・ドンチョル新政治民主連合議員が警察庁から取り寄せた最近3年間の「治安総合成果評価」資料によれば、今年、警察の所属部署成果指標で「治安政策広報実績評価」項目が最も高い比重の7%を占めていることが分かった。 2013年から2年間は2%だったこの項目は、今年になって突然7%に増えた。 捜査、生活安全、被害者保護など民生と密接な分野はそれより軽い5%の比重だった。昨年まで4%を占めていた「清廉(反腐敗)」、「人権保護努力」は今年それぞれ3%と2%に下げられた。 この評価は、警察のボーナス支給、職員人事評価など業務の主要根拠資料として使われる。

 その結果、一線警察署では事実確認が不十分な報道資料を配布したり、広報と関連した褒賞を作る強引な広報につながった。 忠清北道清原(チョンウォン)警察署が今年9月「宅配運転手に変装した新人婦人警官が手配犯人の自宅玄関のチャイムを押して安心させ手配犯人を検挙した」という架空の英雄物語をマスコミに知らせたのも同様の脈絡だ。

 他の警察署も事情は同様だ。ソウル方背(パンベ)署は先月8日、市民の申告により警察がバス車内で盗撮した疑いでフィリピン国籍の男性を逮捕したという報道資料を出した。 しかし記者たちが取材に乗り出すと警察は突然報道資料の配布を取り消した。調査の過程で被疑者は携帯電話で弄って遊んでいただけで、誤解を受けて捕まった事実が明らかになったためだ。

 ソウル冠岳(クァナク)署は今年8月、業務現場で警察の活躍している姿を写真に撮ってきた職員に与える「今月のホン・キルトン(広報仲間)」賞を作ったが1カ月でこの制度を廃止した。 冠岳署関係者は「皆が業務に集中し忙しいので写真を撮る余力はないのが実情」として職員の間に不満があったと打ち明けた。

 広報に夢中になった警察に対する不満も多い。ソウルのある地区隊所属の警察官は「幹部級ではない一線の警察官が新聞や放送に出る機会は少ない。広報より被疑者検挙など警察本来の業務に点数を多く与えて欲しい」と話した。 会社員キム氏(33)は「警察が発表した広報性投稿が私のフェイスブックのタイムラインにもたくさん出てくる。不通より疎通が良いが、そんな時間があったら泥棒を捕まえれば良いと思う。警察が自らを美談化しているようだ」と話した。

キム・ミヒャン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/712321.html 韓国語原文入力:2015-10-11 20:14
訳J.S(1313字)

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