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陸地での検挙めぐり韓国海上警察と陸上警察が捜査管轄争い

 改編政府組織法で海上警察に陸上捜査権なし
 刑事訴訟法とも矛盾
全羅南道新安郡の可居島近海で韓国の排他的経済水域(EEZ)内で不法操業して逃走した中国漁船を西海地方海上警察庁ヘリコプターが強力な下降風で制圧している=可居島近海の海上警察警備艦/キム・ポンギュ先任記者//ハンギョレ新聞社

 昨年のセウォル号事故で海洋警察庁が国民安全処傘下海洋警備安全本部に吸収・再編された後、陸警(警察)と海上警察の捜査管轄争いが起きている。海上警察は捜査・情報組織の相当部分を警察に引き渡したが、海と陸地に管轄がかかる犯罪も陸警が管轄権を要求し、効率的捜査に支障をきたすと不満の声があがっている。

 国会安全行政委員会所属ユ・テウン新政治民主連合議員は、7月21日に済州地方警察庁(陸警)が済州海洋警備安全本部(海上警察)に送った公文書「中国人無断離脱など陸上事件発生時の事件移行協力要請」を14日公開した。国民安全処海洋警備安全本部に提出させた公文書には「海上発生事件に限り海上警察が処理するよう管轄が調整されたが、まだ一部関連機関では陸上事件も従来のように(海上警察が)取り扱い、業務に混乱が生じている」と指摘、「海上を除いた港など陸上発生事件を認知したり諜報入手時、直ちに警察に通知すべき」とする済州警察庁の要求が載せられた。

 済州海上警察は4月、済州島の翰林(ハンリム)港を通じ密入国しようとした中国人の斡旋と運搬に関わった6人を乗船直前に検挙したが、済州警察庁はこれを陸警の管轄を侵したと判断した。済州海上警察は「乗船後に海上で検挙するのは許され、乗船直前に(港で)検挙してはいけないというのは道理に合わない」と反論した。これに対し済州警察庁は7月末に捜査・情報・保安分野の合同会議を開いた。ユ議員が公開した警察内部文書によれば、会議では「海上警察が業務拡張を試みているが、捜査活動強化など先制的措置で海上警察の陸上事件に対する捜査拡張を早期に遮断しなければならない」とする議論が交わされたという。

 海上警察関係者は「以前も陸上・海上管轄をめぐり葛藤はあったが、海上警察が陸警と協力して捜査するのに大きな支障はなかった。昨年11月の改正政府組織法に陸上では海上警察の捜査権がないと釘を差したため問題が大きくなっている」と語った。同関係者は「政府組織法では(海上警察に)陸上捜査権はないが、刑事訴訟法は今も司法警察としての任務を明記している」と強調した。陸上であっても目前で発生した犯罪を海上警察が無視するわけにはいかないというのだ。

 昨年政府は、海上警察の捜査権を大幅に縮小する代わりに構造機能を強化し、海上警察の情報・捜査人材は700人余りから200人余りに減らした。海上警察の密航取り締まり件数は2010~2013年に57件だったのが、昨年は1件もなかった。海上麻薬犯と密輸犯取り締まり件数も昨年6月以降一度もない。

ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-15 08:01

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/708909.html 訳Y.B

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