朴槿恵(パク・クネ)政権が強い世論の反対を顧みず歴史教科書国定化を強行する方針を明確にさせた。政府与党の中からも憂慮する声が出始め、保守メディアや学界・教育界まで反対しているが、国定化の強硬姿勢を弱めようとしない。朴槿恵大統領に執着に近い意志があるためだというのが与党圏の共通の解釈でもある。
大統領府関係者は7日、「朴大統領は歴史教科書の問題に憂慮を示してきたし、それを正すよう対策準備を指示したことがある」と話し、国定教科書推進が朴大統領の意思であることを事実上認めた。これは「100%大韓民国」をスローガンに掲げた大統領の選挙公約にも反し、国論分裂を助長するという批判も避けられない。父親の朴正煕(パク・チョンヒ)元大統領の“名誉回復”に向けた熱意に加え、50%近くになる高い支持率が国定化を推し進める“動力”になっているとみられる。
だがセヌリ党内部でも、歴史教科書国定化に対する否定的な意見は少なくない。来年の総選挙を控え、“理念”問題で争うことに実益はないという計算もある。党職を担うある与党議員は8日、ハンギョレとの通話で「朴槿恵大統領の意向さえなければ、党として絶対に強く出たりはしなかった」と話した。
教育部も大統領府発の“ごり押し”といえる国定化が気に入らない様子だ。ファン・ウヨ副首相兼教育部長官は本人が任期中の国定化発表は避けようとしていたと伝わる。教育部官僚も沈黙しているだけで、国定化に賛成する人を探すほうが難しい。先月11日、教育部の委託を受けた「韓国史教科書執筆基準」の研究陣5人が、奇襲的に「国定化反対宣言」を発表したのが象徴的な事件となった。
朴大統領の友軍を自任してきた保守メディアも、韓国史教科書国定化に対しては反対と憂慮の声をあげている。強硬な保守論調を繰り広げた文化日報もこの日付の社説で「検証強化が正道」と繰り返し国定化に反対した。朝鮮日報にコラムを執筆するユン・ピョンジュン韓神大教授は「任期3年目の末に朴大統領自ら提起した主な国政課題があるが、教科書国定化が、これらすべてを犠牲にし国論を二分して推進する価値があるのか疑問」と語った。国定化の強行は保守陣営の幅広い支持があってされるのではなく、朴大統領の独走によるものと解釈できる。
学界は理念指向、専攻を問わず、国定教科書に対する反対世論が圧倒的だ。先月2日、ソウル大の歴史専攻教授34人が教育部に国定化反対の意見書を伝達したのをはじめ、これまで全国各地の大学教授と研究陣2396人が反対声明に参加した。
朴大統領の国定化独走が結果的に朴大統領と与党圏に負担となるという展望もある。オピニオンライブ世論分析センターのユン・ヒウン氏は「任期中盤に理念的な事案を前面に打ち出す場合、友好的な支持基盤の拡充に負担になり、正当性の問題に鋭敏な野党圏支持層を結集させる契機になることもある」と話した。
韓国語原文入力:2015-10-08 22:32