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駐韓米大使襲撃キム・ギジョン氏に懲役12年...国家保安法は無罪

登録:2015-09-11 23:05 修正:2015-09-12 06:26
 裁判所「未必の故意でも殺意」
 「主体思想や核実験の擁護は認められない」
 弁護側と検察、ともに控訴予定
キム・ギジョン「私たちの広場」代表 //ハンギョレ新聞社

 今年3月、マーク・リッパート駐韓米国大使を凶器で襲撃し、拘束起訴されたキム・ギジョン「私たちの広場」代表(56)に重刑が宣告された。殺人未遂など、ほとんどの容疑について有罪が認められたが、検察が追加起訴した国家保安法違反容疑については無罪が宣告された。

 ソウル中央地裁刑事25部(裁判長キム・ドンア)は11日、「キム氏が、少なくとも自分の行為によって被害者が死亡するかもしれないことを認識していた」とし、懲役12年を宣告した。裁判所は「キム氏がリッパート大使を最初に攻撃した部位は、命を脅かすかもしれない顔と首の部分だ。リッパート大使が負った傷の1〜2センチメートルの下には頸動脈があり、この部位をナイフで刺したなら、死亡に至った可能性が非常に高い。攻撃の部位、反復性、傷害の程度などからして、少なくても、未必の故意でありながらも殺意があった」と明らかにした。

 裁判所は、重刑の宣告理由として「大韓民国に派遣された外交使節を深刻に攻撃した最初の事件であり、韓国社会だけでなく、世界中に大きな衝撃を与えた」とし「韓国社会では、個人であれ集団であれ、いかなる目的のためにも、不当な暴力がその手段になることを容認してはならないという合意が確立されている。この事件は、韓国社会が慎重に作ってきた大切な秩序と文化に深刻な攻撃を加えたもの」だと述べた。

 しかし裁判所は、キム氏が「北朝鮮の主張に同調して犯行を犯した」とする容疑(国家保安法の賛美、鼓舞)については、「北朝鮮の対外的な主張と一致する内容であっても、これを国家の存立を直接的に脅かす主体思想、核実験の擁護などと同様のものと見ることはできない。これは思想の自由が保障された大韓民国の内部で、議論の対象となり得るうえに、学界や市民団体の一角で着実に提起されてきた問題」だとして、無罪と判断した。キム氏の行動が韓米外交関係に害を及ぼす可能性があるとしても、国の存立に実質的な脅威になるというのは論理的な飛躍だという判断だ。

 検察は、宣告直後、「国家保安法違反容疑に対する無罪判断について、裁判所と見解を異にする。無罪部分と量刑について、共に控訴する予定だ」と明らかにした。キム氏の弁護人であるファン・サンヒョン弁護士も「量刑の部分と殺意などについては、裁判所が判断を誤った部分がある」とし「控訴する」と述べた。

 キム氏は、今年3月5日、ソウルの世宗文化会館で開かれた民族和解協力汎国民協議会(民和協)主催の朝食講演会でリッパート大使を襲い、果物ナイフで顔と左手首などを3回以上刺した。検察は、現場で逮捕されたキム氏を殺人未遂と外国使節暴行、業務妨害の疑いで起訴してから、7月に「韓米合同軍事演習は北侵戦争練習なので、中断すべきだという北朝鮮の主張に同調して犯行を犯した」として、国家保安法違反の容疑を追加した。

ソ・ヨンジ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-09-11 20:16

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/708565.html  訳H.J

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