カン・シンミョン警察庁長官が職務質問の基準を緩和する方向に警察官職務執行法の改正を推進すると明らかにした。マーク·リッパート駐韓米国大使襲撃事件をきっかけに、人権侵害の可能性を懸念されていた条項を押し通とうとする意向を示したもので、波紋が広がるのは必至だ。
カン庁長は16日の記者懇談会で、「今回の(リッパート大使)テロ事件を機に、現場で警察官が適法かつ堂々と活動できるように、出入り・所持品検査などを明確に行えるように、法令の裏付けが必要だ。 (現在は)法令が不十分なので、現場で警察が法に則った安全活動をまともに遂行できない」とし「法令(の内容)を補完する」と述べた。
特にカン庁長は「言いたいことがある」と自ら発言を求め、リッパート大使を切りつけたキム・ギジョン氏(55·拘束)の事例を挙げ、「既存の法令を整備して明確にしたいと思う。所持品検査は、特に制限されている」と強調した。現行警察官職務執行法には、「怪しい行動」などを取る人は所持品検査ができるようになっているが、カン庁長は、このような条件さえ緩和する必要があるとの意向を明らかにしたものとみられる。
パク・ジェジン警察庁報道官は、庁長の発言と関連して「法令改正について、政界と事前に協議をおこなったというよりは、これまでオピニオンリーダーたちに会ってそうした考えをまとめるようになった」と説明した。しかし、警察官の職務質問の権限が強化される場合、集会・デモに悪用される恐れがあり、今後の議論は避けられない。カン庁長もこれを意識したように 「私は方向性を言っているだけだ。集会・デモに関しては、(職務質問の)要件を相当厳格に解釈すべきだ」と述べた。これに先立ち、国家人権委員会は、2010年の警察の職務質問の権限を強化する警察官職務執行法の改正案に対し、人権侵害の要素があるという意見を出したことがある。
茶山人権センターのパク・チン氏は「現行の法令でも十分警察力を使用できる。警察の警護失敗をむしろ警察官職務執行法の包括的な基準に着手するきっかけにするのは、集会・デモ現場での自由を侵害する問題につながる可能性が高い」と述べた。
韓国語原文入力: 2015.03.16 20:00