ドナルド・トランプは、自身が大便でいっぱいだという事実を絶えず証明している。その巨大な排泄物が主権国家に対する再植民地化の行為として現れているいま、大腸内視鏡でトランプの植民地政治を詳細に調べることによって、自由主義世界秩序の崩壊が起きている現在の歴史的瞬間を把握する必要がある。
トランプは権威のない権威主義者だ。巨大な権力を行使し、規範・慣習・法的制約を無慈悲に破壊するが、暴力なしで権力を機能させる象徴的権威を欠いている。このような権威の不在は、彼が他者からの承認と自己イメージに執着し、象徴的承認を拒否された際には報復的な行動をとる態度として顕著にみられる。
これはトランプの対外政策を構造化する。彼はウクライナ問題で自身が平和をもたらすことはできないという事実を知っているので、中立的仲裁者の立場を取ることによって、交渉が失敗した場合の責任を欧州に押し付けようとしている。戦費と復興費用も欧州が負担するよう要求している。トランプは同盟国と弱小国には残酷だが、グリーンランド問題でそうだったように、団結した抵抗の前では退く。彼が欧州連合(EU)をロシアや中国より大きな敵として感じている状況で、欧州に必要なことは米国との急進的断絶だ。欧州がトランプの面目を立てる戦術的妥協を選んだ場合、欧州は戦略的自律性を得るどころか、米国とロシアの交渉の対象に転落するだろう。
ロシアの態度はこの構図を補完している。トランプがグリーンランド併合の理由にロシアからの脅威を挙げているにもかかわらず、ロシアは中立を維持し、事実上米国を支持している。「ロシアはグリーンランド併合、そして米国とEU間の戦争には反対しない。しかし、ウクライナを含むユーラシアはロシアのものだ」。ロシアの政治思想家、アレクサンドル・ドゥーギンを介して垣間見えるクレムリンの暗黙の戦略だ。このように米国、ロシア、中国が各自の影響圏を支配する「三極体制」の論理によって、欧州は周辺部に転落する。
トランプの植民地的論理は、米国内でも機能している。彼は移民・関税執行局(ICE)を通じて、民主党支持の強い都市に対する内部の植民地化を進めている。連邦の権力が占領軍のように機能し、市民の基本権を剥奪し、令状なしの取り締まりと恐怖が日常化している。ここには、トランプが今後の選挙に対して感じている不安が作用している。彼は選挙の中止や延期についてしょっちゅう「冗談」を口にしているが、彼がこれまで見せたパターンを考えると、喜劇のように始めた発言が政治的悲劇へと転じる可能性もある。
自由主義世界秩序は崩壊しつつある。この秩序の看板を下ろした主体は、反体制勢力ではなく大国、特に米国だ。自由市場競争と国際ルールが、かつてのように自分たちの特権を保証しなくなったため、そのシステムを自ら破壊しているのだ。この状況で欧州は、米国とロシアという巨大な勢力に挟まれている。米国とロシアはいずれも統合された欧州を嫌悪している。彼らが消したがる「文明としての欧州」という観念を問題視しているのだ。
古い秩序の死に対して、冷笑的な満足ばかりを共有していてはならない。過去の秩序の一部の規則に忠実であることには、依然として解放的な意味が残されている。ウクライナの抵抗を支持するのは、このような忠実性の一部だ。ウクライナにはさまざまな欠陥があるが、この闘争は前例のない民衆的英雄主義の行為だ。この抵抗がなかったとすれば、ウクライナはすでにロシアの一部になっていただろう。
社会民主主義モデルは限界に到達し、再びその状態に戻ることは不可能だ。欧州は冷酷な選択の前にいる。欧州は文明的遺産を放棄し、トランプ式野蛮に陥るのだろうか。それとも、ヘーゲル的な意味での「止揚」を通じて、その遺産を否定しながらも、同時により高い次元に引き上げるという難しい課題に着手するのだろうか。
スラヴォイ・ジジェク|リュブリャナ大学(スロベニア)、慶煕大学ES教授 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )