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韓国、半導体の好況が残した不平等という課題【コラム】

登録:2026-02-09 06:43 修正:2026-02-09 09:15
李在明大統領が先月21日午前、青瓦台の迎賓館で開催された2026年年頭記者会見「共に成し遂げる大転換、みんなが享受する大躍進」で記者団の質問に答える様子が、ソウル中区のハナ銀行ディーリングルームの放送画面に映し出されている=チョン・ヨンイル先任記者//ハンギョレ新聞社

 昨年の年末、不平等問題に関心のある人々にとって注目すべき研究報告が相次いで発表された。一つ目は、国会立法調査処が発表した『2025年韓国不平等総合報告書』は、福祉パネルデータを基に、所得・資産・教育・健康などを網羅した多次元的な不平等指数を算出した。多重格差という韓国社会における不平等の展開の様相を捉えるための試みだった。二つ目は、フランスの経済学者トマ・ピケティ氏が設立した世界不平等研究所(WIL)が公開した「2026年世界不平等報告書」。世界中の経済学者200人以上が参加し、世界40カ国以上の不平等のレベルを研究した年次報告書であり、グローバルな基準で韓国の不平等がどの程度の位置にあるのかを知ることができる。

 これら二つの研究は、現在の韓国の不平等状況について類似した示唆点を投げかけている。韓国社会の不平等は、所得を超えて資産を軸に深層的・構造的な段階へと進化している。累積した所得の不平等が居住地や不動産保有を中心とした資産格差につながり、主な不平等要因となっており、これが健康や教育などの社会的・生体的資本にまで重なり、不平等の根をさらに深く下ろしているという診断だ。

 幸いなことに、両報告書とも韓国の所得分配の様相については、ある程度良好な評価を下している。高齢者層が依然として生計のために労働の最前線に立たなければならない厳しい現実があるが、韓国の所得不平等は経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では比較的良好であり、多少なりとも緩和の兆しを見せているというのが国会立法調査処の分析だ。ピケティ氏の世界不平等研究所も、韓国の所得不平等は過去10年間でわずかに増加する程度にとどまっているが、資産と資産から生じる資本所得においては韓国の不平等が深刻なレベルだと警告した。蓄積された不平等は慢性疾患となっているが、不平等の発端である所得分配は多少は改善されたという診断だ。例えば、高度肥満が高脂血症や糖尿病などの代謝疾患に悪化する傾向があるが、高度肥満の原因だった摂食障害そのものは改善されている状況に例えることができる。メタボリックシンドロームに対抗するための複合処方が必要だが、着実に拡大してきた再分配政策、例えば国民負担率の引き上げや基礎年金の拡大などの努力によって悪循環の連鎖を断ち切ったとの評価が可能だったわけだ。

 問題は、このような診断が今年を境に崩れる可能性が高いという点だ。「K字型」の回復がもたらす上下の温度差のせいだ。具体的には、石油・化学・バッテリー・鉄鋼などの主要な基幹産業がすべて困難に直面している中、SKハイニックスという企業の今年の営業利益が100兆ウォン(約10兆7500億円)に迫るとの予測が示されている。同社の労使は昨年、超過利益分配の上限を撤廃し、営業利益の10%を成果給の資金に回すことで合意した。単純な推定でも、約10兆ウォンの資金がこの会社の役員と社員だけに分配されることになる。所得税を考えても、景気低迷や大量失業などの重大な経済危機に政府が動員する追加補正予算に迫る規模だ。この膨大な流動性がソウルの不動産市場や歴史的な上昇を見せている有価証券市場に移動した場合、再び所得不平等が資産不平等を深刻化させる悪循環が復活することは明らかである。韓国企業が技術競争力を基に巨額の営業利益を上げることは幸運なことだ。しかし、その恩恵が一カ所に集中し、実体経済全体に広がらなければ、別の深刻な副作用が現れる可能性があることは警戒しなければならない。

 結果的に、今年を境に韓国の不平等指標は深刻な悪化の道を進むことがほぼ確実視されている。不平等を緩和し、みんなが共に成長するための政府の特別な政策的決断がない限りは。「基本社会」を提唱して政権を握った李在明(イ・ジェミョン)政権で、分配の指標が大きく悪化しはじめたという記録を残すわけにはいかないのではないか。

 「2026年世界不平等報告書」の研究に参加したノーベル経済学賞受賞者ジョセフ・スティグリッツ氏は、自ら記した序文にこう書いた。「不平等は民主主義の構造を変化させ、社会的連合を分裂させ、政治的合意を弱体化させます。不平等を和らげることは、単に公平性の問題ではありません。経済の回復力、民主主義の安定性、そして持続可能な地球の存続のために欠かせない課題です」

//ハンギョレ新聞社
ノ・ヒョンウン | 経済産業部長(お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1243390.html韓国語原文入力:2026-02-05 07:13
訳H.J

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