規模・場所では合意できたが
北が離散家族名簿交換に難色
今後の高位級での議論を望む
「労働党創建日」時期でも異見
南北赤十字実務接触が開かれた板門店(パンムンジョム)の「平和の家」では8日午前深夜まで灯が消えなかった。南北代表団が7日午前に始めた赤十字実務接触を無泊2日で続け、面会の時期と定例化などの議題をめぐり夜通し拮抗した議論が続いたためだ。
南北赤十字代表はこの日午前、板門店平和の家で会った。実務手続き協議問題で予定より50分ほど遅れた10時50分に全体会議を始めた。当初の雰囲気は良かったと伝えられる。南側首席代表のイ・ドクヘン大韓赤十字社実行委員(統一部統一政策協力官)と北側首席代表のパク・ヨンイル朝鮮赤十字社中央委員会中央委員は笑顔で握手と歓談を交わし、協議に入った。二人は2013年と2014年の赤十字実務接触でも首席代表として向き合った旧知の仲でもある。協議に先立ちイ首席代表はこの日朝、ソウル・三清(サムチョン)洞の南北会談本部から板門店に出発する際、「すべての方の期待と念願に応じられるように最善を尽くす」と明らかにした。
南北が秋夕(中秋節、今年は9月27日)を機に面会行事を行う内容は、すでに8・25合意共同声明文に盛り込まれている。この日の実務接触でも、規模と場所をめぐり南北100人ずつが金剛山(クムガンサン)で会う方案には双方に大きな異見はなかったようだ。ただ時期では異なる思惑で協議に臨んだものと見られる。政府関係者は「南側では長距離ロケット発射が予想される10月10日の北朝鮮労働党創建日前の9月末や10月初めが望ましい考えている」と話した。
だが、北側では時間が差し迫っているという理由で行事日程を遅らせようとしている可能性がある。北側は昨年2月の赤十字実務接触の際にも似た主張をしたことがある。北側では南側から送られた離散家族100人の名簿を受けとり、北側に居住する彼らの家族を探すのに3週間程度の時間がかかると知られている。一部では「北側が10月10日の創建日行事の準備に集中する必要があるとして、その後に行事を先送りしようとしている」(キム・ヨンヒョン東国大教授)という観測も出されている。
南北が時期の問題より大きな立場の違いを見せたのは、離散家族の全面名簿交換と面会定例化の追加議題にあると伝えられた。政府関係者は「朴槿恵(パク・クネ)大統領が光復節祝辞で提案した内容であるため、わが方からは積極的に提案する」と話した。だが、北側では今回の赤十字実務接触の議題は秋夕頃の離散家族面会にあるので、これを中心に協議し、南側が提起した議題は今後の南北当局会談や赤十字会談など、さらに高いクラスの会談での議論を提起したと見られる。政府関係者は「北朝鮮はこの問題を彼らが求める金剛山観光や大規模支援などと連係させ、今後に議論する立場を守ったものと見られる」と話した。
このため南側代表団が大統領の指示を最大限に履行する姿勢を見せるためにも、会談を長引かせたり繰り返し要求した可能性が高いと思われる。南側は特に、8・25合意に「離散家族面会を今後継続することにした」という文面が入っているので、これを“定例化”と解釈して北側に協議を要求したものと見られる。一部では朴大統領が中国の戦勝式典に参加して帰国する際に“統一外交”を強調したことに対する北側の不満表出が、接触遅延といった方法をとらせているという観測も提起される。チャン・ヨンソク・ソウル大統一平和研究院専任研究員は「今回の接触は実務接触ではあるが、北側が吸収統一のための方法と認識して拒否してきた“統一外交”発言に対するかなりの不満が感じられる」と話した。
韓国語原文入力:2015-09-08 01:42