25日に妥結された南北高位級接触は、4日連続で43時間に及ぶ超マラソン交渉として異例の記録を残した。しかし、このような異例さにもかかわらず、今回の交渉は不安定な南北関係の慣性を改めて表した。
南北は今回も、本格的な武力衝突直前まで突き進む、極度の緊張の高まりを演出してから、ようやく対話と妥協を模索した。このような異常な“パターン”は、数年前にも披露された。昨年2月に南北高位級接触が実現される前、南北は、北朝鮮の「停戦協定無効化」宣言、「1号戦闘態勢」発動などで尖鋭な軍事対立局面を経験した。南北が一触即発の危機に直面してから対話と妥協で回帰する現象は、双方が極度の軍事緊張が続いたり、いかなる形であれ、武力衝突に発展される状況に対処できる政治・社会・経済的構造を備えていないことを裏付けるものと解釈される。
極度の緊張→対話・妥協の“悪循環”...南北双方に損
離散家族の再会・当局会談を超え交流・経済協力の拡大などの議論が必要
北朝鮮が労働党創建日にロケットを発射する可能性など、依然として危険要素は残る
それでも南北が今回会って合意に達したのは、少なからぬ成果という評価が多い。これまで南北当局者が一堂に会す機会そのものがなかったが、今回の合意に基づき、南北関係を築きあげられるようになったからだ。 「原則」「封鎖」「挑発」「火の海」に代表される“強対強”の対決構図よりも、危険な消耗戦、不必要な神経戦を事前に予防する対話と協力の構造を作っていける機会を迎えたといえる。
南北は今回の高位級接触で離散家族再会の行事と南北当局会談の開催、民間交流の活性化などに合意した。今回は南北当局が対話の突破口を開いただけに、秋夕(中秋節)を前後にした離散家族の再会を皮切りに、民間交流と協力の拡大、当局間会談の定例化などが実現されている手順を踏んでいくとする見通しが出ている。チョン・セヒョン元統一部長官は、「離散家族の再会問題がまず議論されるだろう。また様々な分野の交流が活性化すると、自然に経済協力などが議論され、そうするうちに南北関係全般が良くなるだろう」と述べた。政府はまず、南北が当局間の「中心協議体」を設けて会談の定例化を推進しながら、その傘下に必要な分野別に対話を組織して行く方法で、南北関係を管理する方案を構想していることが分かった。
南北関係を締め付けていた「5・24措置」を解除する論理的な基盤が整った点も注目される。北朝鮮が、地雷の爆発事件について「誰が行ったのか」という主体を明示せずに遺憾を表明した方式を、天安艦沈没の謝罪問題にも適用できるようになったのだ。南北関係全般の改善だけでなく、今回合意された民間交流の活性化のためにも、5・24措置の解除は不可欠だ。
しかし、慎重な見方も多い。これまで南北間の合意は多かったが、実際に実行に移されたことがあまりないという不信感が残っているためだ。南北は今回も会談の場を出てすぐ、地雷の爆発事件の「遺憾」の表現をめぐり、それぞれ異なる主張を展開した。北朝鮮が10月10日の労働党創建記念日にミサイルを発射するという見通しが出るなど、まだ軍事的な冒険路線を捨てていない可能性も残っている。
政府がどのような青写真を描いているのかも問題だ。政府は、今回の接触で「地雷爆発への遺憾表明」と「離散家族再会の実施」などを除いた他の分野の南北関係については具体的な内容がない原則的な合意に満足した。北朝鮮と行うべき具体的な議論がなかったのだ。政府が南北関係全般の改善案に関連し、どのような中長期的な目標と実行可能なプログラムを持っているのかについて、疑念を抱かざるを得ないのもそのためだ。キム・ヨンチョル仁済大学教授は「南北関係の勢いを回復したのは、今回の成果」だとし「南北関係が持続的に発展する中長期的な見通しを持って推進しながら、不要な刺激を避けるなど自制する努力が必要だ」と指摘した。
韓国語原文入力:2015-08-25 19:44