北朝鮮が京畿道漣川(ヨンチョン)砲撃事件と関連して前方地域に「準戦時状態」を宣言し、軍事行動を予告した。
金正恩(キム・ジョンウン)労働党第1書記は、砲撃事件当日の20日、緊急招集された党中央軍事委非常拡大会議で、「21日17時(午後5時)から人民軍前線大連合部隊がいつでも作戦に突入できる完全武装した戦時状態に移り、前線地帯に準戦時状態を宣布する人民軍最高司令官の命令を通達した」と朝鮮中央通信が報じた。金第1書記は、中央軍事委員会の委員長と軍最高司令官を兼ねている。同通信は同日の会議で決定された準戦時体制への転換の対象に、党および国家機構、政府機関だけでなく、「工場、企業所、協同農場をはじめとするすべての単位」を挙げて、今回の措置が民間まで包括していることを示唆した。
北朝鮮が宣言した準戦時状態は、北朝鮮の6段階の非常事態の第2段階で、軍を中心とした戦争直前の状態を意味することが分かった。民間まで準戦時状態に突入したのは、北朝鮮が韓米合同軍事演習のチームスピリットを問題視し、全国・全民・全軍の準戦時状態を宣言した1993年以来、22年ぶりのことだ。ただし、今回の措置は、「前線地帯」、すなわち前方に限定されているのが目を引く。通常「全軍」を対象に準戦時状態を宣言してきた前例とは異なるもので、北朝鮮側が全面的な衝突と戦争への拡大は自制しようとする意図を持っているのではないかという見通しも出ている。
金正恩第一書記、党中央軍事委緊急会議を招集
人民軍最高司令官に命令を通達
「準戦時状態」前方地域に限定
砲撃事実を全面否定
専門家ら「脅威が具体的だが
すぐに行動に出ない可能性も」
同通信は、北朝鮮当局が軍の司令官を任命して中西部前線に急派しており、軍前線司令部の攻撃作戦計画も検討・承認されたと伝えた。総参謀長や総参謀部作戦局長など軍高官を直接現場に派遣して、平壌の指示を待たずに、様々な状況に直接判断して指揮できるシステムを構築したものと解釈される。作戦目標としては「48時間以内に心理謀略放送を中止しない場合は、心理戦の手段を撃破射撃するための軍事行動と、予想される敵の反応を鎮圧するための」ものと明記された。22日午後5時まで対北放送が中断されない場合は、すぐに拡声器などを照準射撃するという警告であるわけだ。
北朝鮮が相次いで出している警告は、脅威がかなり具体的だが、北朝鮮が即時の軍事行動に出る可能性は低いものと見られている。ある対北専門家は「これまで北朝鮮が見せてきたパターンからして、彼らは期限になったとしても、すぐには行動を起こさない」とし、「もう少し雰囲気を見守りながら、今後の局面で有利な立場を占めようとする戦略を取るだろう」と予想した。北朝鮮が直接的に挑発することなく、休戦ライン一帯の長射程砲などの武器の増強を通じた“武力示威”で、韓国側の緊張度を高める方法で主導権を握ろうとする可能性も予想される。ただし、金正恩第1書記は、以前とは異なる行動パターンを見せており、予測不可能な部分が大きいと指摘する専門家もいる。
北朝鮮は砲撃事実を全面否認しながら、かえって軍事的挑発の責任を韓国側に求めている。北朝鮮のキム・ヨンチョル偵察総局長は同日、平壌で外交官と軍職員を対象に緊急ブリーフィングを開き、すべての前方部隊が戦時態勢に突入したと発表した。キム局長は、北朝鮮の砲撃について「根拠のない捏造」だと主張したとAP通信が報じた。北朝鮮メディアも韓国軍の対応射撃を非難し、「(南側が)まだ味方(北朝鮮軍)砲兵の発射原点も、自分側の地域にあるはずの砲弾の落弾地点も確認できず、味方が発射した砲弾が高射砲なのか、小銃弾なのか、ロケット弾なのかもわからない状態で、このような軍事的挑発を敢行した」と主張した。
韓国語原文入力:2015-08-21 20:04