朴槿恵(パク・クネ)大統領はフレーム争いの化け物だ。 セヌリ党のユ・スンミン院内代表を思う存分殴り倒しておきながら、政局収拾の負担はユ院内代表一人に負わせた。各紙の社説とコラムは、朴槿恵大統領に責任を問い政局の正常化を要求しているが、現実を扱う政治面の記事はユ院内代表の辞退を既成事実として扱っている。
前例のない状況で政局を展望するのは容易なことではない。 歴代のどの大統領も与党の院内代表と公開的に争ったことはない。 秘書室長、政務首席など大統領府の参謀と与党指導部が今ほど無気力に陥ったこともなかった。 セヌリ党の議員に今後予想される政局シナリオを尋ねた。
議員たちは国会法改正案の再議案件が本会議に上がる6日と、追加補正予算案が本会議を通過する7月中旬に峠が二度あるだろうと口をそろえる。 目前に迫るのは6日だ。 “親朴”(親朴槿恵系議員)が辞任期限として釘を刺した日だ。同党の金武星(キム・ムソン)代表もユ院内代表の6日辞任をそれとなく期待している雰囲気だ。 ユ院内代表の辞任は、朴大統領と親朴の政治的勝利だ。 しかし、今後の政局も一筋縄にはいかない。 院内代表を新たに選出しなければならないためだ。 最近の事態の後遺症のためか、すでに推戴論を言う人が多い。 だが、そうしてイ・ジュヨン、チョン・ウテクなど親朴指向の院内代表が決まれば、セヌリ党は“大統領府汝矣島(ヨイド)出張所”に転落することになる。 その代価は来年の総選挙で払うことになり、しかも高価になりかねない。
追い出して親朴院内代表が選出されれば
来年の総選挙で代価を払う可能性
ユ・スンミンが踏みとどまれば政権の力は弱化
解決法は大統領とユ・スンミンの和解のみ
“非朴”内から誰かが院内代表職に挑戦するかもしれない。仮に挑戦者が院内代表に当選すれば、朴槿恵大統領と親朴は直ちに没落の道を歩むことになる。
ユ院内代表が辞退せずに踏みとどまればどうなるだろうか? 朴大統領と親朴議員がじっとしてはいないだろう。 まず親朴議員と朴槿恵大統領の“無条件支持者”たちの集団デモが予想される。 大統領府が“小説”と言った離党カードを、朴槿恵大統領が持ち出して直接脅迫に出る可能性も排除はできない。 執権勢力内部の軋轢がそこまで高まれば、政権自体が傾き始めたと見なければならない。
朴槿恵大統領が選出職であるソ・チョンウォン、キム・テホ、イ・インジェ最高委員を辞退させることにより、金武星代表体制を倒す方法も理論的には可能だ。 しかし、政権次元で見れば極めて危険な選択だ。 新たに全党大会を行っても、親朴が代表職を占めるという保障がないためだ。 非朴要人が代表に再び当選すれば、朴大統領は直ちにレイムダックに陥ることになる。 結局、どちらに行っても朴槿恵政権は徐々に衰退するか、あるいは一気に没落する道に進まざるをえないわけだ。
政権の破局を防ぐ方法が一つある。 朴大統領が考えを変えて、ユ・スンミン院内代表の手を握る道だ。 だが朴大統領の性格から見て、現実化する可能性はないと見なければならない。
気が気でないセヌリ党の議員たちは、金武星代表の役割に最後の期待をかけている。 嶺南(ヨンナム)地方区の再選議員はこう語る。 「昔、大人たちは夫婦げんかをする時には子供たちをみな外に行かせた。 大統領と与党の喧嘩を全国民の前に見せるのは間違いだと思う。 静かに解決しなければならない。 イ・ビョンギ秘書室長と金武星代表に役割を与えなければならない。 それが朴槿恵大統領も生き、セヌリ党も生きる道だ」