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[ニュース分析] 異常が日常化する朴大統領

登録:2015-06-30 01:13 修正:2015-06-30 11:46
 国会麻痺させて「補正処理」督促
 議員たちが選んだ与党院内代表に“不信任”
朴槿恵大統領が29日午前、大統領府で開かれた首席秘書官会議を主宰し、冒頭発言をしている=イ・ジョンヨン記者//ハンギョレ新聞社

 朴槿恵(パク・クネ)大統領は29日午前、大統領府で首席秘書官会議を主宰し、午後には革新改革課題点検会議に出席した。国会法に対する拒否権の発動やユ・スンミン院内代表の去就と関連し、いかなる言及もなかった。中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス関連対策を指示し、教育関連の懸案を取りまとめるなど、日常的な業務に復帰したかのような穏やかな様子だった。

 しかし、この日、国会は終日激しく揺れた。与党院内代表に裏切り者の烙印を押し、政界を「国民の生活を人質に利益を得ようとする旧態政治」だと断じた朴大統領の爆弾発言に、すべての議題は中断され、与党は内紛に包まれた。予定された国会常任委員会の日程と決算審査も不透明になり、朴大統領が不満を爆発させた法案の処理も、いつ再開されるか見通しが立たなくなった。朴大統領はこの日、首席秘書官会議で、下半期補正予算と関連して「タイミングを逃すと、お金ばかり出て効果は上がらないので、莫大な借金だけが残る。スピードが非常に重要だ」と注文した。しかし国会では、補正のための党政協議などの日程がすべて中断された状態だ。

朴槿恵大統領の拒否権行使とユ・スンミン辞退世論 (1) //ハンギョレ新聞社

 首席会議主宰「補正、タイミングが重要」
 状況収拾するつもりも、妥協もなく
 「ユ・スンミン追放」の指針だけ与えて「とにかく解決しろ」
 「大家も店子をこんなふうには追い出さない」

 さらに大きな問題は、朴大統領にはこのような状況を是正するつもりも、意志もなさそうだということにある。野党どころか与党指導部の説得に乗り出す様子もなく、かといって与党が第3の代案を提案する少しのスキも与えない。与党の一人は「与党に少しの裁量権や妥協の余地のない“ユ・スンミン追放”という指針を与えて、党がどうなろうともお構いなしで、とにかく解決しろという無責任な態度」だとし、「自分が公党の主だという考えも問題だが、百度譲って、朴大統領が家主だしても、最近は店子をこのように無慈悲に追い出す大家はない」と指摘した。自分が国会議員をやっていくときとは変わった与野党の関係を考慮せず、自分の考えだけが正しいと我執と独善を繰り返しているという指摘だ。

朴槿恵大統領の拒否権行使とユ・スンミン辞退世論 (2) //ハンギョレ新聞社

 しかも、朴大統領が国会で足止めされて3年目になると指摘した法案を見ると、ほとんど与野党が尖鋭な異見を示すものがほとんどだ。 19代国会から適用された、いわゆる「国会先進化法」のために通過が困難だが、その先進法案を処理する時に、朴大統領は多数党であるセヌリ党を率いる非常対策委員長だった。

 行政府の首長である大統領が、議会の核心人物の一人である与党院内代表に向かって公然と不信任を宣言し、「裏切り者」という感情的な烙印を押すこと自体も異常だ。ユ・スンミン代表体制の元では、党政協議ができないとし、大統領府がユ代表の去就と党政協議を連携させているのも異常だとする声が多い。国民の投票で当選した国会議員が直接選挙で選んだ与党の院内代表を、大統領が出て行けということ自体が問題として挙げられる。政界の一部から朴大統領が就任初期掲げた「異常の正常化」を引用し、「異常の日常化」という自笑が出てくるのも、このような状況と無関係ではない。

 このすべての異常は、朴大統領が大統領職を「帝王的権力」と認識することから始まった側面が大きいが、自らは李明博(イ・ミョンバク)政権の時、世宗(セジョン)市修正案で大統領府に正面から立ち向かい、「原則の政治家」というイメージを得ていたのも興味深い点だ。大統領の任期は5年だが、ちょうど5年前の2010年6月29日、当時のハンナラ党朴槿恵代表は、世宗市修正案を処理するための本会議で、直接反対討論に出てこう一喝した。 「どちらか一方は国益を考えて、他の一方は票を考えるという二分法から脱しなければならない。与党か野党か、保守か革新かにかかわらず、私たちはすべて大韓民国の国民だ」

ソク・チンファン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-29 21:47

https://www.hani.co.kr/arti/politics/bluehouse/698097.html  訳H.J

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