登録 : 2015.06.18 01:18 修正 : 2015.06.19 08:15

17日午後、ソウル中浪区新内洞にあるソウル医療院の隔離病棟で担当看護師がここで治療をうけて死亡した患者のベッドを消毒している=シン・ソヨウン記者//ハンギョレ新聞社

 「防護服のフード(顔面保護具)がなかなか手に入りません。規定では一度使用して捨てることになっていますが、フードが足りないため、再利用する場合もあります」

 16日午後、ソウル市中浪(チュンナン)区新内(シンネ)洞にあるソウル医療院の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの隔離病棟。モニタールームで映像を通じて患者の状態を注視していたチェ・フィジョン看護師(48)は、「足りないのは人手だけではない」と“MERS最前線”で死闘を繰り広げている公立病院の医療スタッフの苦痛を伝えた。

 午後のシフトに出た看護師2人が頭からつま先まで防護服と防護具を入念に着用し始めた。緊張感が滲み出ていた。彼らは2時間、隔離病室に投入され、患者の状態をチェックし、意識不明の患者の姿勢をこまめに変えてあげるとともに、MERSの典型的症状である痰を除去する業務を担当する。

 感染の危険が高いにもかかわらず、2人の看護師のうち、1人だけが電動呼吸装置(PAPR)と顔面保護具を備えたC級の防護服を身に着けていた。残りの看護師は、ゴーグルと防疫マスクのみを着用したD級の防護服姿だった。通常、隔離病室に投入されると、2時間ずつ働いて交替するので、ここでは1個あたり8万〜10万ウォン(約8千~1万1千円)の使い捨て顔面保護具が一日に24個必要だが、最近需要が急増し、予算があっても確保が難しいという。このため、消毒して再利用したり、症状が重い患者たちを担当する医療スタッフだけが呼吸装置を着用するという。イ・インドク看護部長は、「人員の投入から物品の調達まで、全部病院に委ねられている。国家的災難の中、公立病院が先頭に立っているが、国の支援はあまりない」と述べた。

 防護服に着替えたオム・ミンソン(31)、パク·イニ看護師(27)が二重に遮閉された隔離病室に入る前に、お互いの服に異常がないか再確認した。オム看護師は、「防護服を着てから5分も経たないうちに全身が汗まみれになり、ゴーグルが曇って視野が確保できない。厚い防護服を着て手袋もはめているので、すべての感覚が鈍くなったまま、患者の世話をしている」と話した。

 40人が15病床24時間の世話
 「2時間ずつ交代...疲労感ピークに
 症状重い患者相次いでくると交互もできず
 防護服看護師の感染のニュースに複雑な気持ち」

 保護具足りず、消毒して再利用
 「人員投入から物品調達まで
 すべて病院任せ
 国家的災難なのに、支援はあまりない」

 4年前の移転当時、隔離病床の拡充方針を貫く
 「万が一の事態に備えるのが公共医療
 晋州医療院の閉鎖などの政策の変化...
 しかし、見てもらいたい
 今、誰が、どこで、何をしているのか」

 何よりも怖いのは感染の恐怖だ。最近コンヤン病院で心肺蘇生を施していた看護師が、防護服を着用した状態でも、MERSに感染したというニュースが伝えられた。パク看護師は「私たちも怖い。しかし、患者が私たちを必要とする以上、行くしかない」と話した。

 先月26日、MERS確定者の治療を開始したソウル医療院では、感染者14人が隔離治療を受けている。これまで4人が完治して、2人は遺体となって、ここを去った。医師4人、看護師39人が1日24時間3交代で、隔離病棟で勤務する。しかし、MERSで症状の重い患者たちが相次いで入ってくると、交代周期を守れられず、息つく暇もなく再投入される。

 ソウル医療院には、元の国指定入院治療隔離病床が5床あった。MERS感染者が急増すると、独自で数日間の徹夜作業の末、2人部屋隔離病床10床を一人部屋の隔離病床に変えて、今月9日から15の隔離病床を運営している。隔離病棟を担当するチェ・ジェピル感染内科課長は「医師はもちろん、陰圧設備を扱う技術チームと行政職員たちも皆徹夜で働いている。公立病院でなければ責任を負えない状況だ」と述べた。

 しかし、チェ課長は、「限界も感じる」と話した。全国国指定入院治療隔離病床運営病院17カ所のうち13カ所がソウル医療院のような公共の病院だ。ソウル医療院は隔離病棟投入医療スタッフ40人のほか、MERS感染の疑いのある患者の選別診療所に約20人を追加投入したが、別途の補充なしに既存の業務から人員を回してもらっている状況である。1カ月以上に及ぶ死闘により、医師の疲労感はピークに達しているという。キム・チャンボ・ソウル市保健企画官は、「集中治療室でのキャリアを積んだ精鋭が必要だ。他の公立病院から人材を回してもらうしかないけど、ほとんど余裕がない状況だ。民間病院での人材を借りてくるのは、事実上不可能だ」と述べた。

 ソウル医療院が2011年にここに移転した当時、チェ課長は疾病管理本部の指針が求める陰圧設備を備えた隔離病床の5床の他に、“万が一”に備え隔離病床を20床追加で作ろうとキム・ミンギソウル医療院院長に要請した。お金はたくさん要るが、収益性は伴わない措置だった。普段使用しない隔離病床を維持することは、むしろ監査対象になることもある。それでもソウル医療院は万が一のために2人部屋の陰圧病床10床を追加で備えた。そしてそれから4年後、ここはMERSの拡散を防ぐ“最前線”となった。

 チェ課長は「万一の事態に備えて負担を負うのが公共医療機関の役目」だとした。キム院長は、「晋州(チンジュ)医療院の閉鎖からも見られるように、医療政策の基調が公共医療の投資を減らし、民間病院を中心としたものに変わろうとしている。しかし、今、誰が、どこで、何をしているかをちゃんと見てもらいたい」と話した。

ホ・スン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-06-17 20:14

http://www.hani.co.kr/arti/society/health/696473.html 訳H.J

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