外交部は「基本的立場を交わした」と説明
クォン・ヨンセ元中国大使「中国、サード反対発言」
「(サードの韓国配備と関連して)中国の関心を重視することを望む」。単刀直入な発言だった。16日、韓中外交次官補協議を終えた劉建超(リュ ・ジェンチャオ)中国外交部部長助理(次官補級)は、取り囲む記者たちの前で、米国のサード(THAAD/高高度防衛ミサイル)の韓国配備に関連した中国の立場を単刀直入に明らかにした。 劉部長助理は中国語で“関心”とだけ話したが、中国外交部所属の通訳は“関心と憂慮”と強度を高めた。 劉部長助理は「我々は米国と韓国の双方がサード問題に対して妥当な決定を下すことを望む」と強調した。
発言は中国の既存の「慎重で適切に処理することを希望する」という公式の立場(外交部スポークスマン論評)を上回るものだ。事実上の“外交的圧迫”とまで評価されている。彼はサード問題を議論したかと問われ「極めて率直で自由な疎通を行った」と答えた。外交で“率直”という表現は、まだ整理されていない粗い意見の表出を意味する場合が多い。 サードの朝鮮半島配備に反対する中国側発言の強度がかなり強かったことが察せられる。
サードと中国の主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)への韓国加入など、外交懸案を巡る米中2大国の高位級外交折衝戦がソウルで始まった16日、砲門は中国側が開いた。 前日訪韓した劉部長助理はこの日午前10時33分、韓国政府ソウル庁舎別館に到着し協議に臨んだ。 会議は昼休みに食い込み12時40分頃に終わった。
劉部長助理の今回の訪韓は、昨年12月初めにイ・ギョンス次官補の中国訪問に対する答礼形式で、当初は早目に予定された儀礼的な訪韓だった。 しかし最近、韓中間にサードとアジアインフラ投資銀行などの懸案が浮上して関心の的となった。劉部長助理は腹を括ったようにこの日午後遅く、国会でナ・ギョンウォン外交統一委員長と会い、サードと関連した中国側の憂慮を繰り返し提起した。 次官補協議に先立ち別に韓国記者たちと懇談会を行うほど、世論戦でも積極的に動いた。
「戦略的曖昧性」を主張してきた韓国政府は、「基本的立場」をやりとりしただけだと明らかにした。 政府当局者は「サード問題は韓中間の公式議題や懸案ではない」として「(全体協議の中で) 5分は超えていないと理解している」と話した。「中国当局者が駐中韓国大使館等を通してサードに関連して憂慮を伝えてきた」というこの日の一部メディアの報道に対しては、ユン・ビョンセ外交部長官が記者たちに「小説のような記事を書く人がいるようだ」と否定した。 だが、クォン・ヨンセ元中国大使はハンギョレとの通話で「中国が(大使時期に)たびたび会う都度、サードの韓国配備に否定的という意向を伝えられた」として、ニュアンスが異なる反応を示した。 威嚇的言辞は使われなくても、直球の反対意志の伝達が非公式的にでもしばしばなされていたということだ。
この日の韓中次官補協議では、アジアインフラ投資銀行加入に対する意見交換もあった。 中国側が韓国に「創設メンバー」になることを求める意思を伝えたことに対し、韓国側は「経済的実益と支配構造および銀行としての要件を検討し決めていく」という多少原則的な立場を明らかにした。
同日午後、1泊2日の訪韓日程を始めたダニエル・ラッセル米国務省東アジア太平洋担当次官補は空港で会った記者たちに「まずマーク・リッパート駐韓米国大使に会う」としながらも「韓国外交部で多様な範疇の同盟関連イシューについて多くの会議を行う」と語った。リッパート大使襲撃を機に一気に熱が入った韓米同盟を強調することにより、サードやアジアインフラ投資銀行問題で韓国が中国に“傾倒”することに対する警戒のメッセージを遠回しに送ったものと分析される。 ラッセル次官補はこの日、劉部長助理に会ったイ・ギョンス外交部次官補に17日午前に会う。 アジアインフラ投資銀行加入に対する米国側の憂慮を伝え、サード配備に関連し韓国側に意見を打診するなど、韓国を相手に本格的な対中国外交折衝戦に乗り出すものと観測される。