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米中次官補が異例の同時訪韓…AIIBとサードで板挟みの韓国

登録:2015-03-15 22:54 修正:2015-03-16 12:27
韓米中の外交懸案関連の立場。 //ハンギョレ新聞社

 米国と中国の朝鮮半島担当次官補級の高位外交当局者が連日ソウルを訪れる。両国は、中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)への韓国の参加と、米国のサード(THAAD/高高度防衛ミサイル)の朝鮮半島配置問題などをめぐり、鋭く対立してきた。ソウルを舞台に、外交懸案をめぐり韓国を自分の側に引き込もうとする、2大国間の高位級外交戦の幕が上がったのではないかという観測が出ている。

 15日、劉建超(リュ ・ジェンチャオ)中国外交部部長助理(次官補級)が訪韓したのに続き、16日にはダニエル・ラッセル米国国務省東アジア太平洋次官補がソウルに到着する。彼らは、それぞれ16日と17日、イ・ギョンス外交部次官補と面談し、チョ・テヨン外交部第1次官を表敬訪問する。

 ラッセル次官補の訪韓は、14日、予告もなく突然発表された。今まで米国高位外交当局者は韓中日などいくつかの国を歴訪してきたのとは異なり、韓国を単独訪問して帰るという点も異例だ。劉建超部長助理の訪韓に対抗し、最近浮上されている外交懸案で韓国側の支持を確保するため、急遽ソウル行きのフライトを予約したではないかという分析が出ているのもそのためだ。

 まず、韓国はアジアインフラ投資銀行の参加をめぐり、中国と米国からそれぞれ積極的な求愛と否定的なシグナルを同時に受けてきた。中国は韓国に今月末までに加入の決定を下してほしい要請した状態だ。劉建超部長助理も今回の訪韓で韓国の速やかな決定を再度求めるものと見られる。

 一方、米国は中国が主導するアジアインフラ投資銀行が米国中心の国際金融秩序を揺るがす脅威となると見て、「ガバナンスの不透明性」などを掲げて同盟国の参加に原則的反対の立場を明らかにした。しかし、最近の最大の同盟国である英国が米国の引き止めを振り切って加盟決定を下すなど、難しい状況に追い込まれた。アジアの主要な同盟国である韓国が参加を選んだ場合、アジアインフラ投資銀行をめぐる中国との競争で完敗することになる。それほど切迫した状況だ。キム・ジェチョル カトリック大学教授は、「米国としては、韓国を引き留めておく必要が大きくなった可能性がある」と述べた。

 しかし、主要7カ国(G7)の一員である英国の加盟決定で、事実上米国が韓国を引き留める名分はなくなったとの分析も一部から出ている。ワシントンのある外交筋は、「英国の加盟宣言で状況が完全に変わった」とし「韓国の加盟決定も時間の問題」だと述べた。米国は、このような最悪のシナリオに備えるという意味で、韓国など同盟国がこの銀行に加盟しても、中国を牽制する役割を果たしてくれることを要求する可能性があるという観測もある。シン・チャンフン産政策研究院研究委員は、「米国が積極的に韓国の加盟を止めようとしたのなら、ラッセル次官補ではなく、経済の方の高官を送っただろう」と分析した。

 サードの韓国配置をめぐっても米中間の神経戦が繰り広げられる公算が高い。最近、セヌリ党のサード配置公論化の声が出てくる状況からして、ラッセル次官補よりも劉部長助理の方が断固とした反対の声を出す可能性もある。中国は最近、相次いで「サードの韓国配置に反対」を強調してきた。

 2大国に挟まれた韓国政府としては、今回の「同時訪韓」により更なる負担を抱えることになった。政府はこれまで2つの事案について二進も三進もいかず、曖昧な態度を見せた。朴槿恵(パク・クネ)大統領は昨年の韓中首脳会談で、習近平主席が公然とアジアインフラ投資銀行への加盟を勧めたにもかかわらず、米国を意識して明確な立場を示せなかった。在韓米軍のサード配置についても「米国から通告を受けたことも、米国と協議したこともない」とし、論点を避けてきた。

 政府は、今回の同時訪韓が韓国をめぐる米中間の外交戦として映ることを負担に思っている。外交部当局者は「ラッセル次官補の訪韓は、リッパート大使襲撃事件を契機に韓米同盟の強堅さを再確認するのが主な目的だ」とし「サードやアジアインフラ銀行などは重点協議対象に入っていない」と語る。しかし、これからは韓国の国益に合わせて、アジアインフラ投資銀行への加盟などに堂々と声を出さなければならないという指摘が出ている。ムン・ジョンイン延世大学教授は、「韓国が米国の顔色を窺ってこのまま『曖昧さのゲーム』を続けていたら、米中両方から攻め込まれるかもしれない。主観を持って両国を相手にしなければならない」と注文した。

ソン・ウォンジェ記者、ワシントン、北京/パク・ヒョン、ソン・ヨンチョル特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015.03.15 21:07

https://www.hani.co.kr/arti/politics/diplomacy/682350.html  訳H.J

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