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韓米FTA毒素条項で韓国の薬代負担が増える

登録:2015-03-11 09:34 修正:2015-03-11 11:07
 抗癌剤やワクチンなどバイオ医薬品も
 複製薬の発売を9カ月先延ばし
 FTA履行ために薬事法改正
 リッパート駐韓大使が新薬処に圧力
複製薬 //ハンギョレ新聞社

 韓米自由貿易協定(FTA)履行のための薬事法改正過程で、値段の安い複製薬の発売を遅らせる「許可・特許連係制度」をバイオ医薬品まで幅広く適用するよう法が改正され、国民の薬代の負担が大きく増えることになった。

 3日に国会を通過し、韓米協定発効3周年を迎える15日に施行される改正薬事法によると、化学調製(調剤)法で生産される通常の医薬品だけでなく、ワクチンや抗癌剤のようなバイオ医薬品にも許可・特許連係制度を拡大して適用させ、値段の安い複製薬(バイオシミラー)の発売を事実上、無条件に9カ月遅らせる条項が新たに盛り込まれていたことが分かった。

 韓国では、製薬会社が食品医薬品安全処に複製薬許可を申し込めば、安全性だけを検討して許可を出し、市販した後にオリジナル製薬会社が特許侵害の余地があると判断した場合、特許訴訟で勝訴してから損害賠償を受ける制度が運用されてきた。これと異なり韓米協定で導入した許可・特許連係制度は、値段の安い複製薬を作るのに成功した製薬会社がオリジナル製薬会社にこれを通知し、通知を受けたオリジナル製薬会社が特許侵害訴訟を起こせば無条件9カ月間複製薬の販売を禁止できるようにした。オリジナル製薬会社が後に特許訴訟で負けても、複製薬を作った製薬会社は損失補償を受ける方法がない。このため許可・特許連係は国民の薬代の負担を増やし、健康保険財政を揺さぶる韓米自由貿易協定の代表的な毒素条項と非難された。

 複製薬が発売されればオリジナル薬は30%ほど価格が落ちる。したがって複製薬許可が遅れると高い薬代をそのまま受け入れざるを得ず、重症患者の家庭や健康保険財政に大きな負担になる。特に問題となるのは、注射1本100万ウォン(約11万円)を上回るバイオ医薬品系の一部抗癌剤まで許可・特許連係制度の対象になったという点だ。

 一部の国会議員と保健医療関連の市民団体は先月、国会薬事法改正の過程で「米国もバイオ医薬品に対しては許可・特許連係制度の中心となる無条件な「複製薬販売禁止申請権限」を適用しないでいるのに、韓国にだけ不利な条項にさせてはならない」と反発した。現実に米国は、通常の医薬品と異なりバイオ医薬品に対しては別途法を設け、特許紛争を提起するオリジナル製薬会社に複製薬販売禁止を申し込む権限を与えていない。にもかかわらず韓国の産業通商資源部の守勢的な態度もあって3日に改正薬事法が通過した。

 キム・ヨンイク議員室(新政治民主連合)は、リッパート駐韓米国大使が先月17日にチョン・スン新薬処長宛に「韓米協定上、許可・特許連係義務はバイオ医薬品を含むすべての医薬品に対して適用されなければならないという点を確認したい。(中略)私たちは環太平洋パートナーシップ協定(TPP)でもそうした保護(バイオ医薬品特許保護)を追求しているということをあなた方も知っていると思う」という内容の書簡を送ったと明らかにした。

チョン・セラ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.03.11 01:24

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/681732.html 訳Y.B

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