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盧武鉉政権の南北会談議事録削除問題、政治検察の狙い撃ち捜査だった

登録:2015-02-06 20:39 修正:2015-02-07 09:32
裁判所「南北首脳対話録抄本は大統領記録物ではない」
抄本削除容疑の盧政権元高官の2人に無罪判決
検察起訴内容は「納得し難い」と一蹴
ペク・チョンチョン元大統領府統一外交安保政策室長(右)とチョ・ミョンキュン元大統領府安保政策秘書官が6日、ソウル中央地方法院で2007年の南北首脳会談議事録抄本削除容疑で無罪判決された後、「判決は自明の結果と考える」と話している。 シン・ソヨン記者 //ハンギョレ新聞社

 2007年の南北首脳会談議事録の抄本削除は正当な措置だったとする判決が下された。 大統領が再検討と修正を指示した以上、抄本は大統領記録物でないとする判断からだ。2012年の大統領選挙を控え問題になった盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の西海北方境界線(NLL)放棄発言の文書流出と、国家情報院コメント事件で苦境に立たされたセヌリ党が、南北議事録削除問題で攻勢に出たものの、結局これは政略的な思惑からだったとする判断が下されたことになる。また、検察も政権の思惑に合わせた狙い打ち捜査をした批判を免れにくくなった。

 ソウル中央地方法院刑事30部(裁判長イ・ドングン)は6日、議事録抄本を削除した容疑(大統領記録物管理法違反など)で起訴されたチョ・ミョンキュン元大統領府安保政策秘書官(58)とペク・チョンチョン元大統領府統一外交安保政策室長(72)に無罪を宣告した。 「最終単一本を前提に作成された議事録抄本は大統領記録物とは見難い」というのが主な理由だ。

 チョ元秘書官とペク元室長は2007年10月、盧泰愚大統領と金正日(キム・ジョンイル)北朝鮮国防委員長の南北首脳会談議事録抄本を大統領府電子文書管理システムである「イージーワン」で無断削除した疑いで起訴された。検察は盧元大統領側が自分たちに不利になる内容を修正するため議事録を削除したのは不法行為に当たるとし、結審公判で二人に対し懲役2年を求刑した。

 しかし裁判所は盧元大統領が抄本の報告を受けた後 再検討と修正を指示しているので最終完成本でない抄本は大統領記録物とは看做せないと明らかにした。裁判所は「盧元大統領は(議事録抄本が添付された決裁・報告様式である文書管理カードを)チョ元秘書官に戻して内容を再検討したうえ修正するよう指示したのは明白だ」と指摘した。

 検察は抄本であっても決裁権者が電子署名をしたものは公式な大統領記録物であり、無闇に削除できないと公判で主張した。だが、裁判所は検察の論理は納得し難いとした。裁判所は「検察の主張通りなら、再検討したり修正の必要があるのに登録される不適切な文書も、直ちに登録し管理しなければならない納得し難い結論に至ることになる」と明らかにした。さらに録音ファイルを文字に直す録音収録抄本は、結局は完成本のために作成されるものであり、完成本を作った後も抄本をそのまま残しておけば、秘密流出の危険もあるので抄本は削除されて然るとした。これは検察の起訴が当初から無理があるとしてきた参与政府(盧武鉉政権)側の人たちの主張をそのまま受け入れたものといえる。抄本削除は違法でなかったばかりか、完成本ができた状態での抄本削除はむしろ当然だとするのが裁判所の判断だ。

 2007年10月に平壌で開かれた南北首脳会談の議事録は二つ作成された。当時チョ秘書官は国家情報院から盧大統領と金委員長の議事録の録音収録を伝達され、議事録抄本を作った。さらにイージーワンを通じ「南北首脳会談会議録報告」という題名で抄本を添付し大統領に決裁を求めた。大統領はこれを決裁し、「今後は該当分野を扱う責任者は対話内容と雰囲気をよく知っておく必要があるだろう。正確性、完成度が高い議事録として整理し保安をどうするかも安保室で責任をとって判断してほしい」などの意見を付け加えた。つまり再検討と修正指示をしたのだ。チョ秘書官は抄本を整えた完成本を大統領から承認を受け、盧大統領退任直前の2008年1月に写本を国家情報院に伝達した。その後抄本はイージーワンで削除された。

 抄本削除の事実は5年後に知られた。与野党の議員が2013年7月に大統領記録館を訪ねこの事実を確認した。当時の政界では「NLL放棄発言」が再び問題にされたが、議事録内容を直接確認しに行った議員は議事録を探せず「議事録が消えた」と発表した。これに対しセヌリ党は「議事録を削除した者に処罰を求める」と検察に告発。議事録を流出させ窮地に追い込まれたセヌリ党が、削除問題で攻勢に出たのだ。ソウル中央地検公安2部(当時部長キム・グァンス)は2013年11月、盧元大統領の指示により議事録抄本を削除した疑いでチョ元秘書官とペク元室長を不拘束起訴した。

 ソ・ヨンギョ新政治民主連合報道官はこの日、「大統領府の思惑で始まった無理な捜査による検察起訴が無罪に帰結したことで、恥ずべき検察の自画像が晒されることになった」とし「大統領記録物の流出という過ちをを前政権に押し付けたセヌリ党も国民に謝罪すべきだ」と促した。盧武鉉財団も声明を出し「常識と合理に沿った当然の結果であり、政治検察の狙い打ち捜査とごり押しの主張に司法が厳重な警告をした」と明らかにした。

キム・ソンシク イユ・チュヒョン記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.02.06 22:13

https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/677279.html
訳Y.B

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