登録 : 2015.01.19 22:37 修正 : 2015.01.20 13:12

海洋ボーリング「サビアペルー」に行ってみると…

ペルー大統領も止めたのに…
「3億ドルのものを12億ドルで即断」

李明博(イ・ミョンバク)政府の“資源外交”事業が政治の真ん中に立つことになった。2月中旬から国政調査が本格化するものと展望される。 資源外交は、李明博大統領の任期初年度の国政課題だった。 5年間、公企業が先頭に立った80の事業に31兆2600億ウォンが投入された。 資源外交事業に乗り出した民間企業に与えた成功払い融資や税制減免の恩恵などを合わせれば、その規模ははるかに増大する。

李明博前大統領は国政調査の証人として出席するかどうかを尋ねる記者たちに「荒唐無稽な話」と言い切った。 ハンギョレが国会の本格的な国政調査に先立って、“新聞紙面での国政調査”を企画した。3カ月間追跡した探査企画を5回にわたって掲載する。

サビアペルー(Savia Peru)

 2009年2月、韓国石油公社がコロンビア石油公社とともに買い入れたペルーの石油会社だ。 ペルー北部の西側海上に位置した海上鉱区で、石油を生産し探査する企業だ。 韓国石油公社にとって初の外国石油会社の吸収・合併(M&A)事例だ。 累積投資額は7100億ウォンで、ソウル市無償給食予算(1400億ウォン)の5倍だ。 石油や収益を国内に全く持って来れずに現在は売却推進中だ。 2009年初め、アラン・ガルシア元ペルー大統領が“取引しないように”要請したが、韓国政府と石油公社は取引を強行した。

7日午後、ペルー北部の海岸で石油ボーリング船の間を船舶が行き来している。リマからタララ行きの飛行機から撮影。 タララ/チェ・ヒョンジュン記者//ハンギョレ新聞社

 写真でしか見たことの無い景色が目の前に広がった。 砂漠の切れ目から真っ青な海が広がっていた。 海にはキュービック形の石油プラントがぽつりぽつりと建っていた。 その間を船が行き来し、海辺の片隅にはオイルタンクが林立していた。 死んだオットセイが頻繁に流れて来るという浜辺では、現地の人たちが水遊びを楽しんでいた。 しかし40ドル以下に下がった原油価格のように、海の上の“石油畑”にはまったく活気が見られなかった。 原油価格は6カ月前にはバレル当たり100ドルを上回っていた。手で捕えられそうなほど近くで見た海上プラントには、予想した火柱などは見られなかった。

 海底を通って陸地に設置された輸送用パイプラインは薄くやせこけたものだった。熱い太陽が照りつける町もやはり萎れていた。 真っ黒な顔の現地の住民たちは、遠くから訪ねてきた“コリアーノ(韓国人)記者”に「サビアではここ何年も新しい油田が見つかっていない。(探査鉱区では)水を汲み出しているだけだ」として、心配そうな顔で話した。 先月7~8日(現地時刻)に訪問したペルー北部海岸の砂漠都市タララの風景だ。

 韓国石油公社は2009年2月、コロンビア石油公社(エコペトロール)とともにタララの石油会社サビアペルー(サビア)を買収した。 探査鉱区10カ所に生産油田1カ所の事業権を取得するために12億ドル(約1兆3千億ウォン)を支払った。2社が折半して負担した。 ペルー海上鉱区の4分の3を占め、一日平均石油1万余バレルを生産する中小型油田だ。 吸収は李明博政権になり2008年から本格化した石油公社大型化の“信号弾”だった。 政府は資源輸入量のうち韓国が直接生産する比率である自主開発率が0.3%上昇することになったと広報した。 生産量も2015年までには現在の約5倍の日平均4万5000バレルに増えるというバラ色の展望を出した。

外交チャンネルを通した“吸収反対”忠告を無視
韓国石油公社、やみくも購入して詐欺に遭う
当時の大使「大統領がやると言うのに…」
石油公社も管理から手を離し…売却を推進中

7日タララの海岸で撮ったサビアペルーの海上ボーリング船。タララ/チェ・ヒョンジュン記者 //ハンギョレ新聞社
 6年余の歳月が流れた今、石油公社はそんな目標を達成できずにサビアの売却を推進中だ。 生産量は数年間にわたり1万バレルのままで、その間に生産した石油も韓国国内に持って来ることはなかった。 過去5年間に1811億ウォン(公社持分のみ反映)の当期純利益が出たと言うものの、全て再投資されている。国内には一銭も搬入されていないわけだ。泣き面に蜂で、税金・罰金を巡ってペルー政府および売却者との訴訟が続いている。

 南米に基盤を置く独立メディア『IPSニュース』のアンヘル・パエズ記者は「サビアの売買はペルー大統領までが止めた取引だった。(このような状況は)予告されていたと言える」と話した。 彼はサビア売買に対する深層分析記事を2009~2010年に何度も書いた。 サビアを韓国石油公社に売ったアメリカ人ウィリアム・ギャロップは譲渡税を払わない方式で取引を推進し、2008年末にペルー政界を席巻したいわゆる“オイル スキャンダル”盗聴の黒幕に名指しされ注目を集めた。

 実際、ハンギョレがキム・チェナム議員室を通じて確保した当時の3級秘密文書には、このような情況がそっくり含まれている。 サビア売買の直前である2009年1月20日から2月6日まで、外交通商部とペルーおよびコロンビア駐在韓国大使館が6回やりとりした対外秘文書を見ると、ガルシア前ペルー大統領は「(サビアに対する)不正疑惑が提起され続けている現状況から見て、これを買収しない方が良い」という意思を2009年1月末に韓国側に明らかにした。 ベラウンデ元ペルー外交長官も「今回の吸収契約が締結されれば両国関係の発展に少なからぬ悪影響を及ぼすと見る」と話した。

 当時、韓国政府と石油公社はこうした忠告を受け入れなかった。ハン・ビョンギル元ペルー大使はハンギョレとの通話で「(私も)サビア取引には否定的だった。しかし(李明博)大統領がやると言うのに、一介の大使が(取引を)止めようとは言えなかった」と話した。

 李明博政権の意志により取引がなされたが、ペルー議会はサビア売買完了の1週間後である2009年2月中旬にサビア売買の不法性を調査する真相調査委員会を設けた。約 1年後に何と4億8200万ドルの未納税金と罰金などを賦課した。

 7161億ウォンが投資されたサビア吸収は国民に宣伝した資源の確保も、金銭的収益も、外交的にも全く得にならなかった。

9日、ホルヘ・サコネティ サンマルコス国立大学教授がハンギョレ記者にサビアの経営現況について説明している。 リマ/チェ・ヒョンジュン記者 //ハンギョレ新聞社

 9日午後、ペルーのリマにあるサンマルコス国立大学でホルヘ・チャコネティ教授(経済学)に会った。 南米で最も伝統があり、ペルーの貧しい秀才たちが多く通うという大学だ。 教授は昨年サビア労組側の要請でサビアの経営現況に対する評価を行ったことがある。 経済学者らしく各種の統計資料を準備して韓国からきた記者をむかえた。

 当初30分を予定していたインタビューは2時間にわたって続いた。 老教授は汗を流しながら黒板に、タララ海上プラントの構造とサビア契約の特徴などを説明した。 「韓国がペルー政府の警告を無視してサビアを買ったことは誤った選択ではなかったか」という記者の質問に、彼は笑って「必要ならば買うことは良い。しかし、余りに高く買った。私が見るには3億ドルで充分だった。 9億ドル(最終12億ドル)で買ったので、一言で言えば詐欺にあった」と話した。 李明博政権の“資源外交”取材のために南米に出張にきて、一週間目でついに“詐欺”という単語を聞くことになった。

 サビアを石油公社に売ったアメリカ人ウィリアム・ギャロップは1993年「20年間に7400万ドルを投資することにしてペルー政府から会社の運営権を取得した。彼は16年後の2009年初めに会社を韓国とコロンビアに12億ドルで売った。 その上、巨額の譲渡税納付を避けるために米国に作った持株会社を売却する方法を取った。 李明博大統領の特命で資源外交の旗を掲げて、世界石油市場に飛び込んだ“青二才”の韓国石油公社は事実上彼の“食い逃げ”行為を助けた。

 韓国石油公社とペルー政府が結んだ契約は、開発許可権を意味するライセンス契約ではなくサービス契約だ。石油公社はタララ海上施設を借りて油を採取する権利を持つだけで、ボーリング施設や生産された原油の販売権限は全てペルー政府にある。 ペルー政府が油を生産する韓国石油公社に手数料を支給する一種の“下請契約”であるわけだ。 チャコネティ教授が詐欺と言う根拠は、契約のこのような形態のためだ。 彼は「契約の特性上、サビアが使う海上タワーや船などは事実ペルー政府のもので、石油公社は単にこれを借りて使うだけ」とし「実際、彼が売ったものは事実上サービス契約書、すなわち紙一枚」と話した。

7千億ウォン以上を投資しながら
現地に韓国人常駐職員は1人もいない
施設はほとんど“所有”でなく“賃貸”
韓国には石油搬入できず“自主開発”とも無縁

 サビアの収益性を宣伝した石油公社は、現在サビアの売却を推進中だ。 キム・ミョンフン石油公社広報室長はハンギョレとの通話で「サビアの売却を推進している」と話した。 しかし買い手がつかないという。 中国で資源開発事業を行うある事業家は「サビアが市場に出てきたが、会社の構造が良くなくインフラも悪い」として「市場の関心が低い」と話した。 売買収益はもとより、当初の投資金より安くしてこそ売れる状況だ。

 このように吸収過程で実際より多くに金を払う問題は、サビアだけでなく李明博政権で推進した他の事業でも珍しくない。 カナダのハーベスト社の場合、実際の価値より数千億ウォン高い価格で買収したという指摘を受けていて、英国の石油探査業者であるダナーを買収する時も高価買い入れ論議が起こった。 李明博前大統領が至上課題として提示した自主開発率を高められる物量さえあれば、契約の形態や価格を問い詰めずにやみくもに契約を推進したためだ。

 しかし、サビアはその契約上、原油の確保もできない構造だ。 サビアで生産する原油の処分権は韓国ではなくペルー政府にある。 石油公社は当初から石油ではなく金を受け取る契約を結んでおきながら、生産量を自分の持分率(50%)にあわせて反映し、これを石油自主開発率に含めていた。 これは国民を欺いたも同然だ。

サビアは海上で採取した油をパイプライんで陸地に送っているが、油の処分権はペルー政府にある。 タララ/チェ・ヒョンジュン記者 //ハンギョレ新聞社

 7日午後、ジリジリと照りつける日差しの中をタララのサビア現地事務所を訪れた。記者が「韓国人職員に会いたい」と言うと、警備員は「ここにはいない、リマにいる」と答えた。 現地人職員700人余りが働いていて、毎年探査鉱区に数百億ウォンの資金が投入されているタララの事務所にはたった一人の韓国人職員も常駐していない。 今までに7000億ウォンを超える資金を投資していながら、管理はしていないも同然だ。タララで会ったあるサビアの職員は「韓国人はなぜ1人で来てすぐに帰るのか」として「共同経営陣であるコロンビア側はそれなりに何人かが常駐している」と話した。 さらにある住民は「サビアはコロンビアが単独運営する会社ではないのか」と話しもした。

 このようなことは石油公社だけの問題ではない。韓国の鉱物資源公社はメキシコで行ったボレオ銅鉱事業にこれまでに1兆1534億ウォンを投資したが、一時的にたった1人の常駐職員を送っただけで、資金がまともに使われているかを管理監督できなかったという疑いを買っている。 当時、鉱物公社の社外重役として働いたナム・ヒョウン元理事はハンギョレとの通話で「2012年にボレオの現場に行ったところ、韓国人職員がたった1人でいた」として「莫大な資金を投資していながら、どうしてこのように管理するのか、公企業は本当に問題だと考えた」と話した。

 過去6年余りに韓国石油公社が投資したサビア探査鉱区10カ所のうち成功したところは一カ所もないという事実も、このような経営空白と関係あるように見えた。 サビアで30年以上にわたり仕事をして、最近退職しタクシー運転手をしているというある市民は「機械を買うと言って金を受け取って実際には中古機械を買ったり、仕事も半分だけして全てやったという形で金を引き出すケースが少なくない」と話した。

 20年余りサビアで勤めているというある職員は「経営陣である韓国とコロンビア側に問題がある。 コロンビア側が資金を食いつぶしていても韓国は何も措置を取らずにいる」と話した。 彼は「こういう話をすることは恐くないか」という質問に「事実をはやく知らせなければならない」と答えた。 ペルー リマのサビア事務所にこのような事実に対する意見を聞くため訪ねて行ったが、インタビューに応じなかった。

リマ・タララ/チェ・ヒョンジュン、イム・インテク、キム・ジョンピル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015/01/19 11:04
http://www.hani.co.kr/arti/politics/politics_general/674188.html 訳J.S(5244字)

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