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韓国裁判所、保安法廃止や在韓米軍撤収を主張したら”従北”の疑い

登録:2015-01-19 21:56 修正:2015-01-20 08:01
チャンネルA相手に民言連が起こした訴訟棄却
民言連「非理性的な報道に拍車をかけることに」
チャンネルAの時事番組「キム・グァンヒョンのの蕩蕩平平」。 //ハンギョレ新聞社

 裁判所が「国家保安法の廃止、在韓米軍撤退などを主張する人は『従北』と疑うことができる」という内容を盛り込んだ判決を下し波紋が広がっている。

 ソウル中央地裁第25民事部(裁判長チャン・ジュンヒョン)は14日、市民団体の民主言論市民連合(民言連)が総合編成チャンネル『チャンネルA』とチョ・ヨンファン従北左翼剔抉団代表を相手に起こした名誉毀損請求訴訟を棄却した。チャンネルAは昨年、時事番組「キム・グァンヒョンの蕩蕩平平」にチョ代表を出演させ、「従北勢力5人組」というテーマで議論を進める中で民言連を従北勢力として責め立てた。

 裁判所は判決文で「チョ代表が『民言連内部に従北勢力がある』とした部分と、それを放送したのは名誉毀損に当たるが、チョ代表は『民言連全体が従北』と断言しておらず、(従北疑いの)根拠として挙げた民言連の活動はすべて事実である。よって部分的な誤りや多少の誇張、飛躍があるとはいえ、違法とは言い難い」とした。名誉毀損は認められるが、市民団体である民言連に対する理念検証には公益性があるということだ。

 裁判所は判決文で、国家保安法の廃止と在韓米軍撤収を主張したら、従北として疑いをかけられることもあり得るとの立場を示した。裁判所は「国家安全保障を重視する人にとっては保安法の廃止や在韓米軍の撤退で韓国の安保が不安になるという懸念もあり得る。また、このように主張する人々は北朝鮮を利する従北傾向の人として疑うことができる」と指摘した。また、裁判所は、保守言論の国家保安法、韓米関係などに対する報道態度を批判したことも従北疑いの根拠になるとの趣旨の発言で波紋を広げた。裁判所は、チョ代表が問題の放送で「2007年米国産牛肉をめぐる議論と2010年天安艦事件当時、民言連が保守メディアの米国偏向などを批判したことも従北の根拠」という趣旨で述べた部分などについて、「(民言連の批判が)結果的には北朝鮮の利益になったり、その主張に合致するものと見られる部分も存在する」と述べた。

 昨年8月、ソウル高裁はイ・ジョンヒ前統合進歩党代表、シム・ジェファン弁護士夫婦がメディアウォッチのピョン・ヒジェ代表と朝鮮日報などマスコミを相手に起こした「従北・主体思想派」報道に関連する名誉毀損訴訟で、イ・ジョンヒ夫妻の主張を認めた。ソウル地裁は、「従北」という烙印が私たちの社会では致命的であるため、具体的な状況を踏まえ慎重に使わなければならないとし、特にそれを伝えるメディアの責任を強調した。

民言連は論評で「裁判所の判断通りなら、保安法撤廃と駐韓米軍撤収を主張する人はすべて従北になるだろう」とし、「非理性的な従北報道に拍車をかけることになる」と批判した。

キム・ヒョシル記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015.01.19 19:14

https://www.hani.co.kr/arti/society/media/674289.html  訳H.J

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