シン氏「愛する人に裏切られた心情」明かす
10日午後7時30分の出国前にフェイスブックに
「大統領も爆発物テロには言及せず従北烙印」
「テロ被害者が逆に加害者として調査された」
国家保安法違反(称揚、鼓舞)容疑で起訴猶予された在米同胞のシン・ウンミ氏(54)が強制退去命令を受けた。法務部ソウル出入国管理事務所は10日午後3時13分頃、鍾路(チョンノ)区 安国(アングク)洞の移民特殊調査隊でシン氏に対して1時間30分程調査した後に決定を下した。 強制退去処分を受けたシン氏は今後5年間は韓国への再入国が禁止される。
シン氏は調査直後に「愛する人に裏切られた心情だ。 私一人で片思いした感じ」と強制退去命令を受けた所感を明らかにした。 彼女は「この身は今日母国を離れるが、心までは愛する母国から強制退去させられない」とし、「海外でも同胞を愛する気持ちで母国の平和と統一を祈り続ける」と語った。
強制退去命令を受けたシン氏はこの日午後7時50分、米国ロサンゼルス(LA)行航空便で出国するのに先立って、自身のフェイスブックに声明を上げた。
11月19日、ソウル鍾路区の曹渓寺(チョゲサ)で「統一トークコンサート」を開いた後、いわゆる“従北コンサート”論議の中心に立った彼女は“出国声明”を通じ、その間の自身を巡る論議に対して説明した。 彼女は「最初のコンサートが終わるとすぐに複数の総合編成チャンネルが魔女狩り式従北追い込みに出た…。その結果、ついに洗脳に近い虚偽報道を見た一人の青年が、2014年12月10日の益山(イクサン)講演会場で爆発テロまで犯した」と当時の状況を説明した。当時、一部マスコミの報道に影響を受けた高校生のイルベ会員オ君(18)が講演会場に爆発物を投げ、2人が負傷し約200人が緊急待避した。 韓国で珍しい爆発物テロが都心で発生したのだ。
シン氏は「しかし大統領は爆発物テロに関してはただの一言も言及せず、逆に総合編成チャンネルの報道により『統一トークコンサート』を『従北コンサート』と命名され烙印を捺された。 私はテロの被害者であるにもかかわらず、3回の出国停止処分、加害者身分で警察で3回30時間、検察でも1回15時間の調査を受けた」と話した。
彼女はまた「(私が)『北朝鮮は地上の楽園だ』と言ったという虚偽の報道に対しても、警察が『トークコンサート』でそういう話をした事実はない』と発表したし、『北朝鮮3代世襲を称賛した』という虚偽の報道に対しても事実無根であることが調査で明らかになった」と語った。 シン・ウンミ氏は今月8日の『ハンギョレ』とのインタビューでも「北朝鮮の3代世襲体制についてどう思うか」という質問に「独裁に反対する」と答えたし、「国連が通過させた北朝鮮人権決議案はどう思うか」という質問に「人権を向上させる法と制度については何でも賛成する」と答えた。
シン氏は自身が北朝鮮に行ってきた経験を基に執筆した著書『在米同胞おばさん、北朝鮮に行く』についても言及した。 彼女は「すでに韓国政府が統一に役立つとし“優秀図書”に(指定したし)、統一部は広報のためのドキュメンタリー製作で私の本と講演内容に関する検証をすべて行った。 公営放送KBSも私が北で撮ってきた動画をドキュメンタリー製作に使っている」として、自身が北朝鮮で見て記録した内容が国家保安法に違反するならば、自身の著書を紹介した政府や報道機関も北朝鮮称賛に参加したことになると主張した。 文化体育観光部は2013年、シン氏の著書を優秀図書に指定したが、最近の論議により今月7日優秀図書目録から除外した。
一方、これに先だち米国務省はシン氏の強制出国措置に対して憂慮を示した。 今月9日、ジェン・サキ米国務省報道官は定例ブリーフィングで、シン氏に関連する質問が出ると「韓国が概して人権増進と人権保護のために持続的に献身してきた」としながら「(しかし)国家保安法に関しては一部でその法が表現の自由とインターネットの接近を制限しているため憂慮している」と話した。 また「シン氏が過去3週間にわたって韓国からの出国を停止され、検察が強制出国を要請したというマスコミ報道により内容はよく知っている」とし「米国政府は米国の市民を支援する義務を果たす」と説明した。