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韓国公安の剣となる国家保安法7条の華麗な復活

登録:2015-01-12 22:21 修正:2015-01-13 05:43
反国家団体の称揚・鼓舞
思想・表現の自由を抑圧する毒素条項
2008年以降、保安法違反の7条適用
5年間で46%も増え猛威振るう
国家保安法違反の疑いで起訴猶予された在米同胞シン・ウンミ氏が10日午後、法務部の強制退去命令で出国措置される前、仁川国際空港政府合同庁舎出入国事務所で知人たちと別れの挨拶を交わしている。仁川空港/イ・ジョンア記者 //ハンギョレ新聞社

 国家保安法第7条(称揚、鼓舞など)が公安の道具として再び猛威を振るっている。 国連人権理事会などが20年ほど前から廃止を勧告してきた保安法の中でも代表的な“毒素条項”として知られるが、トークコンサート事件を契機に思想・表現の自由を抑圧する道具として華麗に復活している。

 トークコンサートで肯定的に北朝鮮旅行談を伝えたという理由で、米国籍の在米同胞シン・ウンミ氏を強制出国させた検察と警察は、昨年11月19日ソウル曹渓寺(チョゲサ)で行われたイベントの時に短時間舞台に上がったイム・スギョン新政治民主連合議員に対し15日に出頭するよう通知した。 トークコンサートの主導者であるファン・ソン元民主労働党副報道担当者の拘束令状実質審査は13日に開かれる。

 米国務省は9日、シン氏の追放に対して比較的強い語調で「一部のケースで見られるように国家保安法が表現の自由を制限していることを憂慮する」と明らかにした。 だが朴槿恵(パク・クネ)大統領は12日、新年記者会見で米ウォールストリート ジャーナル紙記者の質問に「(保安法は)南北が対立している特殊な事情で、韓国の安全を守るために必要な最小限の法」と答えた。

 「反国家団体やその構成員、またはその指令を受けた者の活動を称揚、鼓舞、宣伝またはこれに同調する場合」の処罰を規定した保安法7条は、軍事独裁政権期に民主化運動勢力を弾圧する有力な手段だった。 憲法裁判所は1990年「北朝鮮の子供に歌が上手だと話しても罪に該当する余地」があるほど処罰範囲が広く、悪用の素地があるとしてこの条項に限定合憲の決定を下した。 憲法裁判所は「国家の存立・安全を脅かしたり、自由民主的基本秩序に危害をあたえる場合に限り」これを適用するようにさせ、国会は法の条文にこのような表現を入れて適用範囲を狭めた。

 だが、続く保守政権下で保安法7条は再び威力を発揮している。2008年保安法違反立件者46人中15人(33%)に称揚・鼓舞罪が適用されたが、この比率は2009年には57人中23人(40%)、2010年97人中65人(67%)、2011年90人中75人(83%)、2012年112人中89人(80%)、2013年129人中102人(79%)と一貫して増え続けた。 昨年は11月までで50人中35人(70%)だった。

 無理な適用で無罪判決が出るケースも相次いでいる。 北朝鮮の対南宣伝サイト「私たち民族どうし」のツイッター文をリツィートして起訴されたパク・ジョンクン氏は、昨年8月大法院(最高裁)で無罪の確定判決を受けた。「平和と統一を開く人々」のオ・ヘラン事務局長も、韓米軍事訓練反対運動をして起訴されたが、控訴審で無罪を宣告されている。 裁判所は二つの事例が「国家の存立・安全に実質的害悪を及ぼす明白な危険性があるケースには該当しない」と判断した。

 ソン・キチュン全北大学法学専門大学院教授は「保安法7条を合憲的に適用するには、国家の存立・安全を脅かしたかを非常に厳格に解釈しなければならない」と話した。

イ・ギョンミ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/673304.html 韓国語原文入力:2015/01/12 21:32
訳J.S(1476字)

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