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北朝鮮向けビラが朝鮮半島に散布した“寒冷前線”

登録:2014-11-04 00:18 修正:2014-11-04 05:49
南北対話の芽は凍りつき、韓国内では進歩と保守の対立が激化
北朝鮮脱出者の団体である自由北韓運動連合の会員たちが10日午前、京畿道坡州市炭県面の統一駐車場から飛ばした北朝鮮向けビラが破裂しビラが舞っている。 坡州/パク・ジョンシク記者//ハンギョレ新聞社

 今年初めから始まったビラ(北朝鮮向けビラ)問題が、第2回南北高位級接触を失敗させるなど南北関係の足を引っ張った。 北側が敏感になるビラ散布に対して、南側当局が傍観した結果だ。 南北関係に5つの侮れない後遺症をおよぼす恐れがある。

■南北対話ムード破綻

 ビラ問題が招いた最大の後遺症は、先月4日にファン・ビョンソ人民軍総政治局長など北朝鮮の高位級要人3人の韓国訪問で作られた南北間対話ムードが壊れたことだ。 8月中旬に南側が提案した後に遅々として進まなかった第2回南北高位級接触は、3人の訪韓により10月末~11月初めに暫定的に確定するなど軌道に乗った。しかし最近のビラ問題のために事実上失敗に終わった。 ある統一部の職員は「北朝鮮は開城(ケソン)工業団地で予定された対話を第2回高位級接触以後に延期したが、第2回接触が失敗に終わった結果、他の対話も影響を受けるものと見られる」と話した。

■休戦ラインの住民たちに不安感

 京畿道坡州(パジュ)と金浦(キンポ)、漣川(ヨンチョン)など休戦ライン近くで暮らす住民たちは、不安感に苦しんでいる。 特に先月10日に漣川で北朝鮮脱出者の団体が飛ばしたビラ風船に対して、北朝鮮が空中射撃を加えたことにより、このような不安感は‘現実’になりつつる。 北朝鮮は9月中旬の高位級接触北側代表団名義の談話等を通して「ビラ散布者に対する報復打撃」と「挑発原点焦土化」等を数回にわたり公言した経緯がある。

 朝鮮戦争に参戦し、現在は坡州で暮す勇士パク氏(81)は「ここに弾丸が落ちれば私も死んで皆が死ぬ。 私が命を賭けて国のために戦い、平和な世の中に少しはなったのに再び戦争を起こそうというのか」と話した。

■南の葛藤増幅

 ビラ問題によって韓国内の進歩対保守団体の葛藤も拡大している。 10月25日、京畿道坡州の臨津閣(イムジンガク)では暴力事態が発生した。 当時ビラ散布を公開的に強行しようとした保守団体と、これを阻止しようとする進歩団体の間で終日対峙する状態が続いた。

 10月15日に実施されたリアルメーターの調査によれば、北朝鮮向けビラ散布を制止しなければならないという回答は全体の62.9%で、制止してはならないという回答(24.6%)より2倍以上多かった。 それでも政府がビラ散布を積極的に制止しないのは、現政権の核心支持勢力である保守層を意識した結果と見える。

■朴槿恵・金正恩両政権の硬直した態度

 ビラに対する韓国政府の態度は非常に硬直している。 特に警察官職務執行法を適用して、臨津閣への進入路を遮断する方式でビラ散布を制止したことがある李明博政権の時よりも後退したという評価を受けている。 対北朝鮮心理戦の象徴として機能してきた‘愛妓峰(エギボン)灯塔’が先月末に政府部署間協議を経ずに撤去されたという事実が知らされ、政府の対北朝鮮政策はより一層硬直した様相を見せている。

 北朝鮮に言いなりになっているという保守マスコミの批判が相次ぐと、政府は異例にも先月27日夜、北朝鮮に「第2回高位級接触に対する答を送れ」という最後通告式電話通知文を送った。 ある政府当局者は「朴槿恵政権が世論を意識して過度に早く、そして強く南北対話の門を閉ざしたようだ」と評価した。 北朝鮮の挑発威嚇も強まっている。 北朝鮮の祖国平和統一委員会は1日「ビラ散布妄動に加担した犯罪者を民族の名をもってきっぱりと審判し処断するだろう」と主張した。

チェ・ヒョンジュン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/politics/defense/662791.html 韓国語原文入力:2014/11/03 21:00
訳J.S(1633字)

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