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私は尹大統領を拒否する!【コラム】

登録:2025-03-28 01:23 修正:2025-03-28 07:38
22日、ソウル鍾路区の東十字閣前で行われた尹錫悦即時退陣・社会大改革第16回汎市民大行進で、参加者が「尹錫悦罷免」などのスローガンを叫んでいる=ユン・ウンシク記者//ハンギョレ新聞社

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領には、問題のある事件で政治的危機に直面した際に取る、彼なりの対応の仕方がある。任期中ずっと繰り返されてきたところをみると、ほとんど習慣的なものだ。そのため、改善の余地はまったくないと考えても間違いではないだろう。それは大きく5つに要約できる。

 1つ目、まるで何事もなかったかのように仕立てる。2つ目に、問題が明らかになっても謝らない。3つ目、問題提起した当事者を攻撃し、責任を転嫁する。4つ目、人の助言は聞かない。5つ目、訴訟や八つ当たりをする。

 非常に頻繁に繰り返されてきたパターンなので、これ以上説明しなくても大半の人はうなずいてくれると思う。いくつか例をあげてみよう。まず「バイデン-飛ばせば」卑語使用問題。尹大統領の主張のように、当時の卑語の対象が米国議会ではなく韓国国会なら韓国の議員たちに謝罪すべきだが、していない。文化放送(MBC)が韓米同盟を脅かすために意図的に歪曲したと述べて、責任を転嫁した。数カ月後にはMBCの記者を大統領専用機の搭乗から排除した。また、(海兵隊員)C上等兵殉職捜査外圧事件の核心は、いわゆる「VIP激怒説」だ。実際に尹大統領がパク・チョンフン海兵隊捜査団長による事件処理に腹を立てたという複数の証言があるが、これについて謝罪したことはない。逆に国防部はパク団長を抗命罪で懲戒した。さらに、夫人のキム・ゴンヒ女史に関してはブランドバッグ受け取り、大統領室の「キム女史に近しい関係者」、そして与党「国民の力」の候補公認への介入疑惑など、様々な事件があった。しかし、曖昧に謝罪したことはあるが、具体的に何が誤りだったのかは語っていない。むしろブランドバッグ問題を提起したチェ・ジェヨン牧師は検察の捜査を受け、キム女史問題の収拾を要求した国民の力のハン・ドンフン前代表はのちに「逮捕名簿」に名が載った。

 12・3内乱事態も同じだ。これまで通り、厚かましくも巧みに対応してきた。尹大統領は憲法裁判所の弁論の間ずっと、故意のうそで一貫していた。非常戒厳宣布と国会や選管への軍の投入は「啓蒙のため」だったという詭弁(きべん)を並べ立てた。弾劾審判と内乱捜査について「月の影を追っている感じ」と述べて全否定した。逆に、北朝鮮の指令を受けた野党や労働団体などの反国家勢力が自分を引きずり下ろすための内乱・弾劾工作だと強弁した。あまりにも平然とした態度でもっともらしいうそをつくので、事実をよく知らない人たちはうっかりだまされてしまう。まさに「欺瞞の大家」と言えよう。そのうえ極右ユーチューブチャンネルの視聴で生じたような確証バイアスと陰謀論的思考、そして自分は被害者だという被害妄想症状まで見うけられる。だが、彼がまだ切っていないカードが一つ残っている。単純に表現すると八つ当たりだ。一時は拘置所にいたし、釈放後は憲法裁の決定を待っているため、できないでいるに過ぎない。想像すらしたくないが、万が一、彼が大統領に復帰したら「報復血戦」がはじまるだろう。拘置所を出た日、支持者たちにぎゅっと握った拳を振り上げて見せているのにはぞっとさせられた。彼が最終陳述でどのような約束をしようが、信じることはできない。彼はすでに信頼を失っている。

 人の性格には「暗黒の三要素」があるという。心理学に出てくる概念で、マキャベリズム、ナルシシズム・サイコパシーからなる。マキャベリズムは目的が手段を正当化することで、うそ、陰謀、他人に対する道徳的無関心などの性格が顕著だ。ナルシシズムは傲慢、自己陶酔などとして表れる。サイコパシーは共感能力の欠如、衝動、無分別、ねつ造、攻撃性などのかたちで表れる。怒りの感情もサイコパシーの人によく表れる。英国ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)のブライアン・クラス教授は「権力の心理学」で、「ほとんどの人はこのような特徴を害にならない程度に少しずつ持っている。一人の人間に三つの要素が極端なほど凝縮している時に問題が発生する」と語る。このような性格の持ち主が一国の最高指導者だと、社会は大混乱に陥る。大韓民国は今、そのような状況だ。

 憲法裁判所はこれ以上左顧右眄(さこうべん)してはならない。うそつき勢力の脅しに屈してもならない。手続きに言いがかりをつけようとする法技術者たちのたわごとに惑わされてもならない。国民を信じ、ひたすら真実と正義に則って迅速に決定を下してほしい。憲法裁は、1987年6月の市民抗争の政治的結果である現行の「87年憲法体制」において、憲政秩序を守る最終責務を与えられている。そのような憲法裁が、重大な違憲・違法行為を犯し、国民の信任を裏切った大統領を断罪しなかったとしたら、その日で命が尽きるだろう。民主主義に対する裏切り行為だからだ。

 今、大韓民国は独裁時代への退歩か、より強固な民主主義への前進かの岐路に立たされている。主権者の一人として、私は尹錫悦の大統領復帰を断固として拒否する!

パク・ヒョン論説委員 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1188956.html韓国語原文入力:2025-03-26 11:37
訳D.K

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