韓国の最大野党「共に民主党」のイ・ジェミョン代表が、公職選挙法違反事件の控訴審裁判で、無罪を言い渡された。懲役1年に執行猶予2年という一審の有罪判決が完全に覆された。尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権と一体となってイ代表を徹底的に捜査した検察は、異例にも落選した大統領選候補に狙いを定め、選挙法違反で起訴した。今回の判決で、このような検察の政治報復行為が有罪判決を受けたも同然だ。
26日、ソウル高裁刑事6-2部(チェ・ウンジョン、イ・イェスル、チョン・ジェオ部長判事)は、イ・ジェミョン代表が大統領選挙当時、キム・ムンギ元城南(ソンナム)都市開発公社開発第1処長を「知らなかった」とした発言と、城南市柏ヒョン洞(ペクヒョンドン)の用途変更過程で「国土交通部から脅された」とした発言は、公職選挙法における虚偽事実の公表行為に該当しないと判決を下した。キム元処長関連発言はその人を知っているかどうかという「認識」に当たるものであり、「行為」に関する虚偽の発言を処罰するようにした公職選挙法の対象ではないとし、国土部関連発言は誇張されたものだが、虚偽とはみられないと判断した。検察の無理な起訴に、「自動販売機」のようにそれに応えた一審とは異なり、極めて常識的な判決だ。
検察は一審裁判の過程で公職選挙法で「認識」を処罰できないという反論を受け、「交遊行為」という聞きなれない言葉を作り、公訴状を変更した。柏ヒョン洞関連の発言も、選挙運動期間ではなく、国政監査の途中に出た答弁を問題視したものだ。そもそも、検察が大統領選挙で落選した候補の選挙法違反の疑いをこのように執拗に捜査・起訴したこと自体が政治報復と言わざるを得ない。
イ代表は現在、8件の事件で12件の容疑が持たれており、計5件の裁判にかけられている。イ代表の妻のキム・ヘギョン氏は法人カード10万4千ウォン(約1万645円)を使った容疑で起訴された。検察は捜査過程で数百回の家宅捜索を行い、別件のまた別件の捜査へとつなげた。柏ヒョン洞事件の場合、20年以上経った事件を掘り出したものだ。主要な証人に対する検察の司法取引疑惑まで持ち上がっている。イ代表に対する検察の捜査と起訴は膨大な規模と執拗さだけでも、類例のない政略的捜査・起訴として記録されるだろう。
一方、検察は刑法上最も重大な犯罪である内乱首謀の被疑者を露骨に釈放し、(尹大統領夫人の)キム・ゴンヒ女史の明白な犯罪容疑には目をつぶっている。「国民の検察」ではなく、ひたすら「尹錫悦(ユン・ソクヨル)の検察」であることを自ら世界に暴露したわけだ。尹錫悦政権で克明に現れた検察の政治的・偏向的行動は、必ず応分の代償を払うことになるだろう。