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政治の両極化の真の主犯【コラム】

登録:2025-04-01 08:01 修正:2025-04-01 10:03
//ハンギョレ新聞社

 ソーシャルメディアは、極右勢力の隆盛と政治の両極化の主犯とされてきた。ソーシャルメディアを通じて信念や関心事の類似する人同士が情報を共有し党派的見解を強めることで、政治の両極化が深刻化し、民主主義も揺らぐ。しかし、ソーシャルメディアとインターネットをほとんど使わない高齢層の方が両極化が深刻だったという研究などが紹介されたことで、政治の両極化は考えられているよりはるかに複雑な現象であることが明らかになりつつある。

 ソーシャルメディアと政治の両極化についての仮説は、大きく3つに分けられる。1つ目は、プラットフォームがソーシャルメディア利用者の関心事に合ったコンテンツを選び出して提供することで、利用者の情報受容に偏向が発生するという「フィルターバブル」仮説だ。利用者がプラットフォームに長くとどまればとどまるほど企業の利益は大きくなるため、関心をつかむために怒り、嫌悪、恐怖を誘発する極端なコンテンツが勢いを増すとともに、自分と同じ考えを持つ集団の意見やニュースばかりを見るようになるという「フィルターバブル」が生じるということで、プラットフォームの責任を強調するものだ。

 2つ目は、確証バイアスのような人間の認知能力の限界に注目するアプローチだ。人間は認知能力の限界のせいで真実そのものを把握することが難しい。また認知の過程では、資源を最小化するという特性のせいで確証バイアスに陥りやすい。実際に、アルゴリズムが変更され、相手陣営の主張などの多様なコンテンツにさらされた際にも、利用者の政治的態度は変わらなかったという研究結果もある。「エコーチェンバー効果」と呼ばれるこの理論によると、自身の意見が誤っている可能性があることを受け入れる、利用者の省察の態度が重要だ。

 近ごろは、他人の視線を意識し、認められたいと思う人間本来の欲望が、ソーシャルメディアで行われる政治判断の過程にどのような影響を及ぼすのかについての研究が注目を集めている。個人の政治的判断は真空状態では行われず、普遍的で一般的な視点を思い浮かべながら政治的意見をまとめていく。だが、フェイスブックのようなソーシャルメディアは「いいね」の数、「フォロワー」の数、「共有」の数などによって社会的に認められる過程をゲームのようにしている。より多くの「いいね」を得た時、社会的地位が上昇しているような錯覚に陥る。その結果、参加の質、共感、社会の深みのような価値観は消え去る。

 フェイスブックの「いいね」は、フェイスブックを世界最大のソーシャルメディア企業へと押し上げた。アルゴリズムの透明性に劣らず、「いいね」などのように社会的に認められることをゲーム化しているインターフェースの改善が求められている、という主張が力を得る理由はここにある。

ハン・グィヨン|人とデジタル研究所所長 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/1189820.html韓国語原文入力:2025-03-31 16:04
訳D.K

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