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過酷な労働を強いられる韓国デパート女子職員

登録:2014-10-19 23:57 修正:2014-10-20 05:40
客に“スマイル”した後は非常階段で休憩

150人が仕事をしているのに10坪の休息空間
うずくまって休むなど‘劣悪な休息’
移動時にはエスカレーター利用禁止
ヒールのある靴を履いて長時間勤務

ソウル市内のあるデパートで職員たちが開店準備をしている。資料写真//ハンギョレ新聞社

 デパートのエレベーターやトイレでは、デパートの職員に会うことがほとんどない。 なぜだろうか?

 昨年11月からソウルのあるデパートの化粧品売場で仕事をしているキムさん(21)は、業者からの派遣職員だが入社前にデパートで別途のサービス試験を受けた。 売場が何階まであるか、乳母車施設はどこにあるかなどの“基本問題”から、顧客に対する挨拶も覚えた。 思いがけない内容もあった。 キムさんは「顧客の通行を邪魔してはならない。 売場の外に出る時は、一列に列んで歩かねばならず、エレベーターには乗ってはならない」などだ。

 キムさんは休憩時間になれば顧客の目につかない非常階段に座って休むことが多い。 午前9時30分から11時間立って働くが、彼女に与えられた休憩時間は30分だけ。 キム氏は「休憩室はあるにはあるが、人が多くて席がない。そんな日には非常階段に行って休む。靴のかかとは低くても、長く立っていると足が前に傾いてとても痛い」と話した。 19日、ソウルのあるデパートの本店職員休憩室を見ると環境は劣悪だった。 デパートの階毎に平均150人程度が働いているが、休憩空間は33平方メートル余り。 ソファ14個が列んでいて、脚を伸ばすこともできない。 “劣悪な休息”を終えて休憩室を出る時も“スマイル ライン”の前に立って、誰もいない所に向かって「こんにちは? いらっしゃいませ」と言わなければならない。

 韓国女性民友会が6~8月にデパートを利用した市民1026人を対象にアンケート調査をした結果も同様だった。 エスカレーターやエレベーターに乗ったデパートの職員を見たことがあるか問う質問に、回答者の71%(845人)は「ない」と答えた。 デパート職員がトイレを利用するのを見たことがあるかとの質問にも68.1%(817人)が「ない」と答えた。

 同じ期間にデパート154店舗を訪問して実態調査をしたところ、ソウル・京畿道地域のデパート138店舗(89.6%)では売場職員が立って仕事をしているが、半分近い80店舗(53%)ではヒールのある靴を履かなければならなかった。 慶尚南道地域のデパートの衣類売場で仕事をするキムさん(53)は「6か月に一回ずつ靴を支給されるが、足に合わなくてとても痛い。楽な靴に変えることができればいいけど、衣類売場なのでそれも言いにくい」と話した。 あるデパートの化粧品売場のマネジャーであるチョさん(41)は「デパートから売上の圧迫を受けるので、お客さんが来れば食事中でも売場に上がらなければならない。 昼休みは普通30分以内だ。 そんな風に仕事をしても“実績祝い”はデパートの正規職職員だけに配られる」と話した。

 韓国女性民友会は23日、ソウル新村(シンチョン)のあるデパート前で「尊重が行き来するデパート作り」というキャンペーンを開く。 快適な休息空間の用意、急な時には職員も顧客用トイレを利用することができるようにする要求案をデパート側に伝える予定だ。

ソ・ヨンジ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/society/society_general/660435.html 韓国語原文入力:2014/10/19 22:42
訳J.S(1527字)

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