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[感情労働]心を踏みにじる感情労働(1)窒息:会社と顧客の間で息がつまる

登録:2013-10-31 13:41 修正:2014-09-03 16:30
午後9時 そこでは‘夜の人民裁判’が始まった
心を踏みにじる感情労働. イラストレーション ユ・アヨン

三星(サムスン)サービス ハッピーコール‘普通’ならば
顧客に対してした通りに状況再演劇
感情窒息・トラウマ 苦痛を経験し
会社はそれを‘ロール プレイ’と言い
職員たちは‘人民裁判’と呼んだ

 午後9時、シャッターが下ろされた三星(サムスン)電子サービスセンター内では役割劇が始まる。 1人はサービス技師の役割を受け持ち、他の1人は顧客の役割を受け持って‘問題となった’サービスを再演する。 "リリリーン" 誰かが電話のベル音まで再現する。 "お客様、今お宅の前ですが、入ってもかまわないでしょうか?" 逐一再演する人はサービス満足度を確認する顧客評価であるハッピーコールで‘普通’以下の評価を受けたサービス技師だ。

 1人の点数が低ければ同じ組のサービス技師12~13人が全員残らなければならない。 朝8時に出勤してすでに12時間を超えて働いた同僚顔はかんしゃくと疲労を隠せない。 誰もが一度は受ける仕打ちであることを知りながらも「オイ、謝るくらいしろ。 なぜそんな点数を受けるんだ」という悪口が飛び出もした。 役割劇は通常夜11時まで続いた。

 出張設置や修理の後に "ハッピーコールが来たら、うまく答えてほしい" とお願いする時、技師の心がどれほど切実だったか、顧客には分からないだろう。 三星電子サービスセンターでは通常、1人の技師について月に20回程度のハッピーコールを行っている。 顧客が 'とても不満' と答えれば1点、'とても満足' と言えば10点だ。 "8点であっても今後どのようにサービスを改善するかを明らかにする‘対策書’を書かなければならず、5点ならば人民裁判を覚悟しなければならない」と複数の職員が話した。

 会社が‘CSロール プレイ’と呼ぶこの役割劇は、去る6月金属労働組合三星電子サービス支会がスタートしてから何の説明もなく殆ど暫定的に中断されたが、対策書の慣行は相変わらずだ。 慶尚南道(キョンサンナムド)地域のあるセンターでは、対策書を朝礼の時に全職員の前で読み‘自己批判’をしなければならない。 精神教育名目の強制登山も多くのセンターでしてきたことが確認された。 忠清南道(チュンチョンナムド)のある地域の技師は「点数が低い同僚がいる組は、全員夜明けに呼び出して山に登り、頂上で証拠写真を撮ってこなければならなかった」と話した。 蔚山市(ウルサンシ)のあるセンターには数台のTVカメラが設置された役割劇用の部屋が別にあって、独房に入って再演する同僚を外から他の人々が映像で見守ることもあった。 ここの技師チョン・サンホ(仮名・34)氏は「人間的にいつもみじめだった。 今もそのまま残っているその部屋は恐怖の対象」と話した。 三星電子側は「役割劇は一部のセンターでしていることが確認され、本社が指針を下したことはない」と30日釈明した。

 技術職であても常に顧客から親切度を評価される修理技師は、職場で自身の感情状態を統制しなければならない感情労働者だ。 心理治癒専門企業マインドプリズム(代表チョン・ヘシン)が最近第3回まで進行中の職群別感情労働者を対象にした‘会社員精神健康キャンペーン’-チョン・ヘシンの公開相談室と<ハンギョレ>が個別インタビューで会った人々は感情窒息、トラウマ、感情マヒのような心理状態を経験していることが明らかになった。 緑色病院労働環境健康研究所は2012年現在の就業者2468万1000人中51.6%にあたる1266万9000人が卸小売業、宿泊および飲食店業、教育・サービス業などを含め感情労働に分類される職群に従事していると推算している。 大韓民国就業者2人に1人が感情労働者と言われる時代、働く人々の心が病気にかかりつつある。

ナム・ウンジュ、イム・ジソン記者 mifoco@hani.co.kr

 感情労働(emotional labor)航空機の乗務員が重い機内食カートを引くことは肉体労働だ。 非常着陸に備えるのは精神労働だ。 だが、乗客の気分を良くするために乗務員が微笑を浮かべたり不快な感情を押さえ込むことは感情労働だ。 アーリー・ホックシールド カリフォルニア大社会学科教授が1983年に初めて言及した概念で、職場で自身の感情状態まで調整してサービスの一部として提供しなければならない労働を意味する。

https://www.hani.co.kr/arti/culture/culture_general/609261.html 韓国語原文入力:2013/10/31 11:31
訳J.S(1982字)

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