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[特派員コラム]コロナ死亡者、2年間で6人…中国の足を引っ張る数字

登録:2022-04-29 07:34 修正:2022-04-30 10:25
チェ・ヒョンジュン |北京特派員

 昔も今も中国は止めることに慣れている。北方民族の侵入に万里の長城を築き、米国との体制競争が激しくなると、インターネットを塞いでしまった。最近の感染症の流行の前でも、中国は住民数億人の移動を数カ月間禁止する方法で対応している。数多くの個人の自由が犠牲になっているが、社会の安全が優先だとして気にも留めない様子だ。社会主義体制がどういうものなのかを実感する瞬間だ。

 先月末から始まった上海封鎖が1カ月間続いている。住民2500万人が外出できない超現実的な状況が続いているが、依然として1日の新規感染者は1万人以上発生している。感染者が数十人出るだけで都市全体を封鎖してしまう中国流の防疫政策「ゼロコロナ」(清零)に照らしてみると、封鎖解除どころか封鎖をさらに強化しなければならない状況だ。

 経済的犠牲も辞さない勢いだ。経済成長率が底を打ち、雇用も回復の兆しは見えないが、封鎖を解く気配はない。封鎖への不満が社会的不安につながらないと確信しているようだ。最近、新規感染者が増えている首都北京も封鎖を準備している。

 昨年11月に登場した「弱いが速い」オミクロン株は、欧米だけでなく厳しい防疫政策を維持していた韓国や台湾などでも、ゲームの勢力図を変えた。高いワクチン接種率に後押しされ、オミクロン株の致命率が大きく低下したことで、多数の国が「かかってもやむを得ない」という共存政策を選んだ。コロナ禍3年目を迎えて疲労度が高まり、これ以上強力な封鎖政策を続けられない現実的な状況も作用した。

 一方、中国だけは例外だ。オミクロン株の感染拡大にも中国当局は大きく動揺せず、ゼロコロナ政策を維持している。党機関紙「人民日報」と国家通信社「新華社通信」には、ゼロコロナ政策を擁護し宣伝する記事と社説が毎日のように掲載される。米国や欧州、韓国などが選択した「ウィズコロナ」政策は国民の生命を軽視する無責任な政策であり、強力な封鎖政策が究極的により少ない費用でより大きな経済的効果をあげられる素晴らしい政策だという主張だ。

 中国のこのような態度は、過去の勝利の経験と現在の不安に起因する。新規感染者数と死亡者数だけ見ると、この2年間、中国はコロナとの戦いで勝利を収めてきた。人口14億人、世界人口の20%を占める中国だが、4月1日までの累積感染者数は23万7038人に過ぎない。韓国の同日の新規感染者数の26万4171人より少ない。死者数は4月1日までで4638人であり、2020年4月以降、たった6人増えたのにとどまる。いわゆる「統計操作」を疑う人もいるが、いずれにせよ中国がコロナウイルスをかなりの期間にわたって統制してきたことは明らかだ。中国はこのようにオミクロン株も抑え込めるとみている。

 方向転換を試みたくても、できない状況でもある。中国は独自開発した旧型ワクチンを接種したが、ファイザーやモデルナなど新型mRNAワクチンより効果がはるかに低い。病院も足りないし、地域間の格差も大きい。共存を選んだ場合、数百万人が死亡する可能性があり、どの国よりも深刻な状況が繰り広げられるという見通しもある。コロナ防疫を当局の最大の功績として宣伝してきた中国が、習近平国家主席の3度目の再任決定を約半年後に控えた状況で、従来の政策を諦める可能性はゼロに近い。

 2年間で死者6人。中国の完璧な防疫政策を象徴する数字だが、今はむしろこの数字が中国の足を引っ張っている。人間がウイルスを完璧に制圧できるだろうか。不可能に見える領域に中国が挑戦している。

//ハンギョレ新聞社
チェ・ヒョンジュン|北京特派員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/1040829.html韓国語原文入力:2022-04-2818:52
訳H.J

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