オミクロン株の拡散が加速し、香港の新型コロナウイルス禍が日増しに悪化している。1日の感染確認が2000人を超えるとの見通しの中、香港でも「中国式封鎖管理」措置が導入されるのではないかとの観測が出ている。
14日の「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」の報道を総合すると、14日の感染確認数は初めて2000人を超えた。この日、新たにコロナ感染が確認された人の数は2071人。前日の1347人に続き、2日連続の大幅な増加だ。香港では今月初めに一日の感染者数が100人を記録して以来、急激に患者数が増えている
同紙は「防疫当局は外出の自粛を要請する一方、中国国営のシノバックのワクチンの接種可能年齢を3歳にまで引き下げた」と報じた。
香港の防疫当局者は同紙に対し、「病院の対応能力が限界点を超えた。隔離施設もすでに満員だ。状況の悪化に伴い、一部の公共病院を追加でコロナ専門病院に指定する予定」だと明らかにした。また、子どもや高齢者の重症患者のための隔離病床の確保に努める一方、基礎疾患のない若年層の軽症患者は在宅治療に回すなど、対応能力の確保を急いでいる。
これに先立ち、ジョン・リー政務長官(香港政府ナンバー2)をはじめとする香港の高官が11日、広東省深センを訪れ、中国の中央政府の防疫当局と対策を協議したという。リー政務長官は「広東省側と5つの共同タスクフォースを設置し、病原体検査と隔離施設の建設、マスクなどの保護装具や防疫用医薬品の供給などを調整する」と述べた。
香港当局は、来週初めまでに用地選定などを含め、コロナ患者の治療を専門とする臨時病院の建設に関する計画を確定するという。2020年1月末のコロナ禍発生直後、半月ほどで建設を終え、2500床を確保した中国湖北省武漢の火神山医院と雷神山医院をモデルにしたとみられる。
香港内部では「ゼロコロナ」を見直すべきだとの声が高まっているにもかかわらず、中国本土式の全面封鎖措置が導入されるのではないかと懸念されているのもこのためだ。香港当局は「現在のところは、都市全体を封鎖する計画はない」と公式に否定しているが、住民の全数検査に向けた居住地ごとの移動禁止令は検討しているという。