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[社説]対立と困難をもたらす高レベル放射性廃棄物計画

登録:2016-05-26 02:51 修正:2016-05-26 06:58
昨年7月に稼動を始めた慶州市の中低レベル放射性廃棄物処分場。地下倉庫「5番サイロ」に廃棄物のコンクリート塊をクレーンが運んでいる。廃棄物は少なくとも300年以上保管される=シン・ソヨン記者//ハンギョレ新聞社

 

 政府が高レベル放射性廃棄物管理の基本計画を25日、行政予告した。地下研究施設と中間貯蔵施設、恒久的な処分場を1カ所にまとめるため、今後12年以内に敷地を確保し、施設を順次建設し、2053年には永久処分場を稼働するという内容だ。昨年6月に使用済み核燃料公論化委員会が、敷地の確保を2020年まで終えるよう勧告したが、敷地確定の時期をかなり先送りした。敷地の選定が難しいうえ、それ以前に解決すべき問題も多く、今後、対立と混乱は避けられないものと見られる。

 政府は、当面最大の争点である原発内の使用済み核燃料の一時貯蔵施設が飽和状態に達した問題について、具体的な言及をしていない。ただし、管理施設の確保の時期まで、やむを得ず原発内の乾式貯蔵施設の拡充を推進するとした。これに先だち公論化委員会は、「やむを得ない場合」という但し書きを付けて、乾式短期保存施設の設置を勧告した。

 原発の使用済み核燃料の一時貯蔵施設は、2019年の月城(ウォルソン)を皮切りに、2024年に古里(コリ)と霊光(ヨングァン)、2037年に蔚珍(ウルチン)、2038年には新月城(シンウォルソン)が飽和状態に達する。しかし、原発の中にこのような短期的な貯蔵施設を建てると、事実上の中間貯蔵施設になってしまう可能性がある。地域住民にもなかなか受け入れてもらえないだろう。政府は、2005年に慶州市の月城原発に中低レベルの廃棄物処理場を建設することにした際、廃棄場誘致地域法により、使用済み核燃料関連施設を慶州市で建設しないと約束した。

 当初の使用済み核燃料公論化委員会の勧告も、十分な公論化の過程を経たものではない。公論化委員会は、委員選任の公正性の問題で市民社会が推薦した2人が発足直後に辞任した。その後も混乱は続いた。原発を稼働させる世界の多くの国々の中で、高レベル放射性廃棄物永久処分場を建設したり、敷地を確保した国は、フィンランドとスウェーデンしかない。それほど難しいものであるため、しっかりとした公論化なしには実行は不可能である。

 高レベル放射性廃棄物管理政策は、1983年から議論が行われてきたが、これまで立て続けに失敗に終わった。社会的合意が難しいのは、政府が原発政策を一方的に押し付けたからだ。老朽した原発の寿命を無理に延長しただけではなく、原子力発電所の新規増設も推進している。批判の声に耳を傾けない限り、高レベル放射性廃棄物の管理は今後も引き続き漂流する可能性が高い。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2016-05-25 20:29

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/745468.html 訳H.J

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