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[ルポ] 慶州放射能廃棄場で中・低レベル廃棄物を初処分

登録:2015-07-14 01:07 修正:2015-07-14 08:13
慶尚北道慶州市陽北面にある放射性廃棄物処分場の稼働初日の13日午後、廃棄物処理場の地下洞窟5番処分庫で大型クレーンが放射性廃棄物のコンクリート処分容器を処分庫の中央まで移動させている=慶州/シン・ソヨウン記者//ハンギョレ新聞社

 13日午後3時、慶尚北道慶州(キョンジュ)陽北(ヤンブク)面奉吉(ボンギル)里の中・低レベル放射性廃棄物処分場。海抜95メートルの地下洞窟通路に運搬トラック一台が止まっていた。トラックの荷台には、縦横2.7メートル、高さ1.14メートル、重さ7トンの灰色のコンクリートの塊が置かれていた。このコンクリートの10センチ内側には中・低レベル廃棄物でいっぱいの200リットルのドラム16本が入っている。

 クレーンがこのコンクリート塊を徐々に持ち上げ始めた。続いてコンクリートの塊は、クレーンに吊り下げられて洞窟通路の端で「サイロ」と呼ばれる深さ50メートルの処分庫へとゆっくり降ろされ始めた。30分経って、巨大な廃棄物の塊はサイロの底に着いた。

 工具・部品・作業服・手袋など
 放射線数値の低い廃棄物貯蔵
 合計80万ドラムを地下洞窟に保管

 高レベル廃棄場はこれから議論開始
 2020年敷地選定計画立てたが
 30年かかった「中・低レベル」より難航予想

慶州放射性廃棄物処分場が稼動を開始した13日午後、慶尚北道慶州市陽北面奉吉里にある中・低レベル廃棄物処分場の地下倉庫「5番サイロ」にクレーンが廃棄物が入ったコンクリート塊を徐々に降ろしている=慶州/シン・ソヨウン記者//ハンギョレ新聞社

 原子力発電所で使用した工具、部品、作業服、手袋など、使用済み核燃料(高レベル廃棄物)に比べて放射線の数値が比較的低い中・低レベル廃棄物が、この日初めて慶州廃棄場で処分手続きを踏んだ。サイロは、高さ50メートル、直径23.6メートルの大きさの円筒状コンクリート施設物で、廃棄物を処分する地下洞窟だ。この放射能廃棄場には、第1段階として、すべての6つのサイロが建設された。サイロ一つあたり1万7000ドラムが処分できる。この日5番サイロに16ドラムが入った。放射能量が消えるまで300年以上保管される。

 この日初めて処分された廃棄物は2010年12月、慶尚北道の蔚珍(ウルジン)原発から移送されたものだ。廃棄物運搬専用船の清浄ヌリ号に1000ドラムを乗せて運んできた。続いて、同月には4.7キロメートル離れた慶州市の月城(ウォルソン)原発から送られた廃棄物2536ドラムをはじめ、合わせて5032本のドラムがこの廃棄物処理場に移ってきてから、引き取り貯蔵施設でこれまでの処分を待っていた。原発は1978年に初めて商業運転を開始して以来、廃棄物を個々の原発内の一時保管施設に保管してきた。昨年末までに原発の中・低レベル廃棄物総発生量は12万9240ドラムに達する。昨年末、古里(コリ)原発保管施設が84.2%に飽和するなど、最終処分施設が急がれる状況だった。

 政府は、原発を建設して以来、1986年から放射能廃棄物処理場の候補地を探し出したが、すべて失敗した。盧武鉉(ノ・ムヒョン)政権当時、地域の反発がはるかに大きい高レベル廃棄物と反発が少ない中・低レベル廃棄物を分離して処分する方針を決めた。結局2005年、中・低レベル廃棄物処理場の敷地に慶州が選ばれ、施設は2008年8月から工事が開始され、2014年6月に完成した。候補地を探し始めてから30年後に中・低レベル廃棄物でも処分施設が初めて稼動することになったのだ。慶州廃棄場は2019年までに2段階の工事に入る。地下の洞窟に建設した1段階とは異なり、地上に建設され、放射線量が低い廃棄物が主にここで処分される。

 この日の16ドラムを皮切りに、今後10万ドラムがサイロのある地下洞窟に入ることになる。容量がいっぱいになると、洞窟をコンクリートで密封して閉鎖する予定だ。 2080年までに80万ドラムがここで順次処分される。

 中・低レベル廃棄物については一旦安心できる状態だが、高レベル廃棄物はやっと本格的な議論を始める状況だ。使用済み核燃料公論化委員会が設けられ、先月、産業通商資源部の解決策を勧告した。2020年までに放射能廃棄物処理場の敷地を選定し、2051年までに永久処分施設を建設しようというものだ。高レベル廃棄物も各原発に一時的に保管中だが、2019年から飽和を迎える原発が出てくる。産業部は今年の下半期、高レベル廃棄物処分案を発表する予定だ。

 一方、廃棄場近くの慶州市の新月城(シンウォルソン)2号機が今月末に稼働を始める。原発が建設されてから37年にして原発が24基に増える。政府は原発拡大基調を続けている。先月発表した7次電力需給基本計画で2028年か2029年までには原発2基を追加すると発表した。計画通りに進められると、原発は36基となる。

慶州/ソン・ギョンファ記者(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力: 2015-07-13 20:44

https://www.hani.co.kr/arti/economy/economy_general/700074.html  訳H.J

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