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[社説]南北関係を大転換させねば

登録:2015-08-26 08:58 修正:2015-08-26 11:27
南北高位級会談が25日未明に劇的妥結した後、南北代表が記念撮影をしている。左からキム・ヤンゴン北朝鮮労働党統一戦線部長兼対南担当書記、キム・グァンジン大統領府国家安保室長、ファン・ビョンソ朝鮮人民軍総政治局長、ホン・ヨンピョ統一部長官=統一部提供//ハンギョレ新聞社

 南北高位級接触が25日未明、電撃的に妥結したことにより、朝鮮半島の平和と南北関係発展に対する期待が高まっている。少なくとも、最近の朝鮮半島の緊張を鎮め南北関係を転換させる土台を作ったのは明らかだ。朴槿恵(パク・クネ)政権とその前の李明博(イ・ミョンバク)政権を合わせた7年半、南北がこれほどのレベルの合意を見たのは初めてだ。と同時に、執権4年になる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)政権の南北関係に対する見解が変わった意味も持つ。南北には今回の合意を誠実に発展させる責任がある。

■ 新たな関係の土台となる重要な合意

 今回の合意はまず、軍事的緊張解消の新たな枠組みを作ったという点で意味深い。6項目の合意文のうち半分をそれに割いた。合意文2項は「北側は最近軍事境界線の非武装地帯南側地域で発生した地雷爆発で南側兵士が負傷したことに対し遺憾を表明した」とある。緊張高揚の出発点となった地雷爆発事件に対し“北側”という主語を明示して責任を認めたのである。北側が今まで地雷挑発自体を否定してきた点を考慮すれば、大きな態度の変化だ。“遺憾”という表現が南側が要求してきた“謝罪”には至らないものの、その現実的な意味は小さくない。

 再発防止に関連しては「南側は異常な事態が発生しない限り軍事境界線一帯ですべての拡声器放送を25日12時から中断することにした」とした。地雷事件に対応した対北拡声器放送は中断するが、“異常な事態”が起きれば再開するという意味だ。異常な事態が何を指すのか南北で考えは異なるが、再発防止努力の意志が込められたのは確実だ。合意は“チキンゲーム”の様相を呈した“強対強”の対決を抑制するのに一定の効果があるものと見られる。

 今後の南北関係と関連して重要な合意は「様々な分野の対話と交渉を進めていく」としたことにある。これも北側が今まで高位級対話などを避けてきた点に照らし、一定の態度の変化となる。北側は我が(韓国)政府が優先的に提起してきた秋夕(中秋節)での離散家族面会を含め、面会定例化を事実上受け入れた。さらに南北は「多様な分野で民間交流を活性化する」ことにした。北側が脱北者団体などの対北ビラ散布中止、金剛山(クムガンサン)観光再開、5・24措置解除などを強く主張してきたことを考えれば、南側の要求がより多く反映された交渉だったとも言える。

 今回の合意で与党の一部では“原則の勝利”が語られている。概して対北強硬対応が効果を得たという意味に解釈される。だが、これは未熟な発想だ。今回の事態で北側が拡声器放送中断問題にこだわる姿勢を示したのは事実だが、対話を先に提案したのは北側だ。北側の目標が対話の雰囲気作りにあったとすれば、北側としては全般的に「不満ない一歩後退」をしたと言えよう。その上、私たち(韓国)は朝鮮半島の緊張高揚による国家的ストレスを実感せねばならなかった。合意結果がどちらに有利か一喜一憂するより、相互信頼構築と安定した南北関係の構築を先に進めなくてはならない。

 新しい南北関係の構築で今回の合意は出発点に過ぎない。まずは、どういう南北関係を作っていくのか幅広い青写真が必要になる。過去に南北は二度の首脳会談の成果を基に、経済協力、社会・文化交流、政治・軍事懸案などで多様な内容の協議を続け、相当な成果を上げている。新たに始まる南北当局者会談は、このことを十分に念頭に置き、議論の枠組みを用意すべきであろう。双方が今まで出してきた提案に固執するより、南北関係の将来を先に考える態度が必要不可欠だ。今までのように、すべてに厳格な相互主義を前面に打ち出せば、ことごとく衝突してしまう。朝鮮半島の平和を保障して南北経済・社会共同体を作るというビジョンの下、様々な可能な方案を共に議論することが望まれる。このため先に政府内外の多様な声を創意的に総合し、政府のコントロールタワー機能を強化すべきだ。

 これに劣らず重要なのが、北朝鮮核問題を解決させる努力だ。南北関係と北朝鮮核問題は別でありながら一つの問題だ。南北関係の発展はそれ自体に価値があるが、直間接的に核問題とからまるしかない。南北関係は核問題解決に向けた努力の有効性を後押しするが、逆に核問題は南北関係の水準を規定する。核問題解決の主な舞台となる6カ国協議は、すでに7年近く開かれずにいる。不信の輪を断ち切り同じ場所に向き合って座るべき時だ。その主な動力は、関連国すべてと深く疎通するようになった我が国(韓国)が担うほかない。特に米国が積極的に取り組めるようにすることは言うまでもない。時期的には北側の労働党創建70周年(10月10日)の今年秋を越さないようにすべきだ。

■ 核問題解決の努力が重要だ

 今回の合意は朴槿恵政権にとり重要な成就だ。しかし最終的な結果は今後の努力にかかっている。北側は南側と信頼を積み重ね、開放・改革に立ち向かう開かれた姿勢を示すべきだ。朝鮮半島の平和と南北関係の進展は、平和統一の基礎になるばかりか北東アジアの安定と発展の礎にもなる。

(お問い合わせ japan@hani.co.kr )

韓国語原文入力:2015-08-25 18:37

https://www.hani.co.kr/arti/opinion/editorial/705926.html h訳Y.B

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