日本政府が今月13日に福島第一原発の汚染水の海洋放出方針を発表したことを受け、放出に反対する人が減り、「仕方ない」として政府の決定を受け入れる世論が高まっていることが分かった。
毎日新聞と日本社会調査研究センターは18日、世論調査(回答者1085人)を実施した結果、日本政府が福島第一原発の汚染水を海に放出する方針を決めたことについてどう考えるかという質問に対し、54%が「仕方ない」と答えた。「他の方法を考えるべき」は36%にとどまった。政府の決定が出る前の昨年11月、同じ調査では「仕方ない」が47%だったが、今回は7%上昇した。一方、性別による意見の相違も明確に表れた。男性は「仕方ない」という意見が61%を占めていたが、女性の場合は41%で、「他の方法を考えるべき」(44%)を下回った。
産経新聞とFNNが17~18日に実施した世論調査(回答者1180人)でも、「福島第一原発処理水(汚染水)について、放射性物質トリチウムを基準値以下に希釈して海洋放出する政府の判断」に対する質問に対し、「評価する」が46.7%で、「評価しない」(反対)45.3%より少し(1.4ポイント)高かった。同調査でも支持政党と性別による違いがはっきりしていた。自民党支持者は62.2%が賛成している一方、立憲民主党(65.4%)と共産党(73.7%)支持者では反対意見が圧倒的に多かった。男性は56%が賛成の立場を示したのに対し、女性の場合は37.9%にとどまった。
世論調査機関ごとに数値の差はあるものの、政府方針が決まってから反対意見が減っている。昨年11~12月の朝日新聞の世論調査では、福島第一原発汚染水の海洋放出に対し、回答者の55%が反対し、賛成は32%にとどまった。
ただし、福島県などの漁業関係者たちは強く反対している。東京電力は今月18日、福島で汚染水の海洋放出決定について、地元の意見を聴取する場を設けたが、漁業関係者らによる批判が相次いだと読売新聞が報じた。同紙の報道によると、福島県漁連の野崎哲会長は「地域住民や漁業者の合意を得なければ放出決定をしない」との約束が守れなかったことに対し明確な回答がないとして、「どうして約束が破られたのか公式な説明が必要だ」と国側の対応を批判した。福島県水産加工業連合会の小野利仁代表も「東電はもとより、国に対しても信頼関係が崩れた」と反発した。