日本政府が周辺国など国際社会の懸念にもかかわらず、福島原発の汚染水を海に放出することを決定した中、汚染水の浄化設備がきちんと認可を受けておらず、性能にも問題があることが明らかになった。日本政府が汚染水の放出を正当化する根拠は、浄化作業を経て主な放射性物質を基準値未満にするという点であるだけに、浄化設備の欠陥は重大な事案だ。日本政府は、人類共同の資産である地球環境を脅かす一方的な汚染水放出決定を撤回し、国際社会の徹底した検証を受けなければならない。
本紙の取材の結果、福島原発汚染水の放射性物質を除去するために稼働している「多核種除去設備(ALPS)」の3基のうち2基が、日本政府の最終許可を受けていないことが確認された。2013~2014年に稼働を始めたが、7~8年がたっても「使用前検査」を受けず、「試験運転」状態で汚染水を浄化しているという。原子力施設・設備は技術基準に適合しているかどうかを確認する「使用前検査」に合格しなければ稼働できないという日本原子力規制委員会の規定すら守らなかったのだ。これでも国際社会に向けて汚染水放出の安全性を強弁する日本政府の厚顔無恥に驚くばかりだ。
「使用前検査」を受けていないALPSは、実際に性能において欠陥があるという事実も、2018年の東京電力の報告書に記載されているという。ALPSのうち1基はヨウ素129、ルテニウム106、アンチモン125などの放射性物質の除去性能が足りず、他の1基は人体において致命的なストロンチウム90などを除去する性能の持続時間が短いということだ。1回目の浄化を行った福島原発汚染水の70%から放射性物質が基準値以上検出されたのも、これと関連があるとみられる。ストロンチウム90の場合、基準値の最低110倍以上が残っていた。このように不十分な性能のALPSで2回浄化しても、安全性を確保できるのか心配にならざるを得ない。
国際基準もあいまいなところへ、日本独自の規定も順守されていない状態なら、汚染水の放出決定は原点から見直されなければならない。透明な情報公開と徹底した検証の必要性もいっそう高まった。日本政府は汚染水の安全性評価に周辺国の参加を必ず保障すべきだ。汚染水の放出を支持した国際原子力機関(IAEA)と米国も、生半可な判断を取り下げ、安全性に対する科学的な検証に客観的かつ公正な姿勢で臨まなければならない。