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再び前面に出る“超強硬派”ボルトン補佐官

登録:2019-03-06 06:30 修正:2019-03-06 09:51
発言を控えていた北朝鮮問題に積極的 
大統領への接近権を独占することで影響力を拡大 
「大統領が聞く必要のあることに対する決定者」 
就任以来、自分の議題の大半を貫いてきた
2月28日、ハノイで開かれた朝米首脳会談に同席したボルトン大統領補佐官(国家安全保障担当)の前に、ビッグ・ディール文書が入っていると見られる黄色い封筒が置かれている/ロイター 聯合ニュース

 米ワシントンの超強硬派、ジョン・ボルトン大統領補佐官が再び前面に出ている。

 ボルトン氏は先月28日、ハノイで開かれた朝米首脳会談で、“陪席者”として電撃的に登場し、これまで控えていた北朝鮮問題に対する介入を積極的に行っている。また、ベネズエラ事態やキューバ問題などをめぐり、自身の強硬策を貫いている。

 ボルトン氏は3日、CNNなど放送3社に相次いで出演し、朝米首脳会談当時、トランプ政権の「ビッグ・ディール構想」などについて述べた。彼は、ドナルド・トランプ大統領が北朝鮮のすべての核施設の廃棄を求める「ビッグ・ディール文書」を提示したが、北朝鮮が受け入れなかったため、会談が決裂したと明らかにした。

 このような積極的な動きは、ハノイ会談に先立って朝米交渉を主導したマイク・ポンペオ国務長官とは対比をなしている。ポンペオ長官は同日「USAトゥデイ」とのインタビューのほかは、北朝鮮問題に関する言及を控えており、4日には農業団体との会合のため、アイオワ州を訪問した。

 両国の首脳を含む3対3会談が予定されていたハノイでの会談に、米国側の追加陪席者として急遽合流したボルトン氏は、「ビッグ・ディール文書」が入っているとみられる黄色の封筒を所持していた。彼がビッグ・ディールを主導したことを示唆したのだ。

 ボルトン氏はメディアとのインタビューで、オットー・ワームビア事件に対するドナルド・トランプ大統領の言及を事実上否定した。北朝鮮に収監された後、米国帰国直後に死亡したワームビア氏について、トランプ大統領は、彼の境遇について知らなかったとした金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長の言葉を信じると述べた。しかし、CNNとの会見で、これに関する質問を受けたボルトン補佐官は「私の意見は重要ではない」とし、「私は国家安保の決定責任者ではない。それは(トランプ大統領の)見解だ」と答えた。

 ボルトン氏は「ハノイ会談は成功だった」というトランプの見解を繰り返したものの、トランプ大統領が「楽観的態度を維持している」と言及しただけで、会談の成功を評価する発言はしなかった。

 就任して1年になるボルトン氏が、トランプ政権の対外政策決定において、トランプ大統領に対する接近権を独占し、影響力を拡大しているという指摘もある。ワシントン・ポスト紙は4日、「わが道を行くジョン・ボルトン、国家安保の上に自分の印鑑を押す」という見出しの記事で、ボルトン氏が対外政策に関するホワイトハウスの意思決定過程を掌握し、自分の議題を貫いてきたと報じた。

 同紙はボルトン氏が「国家安保補佐官という職を、政府の全般的見解の総合者であり伝達者」から、自分の観点から大統領に聞かせたい話を報告するものに再定義したと評した。彼が、ホワイトハウス安全保障会議(NSC)の組織と人員の縮小▽政府内の専門家よりは自分と見解を共にする人物の起用▽国家安保および対外政策部署長会議の縮小と非定例化などを通じて、他の外交安保高官を差し置き、自分の影響力を拡大したという。特に、トランプ大統領が長い報告書やブリーフィング、専門家からの助言を嫌うため、ボルトン氏が大統領の耳をつかんでいるということだ。

 ボルトン氏の超強硬タカ派の見解は、トランプ大統領の「米国優先主義」路線と一致せず、トランプ大統領も彼の見解を全面的に受け入れているわけではない。ボルトン氏も、トランプ大統領に自分の見解を押し付けるよりは、大統領の決定権を尊重するやり方でアプローチしているという。

 このため、トランプ大統領は北朝鮮や中東などの問題で、ボルトン氏と異なる見解を示しながらも、彼との相性はよさそうに見える。ワシントン・ポスト紙は「トランプがボルトンにいかなる戦争も始めるなと冗談を交えて警告する場面もあるが、彼がボルトンを交替する兆しはない」と報道した。

 ボルトン氏は就任後、自分が掲げていた議題である国連など多国間機構や条約からの米国の脱退や介入の縮小、対キューバ強硬策などを貫いている。北朝鮮に対する超強硬策を主張したボルトン氏の影響力の拡大が、今後の朝米交渉の行方を左右するものと見られる。

チョン・ウィギル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/884583.html韓国語原文入力:2019-03-05 14:31
訳H.J

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