本文に移動

北朝鮮「核武力完成」翌日に国連事務次長の招請を確定…北朝鮮核対話始動

登録:2017-12-05 23:06 修正:2017-12-06 08:19
4日間の日程で5日午後、北京通じて訪朝 
国連報道官「相互関心事・憂慮事項を議論」 
軋轢紛争の解決を担当する長官級高位要人
ジェフリー・フェルトマン国連政務担当事務次長(左)が5日、平壌の順安空港に到着し、出迎えた北朝鮮外務省関係者と握手している=平壌/AFP聯合ニュース

 国連の最高位級要人の1人であるジェフリー・フェルトマン政務担当事務次長が4日間の日程で5日に北朝鮮を訪問した。フェルトマン事務次長の訪朝は6年ぶりの国連最高位級訪問で、先月29日の北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星-15」型発射以後に再燃した朝鮮半島「強対強構造」の緩和に大きく寄与するものと予想される。

 国連は4日(現地時間)、報道資料を通じて「フェルトマン事務次長が5~8日に北朝鮮を訪問する」として「北朝鮮当局者などと相互の関心事および憂慮事項を議論する予定」と明らかにした。さらに「フェルトマン事務次長は、(北朝鮮の)国連プロジェクト現場を訪問し、北朝鮮にいる国連職員および外交団に会う予定」と明らかにした。フェルトマン事務次長は5日午後、北京の首都空港から一行4~5人と共に高麗航空便を利用して平壌に出発し、北朝鮮の朝鮮中央通信は短く「ジェフリー・フェルトマン国連副事務総長と一行が5日平壌に到着した」とのみ報道した。

 国連の高位級要人の訪朝は、2010年2月の当時リーン・パスコ政務担当事務次長と、2011年10月の人道主義業務調整局(OHCA)バレリー・ エイモス局長の訪朝以後、6年ぶりだ。それだけに異例であり、金正恩(キム・ジョンウン)北朝鮮労働党委員長が政権を継承した後、国連高位級の初の訪朝だ。長官級要人である政務担当事務次長は、紛争地域の軋轢解決という国連本来の任務を総括するという点で、多くの事務次長の中でも核心要人だ。

 特に彼の訪朝は、北朝鮮との「公式議論」の性格を帯びているという点で重量感がある。ステファン・ドゥジャリク国連報道官は定例ブリーフィングで「フェルトマン事務次長がリ・ヨンホ北朝鮮外相とパク・ミョングク外務省副相などに会う予定」と明らかにした。米国の民間専門家と北朝鮮当局者が非公式に会う「半民半官対話」(1.5トラック)より公式性や格式の面ではるかに水準が高いと言える。

 フェルトマン事務次長の訪朝は、北朝鮮の招請で始まったという点で、北朝鮮が探索的対話を模索し始めたのではないかという見方が出ている。ドゥジャリク報道官は、北朝鮮が9月の国連総会期間にフェルトマン事務次長を招請し、先月30日に訪朝が最終確定したと説明した。

 訪朝が最終確定した時点を見れば、北朝鮮が29日未明にICBMを発射し、正午に「政府声明」を通じて「国家核武力が完成された」と主張した時点に近接している。北朝鮮が金正恩労働党委員長のいわゆる「核・経済並進路線」が完成されたとし、交渉局面への転換を試みているという分析の根拠だ。韓国政府当局者もこの日、北朝鮮の意図と関連して「初歩的な水準ではあるが、対外的にドアを開け始めている」と説明した。

ジェフリー・フェルトマン国連事務次長=国連提供//ハンギョレ新聞社

 フェルトマン事務次長の訪朝が、ドナルド・トランプ米行政府との同意、ないしは調整を経ている点も非常に興味深い。国連消息筋は「米国側とも調整を経たのか」という質問に「当然、関連国らとの協議を経た」として「北朝鮮との疎通チャンネルが必要だということは、関連国がそろって共有している」と明らかにした。ニッキー・ヘイリー国連駐在米国大使が先月29日、安全保障理事会の緊急会議で「戦争が起きるならば北朝鮮政権は完全に破壊されるだろう」と警告したが、米行政府も少なくとも北朝鮮との疎通チャンネルの必要性は認めているという意味だ。

 このようにICBM発射から6日後になされたフェルトマン事務次長の訪朝は、そのタイミングにおいて少なからぬ意味を持っている。北朝鮮のICBMが理論的には米国ワシントンまで射程距離内に置いているという評価が出て、米国の官民では先制攻撃論が再登場するほどに緊張が醸成されているためだ。

 こうした脈絡から、彼の訪朝が朝鮮半島の緊張指数を下げうるということには、大多数の専門家たちが同意している。国連消息筋は「事務次長が緊張緩和を目的に行くと見て差し支えない」と話した。北韓大学院大学のク・ガブ教授も「事務次長の訪朝を通じて北朝鮮もこれ以上の軍事的挑発を制御する名分が得られそうだ」と明らかにした。

 フェルトマン事務次長は、駐レバノン米国大使と近東担当次官補を歴任し、26年間米国務省で勤め、2012年に政務担当事務次長として国連に合流したベテラン外交官で、彼の個人力量にかける期待もある。彼は先月29日、安保理緊急会議で北朝鮮核問題解決の「政治的解決」を強調した。

 彼の訪朝で北朝鮮核対話局面への転換の突破口が用意されうるかについては、意見が交錯している。ク・ガブ教授は「米国や韓国のメッセージがあるだろう」としながら「対話局面に進む契機になることもありうる」と見通した。一方、国連高位級要人の一回の訪問で、関連国の利害関係が複雑に絡まりするどく対抗している北朝鮮核問題の解決の端緒を用意することは容易でないという指摘も侮れない。

 いずれにしても適切な仲裁者がいない膠着局面で、国連が積極的な役割を名乗り出たことは決して悪くない。フェルトマン事務次長の訪朝成果によっては、アントニオ・グテーレス国連事務総長の訪朝につながる可能性もある。

ワシントン/イ・ヨンイン特派員、キム・ジウン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
https://www.hani.co.kr/arti/international/america/822189.html韓国語原文入力:2017-12-05 21:57
訳J.S

関連記事