登録 : 2017.12.06 00:02 修正 : 2017.12.06 06:20

北朝鮮が12月1日、平壌の大同江岸で花火を打ち上げ「火星-15」型ミサイル発射の成功を祝っている様子//ハンギョレ新聞社
 韓国政府は制裁と圧迫を通して北朝鮮を対話に引っ張り出すと言う。北朝鮮が制裁に屈服しない状況で、この言葉は空念仏に近い。北朝鮮の挑発の度に繰り返される「強力な圧迫と制裁」の宣明が怒った国民の感情の捌け口以上の役割をしたことがあったかどうか、自問してみなければならない。

 北朝鮮の大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の「火星-15」型の試験発射に対応して聞こえてくるニュースは、どれもこれも制裁の話だ。 北朝鮮が挑発する度にいつもそうだったが、今回はさらにひどい。 その上、制裁が北朝鮮を屈服させることができるだろうと信じる雰囲気が韓国社会にいつにもましても広がっている。 これまで対北制裁はいつも失敗に終わったが、「今回は違う」という期待が韓国社会を熱しているのだ。 トランプ大統領が主導する米国の強圧的対北政策の影響のためである。

 それでは今回は制裁を通じて北朝鮮の核保有意志をくじくことができるだろうか? 断じて言うが、それは希望拷問に終わるはずだ。 政府の政策と社会の雰囲気が一方に傾いている状況でそれに反する断定的な表現を使うのは負担ではあるが、米国の主張や社会の雰囲気に便乗するのが国益を保証することではないから、客観的視野から明白なことを主張するしかない。

 最近米国が主導する国連の非常に強力な経済制裁は、北朝鮮経済と北朝鮮住民の生活に以前より大きな苦痛を与えている。 しかしその苦痛が制裁の成功を意味するわけではない。 北朝鮮はずいぶん前から制裁により苦痛を受けながらも、核放棄どころかむしろ反発してさらに強い核兵器を作った。 超強硬制裁と評価されている9月の国連安保理制裁案も、北朝鮮が「火星-15」型を発射すると共に既にその効果に疑問符が付けられた。 したがって制裁が有効であると言うには、北朝鮮が苦痛に耐えかねて核放棄のための一連の行動を見せなければならない。

先月22日、北朝鮮の咸興で住民たちが白菜を積んだ荷車を引いている=咸興/AFP 聯合ニュース
 私たちはよく北朝鮮の金正恩の挑発を「無謀な狂った行ない」程度に評価するが、ダン・コーツ米国家情報局長の言う通り、彼は狂ってはおらず、自身と国家の生存方式として核とミサイルに執着しているだけである。 むしろ彼は挑発の裏面で制裁に備えて冷徹に準備をして来たものと見られる。 最近の北朝鮮の経済状況が、このような観測を裏付ける。

 何よりも金正恩政権は、農業改革を通して食糧をある程度自給する段階に引き上げたものと見られる。 私たちの定形化されたイメージの中で、食糧難は北朝鮮の象徴的特徴だった。それで、対北制裁が強化されれば北朝鮮が食べ物の問題で深刻な困窮に陥るだろうと考える。しかし最近数年間、北朝鮮は外部からこれといった規模の穀物を輸入してもおらず、国際社会の無償支援は大きく減ったにも拘らず、内部の食糧事情は以前より少しずつよくなってきている。 食糧を自給し始めたという意味だ。 最近工業製品の国産化の割合が急速に増大し、内需市場も活性化された。 特に市場の活性化を通して国内流通経済が飛躍的に大きくなった。 このような北朝鮮経済の変化は、制裁によって対外経済が極端に萎縮した場合にも、かろうじてにしろ耐えることができる基礎体力が強化されたということを意味する。

 制裁の限界は朝中貿易でも見出せる。 トランプ行政府は中国が北朝鮮経済の命綱を握っているかのように主張するが、実際中国の影響力は制限的である。 朝中貿易が画期的に増加したのは2010年からだった。 同年両国の貿易は前年比2倍に増加し、2011年にも60%以上増加した(総額56.3億ドル)。 しかし両国の貿易は以後5年間、対北朝鮮制裁の余波で騰落を繰り返して事実上停滞状態を見せた (2016年総額60.5億ドル)。ところがこの朝中貿易の停滞の時期に、北朝鮮経済は質的に発展し量的に大きく成長した。 朝中貿易を減らすことで北朝鮮経済の寿命を縮めることは難しいという反証である。

イ・ジョンソク前統一部長官//ハンギョレ新聞社
 実際、中国の対北朝鮮制裁はこのような貿易数値と関係なしに、世界的水準で米中葛藤構図が解消されない限り限界を持たざるを得ない。 米国が韓米日軍事同盟を追求しインド太平洋戦略を推進して公然と中国を牽制する状況で、中国が米国の望み通りに北朝鮮崩壊をも辞さない制裁をしようとするわけがない。

 このように制裁の限界が明確であるにもかかわらず、韓国政府は制裁と圧迫を通して北朝鮮を対話に引っ張り出すと言う。北朝鮮が制裁に屈服しない状況で、この言葉は空念仏に近い。政府がほかに状況打開の出口を探しにくい局面にあるという点は理解できるが、そうだとしてもこれは答えではない。 いまや、北朝鮮の挑発の度に繰り返される「強力な圧迫と制裁」の宣明が怒った国民の感情の捌け口以上の役割をしたことがあったかどうか、自問してみなければならない。そして実効性ある新しい代案を探すべきだ。

イ・ジョンソク元統一部長官・世宗研究所首席研究委員(お問い合わせ japan@hani.co.kr)

韓国語原文入力: 2017-12-03 21:09
原文:http://www.hani.co.kr/arti/opinion/column/821849.html訳A.K
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