ドナルド・トランプ米大統領が二日連続で高高度防衛ミサイル(THAAD)配備費用を韓国が払わなければならないと高強度圧迫を加えた。波紋が広がると、韓米高位当局者は両国間ですでに合意した内容を再確認するとして緊急鎮火に乗り出した。しかし、トランプ大統領特有の予測不可能性に照らしてみる時、「THAAD配備請求書」をいつでも再び持ち出すことがありえて、在韓米軍の駐留費用問題に対しても同様な事態が繰り返されることがありうるという憂慮が出ている。
トランプ大統領は28日(現地時間)、就任100日を翌日に控えて行われたワシントンタイムズとのインタビューで「なぜアメリカがTHAAD配備の費用を出さなければならないのか」として「丁寧に話すべきだが、韓国が費用を支払うことが適切だと考える」と述べた。トランプ大統領は「(THAADは)すばらしい防御システムだ。それは韓国を保護するためのものだ」としてこのように明らかにした。
トランプ大統領は前日の27日にもロイター通信とのインタビューを通じて、THAADの費用を韓国に負担させるという立場を初めて明らかにした後「THAADは10億ドルのシステム」という話を繰り返し強調した。またトランプ大統領は、韓米自由貿易協定(FTA)に対しても前日に続き「ヒラリー・クリントンが(国務長官在職時期に)交渉したもので、アメリカにとって非常に悪い条件」とし、再協議あるいは廃棄の意志を改めて明らかにした。
トランプ大統領の相次ぐ発言に対して韓米両国で荒々しい批判が起こり、キム・グァンジン大統領府国家安保室長とハーバート・マクマスター米ホワイトハウス国家安保補佐官は30日午前(韓国時刻)、35分間にわたり緊急電話協議をした。
キム室長とマクマスター補佐官はこの日の通話で「在韓米軍THAAD配備費用負担と関連して、韓米両国間で既に合意された内容を再確認した」と大統領府が伝えた。マクマスター補佐官は通話で「ドナルド・トランプ大統領の最近の言及は、同盟国の費用分担に対する米国民の希望を念頭に置いて一般的脈絡で話されたこと」と説明したと韓国大統領府は明らかにした。
大統領府が伝えた通話内容が事実ならば、トランプ大統領の発言を韓米両国の高位当局者が事実上否定することで、前例がないことだ。韓国国防部は昨年7月に締結した約定を通じて、韓国政府は敷地と基盤施設を提供し、THAADシステムの展開および運営維持費用は米国側が負担するという内容に合意したと明らかにしたことがある。
韓米の高官が鎮火に乗り出したが、トランプ大統領が直接説明しない限りは火種が簡単に消えるとは思われない。トランプ大統領は自らが関心を注ぐ問題に対しては強い集中力を見せてきた。こうした点に照らしてみる時、自身が二度も言及したTHAAD配備費用の請求が今回だけで終わらない可能性がある。また、トランプ大統領がTHAAD費用の負担要求を韓国に通知したと明らかにしたことと関連しても、その背景と事実関係は依然として明らかになっていない。